ブラジルで安倍首相を日伯原子力協定反対のバナーが出迎え
- 2014年 8月 5日
- 交流の広場
- 印鑰 智哉
8月2日、ブラジル被爆者平和協会の会長森田さんから安部首相に渡された手紙(ポルトガル語)、仮訳してみました。
原文などは https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/911339518892879
をご覧ください。
印鑰
サンパウロ、2014年7月30日
安倍晋三日本国首相
ブラジル被爆者平和協会
会長 森田隆
在ブラジル原爆被爆者協会(現ブラジル被爆者平和協会)は30年前の1984年7月に設立されました。1985年1月、ブラジルへの公式訪問で訪れた閣下のお父さんである外務大臣とお会いしたことを懐かしく思い出します。
あの時代には日本在住の原爆被害者は日本政府によるさまざまな支援を受けられていましたが、ブラジルに移民したものたちは完全に排除されていました。
安倍晋三様、閣下のお父様は私たちの要請をとても親切に受け取り、被爆者たちの医療相談を実現するために専門医療チームを派遣することを約束してくれました。この約束は実現され、あの年の10月以来、2年毎に日本の医師団の訪問を受けることになりました。しかし、診察を元にした実現すべき治療は大きな問題のまま残っています。というのも日本政府が資金を出す医療はブラジルでは承認されていないからです。
協会は設立以来16年後から、日本の裁判所での認定による利益によってだけ利益を被爆者に与えることができるようになったことを記録しておきたいと思います。祖国の法廷で争うことは私たちの多くにとって、とても苦しいことでありますが、これが唯一の道であるという状況なのです。
この協会を設立した最初の理事として、わずか2名のメンバーのみが生き残っております。私は現在90歳になります。もう一人は被爆者二世です。
毎晩、なくなった被爆者の仲間たちの魂のために祈ります。そして、支援がなぜこんなに遅れてしまい、多くの人がそれを受ける機会を持つことができなかったことを嘆きます。
この協会の設立のもう1つの大きな動機はブラジル人の若者の平和への運動のためです。
原爆の生存者としての私たちの経験を伝えて、核兵器が二度とこの地球で使われることがないようにすることは私たち、被爆者の義務であると信じています。ですから、広島や長崎で実現しているように、私たちも平和のための集会をブラジルで実現しています。私のポルトガル語は拙いものですが、ブラジル人の若者たちと共に彼らの未来がとても平和で調和に満ちたものであるように祈り、格闘してきております。
日本は2回に渡る原子力の攻撃を受けた唯一の国です。そしてその国でまた新たに原子力の悲劇が起こってしまいました。3年目になる福島原発の事故です。
福島で起こったことの反響は世界中で巨大なものでした。すべてのものは原子力の放射線の危険を再認識しなければなりませんでした。そして私たち、協会は「人類は核エネルギーとは共存できない」というキャンペーンを加速し、現在もこの問題を知らせることに多くを費やしています。
原子力の放射線には姿も色も匂いもありませんが、周りのすべてのものを汚染してしまいます。現存するものを汚染するだけではありません。次の世代にも影響を与えてしまうのです。
私は命の最後の日まで闘うことを誓いました。前世紀が産んだ人類への最大の悪を21世紀に絶滅させるために。私たちの孫の平和な社会のために、原発は不要です。
ですから、首相閣下にお願いします。
福島で被害を生み出す結果となった日本の技術をブラジルに押し付けないでください。
ブラジルと日本の交流はもっとよりよい、おもしろい方法で実現できるはずです。
日本の技術は世界的に認められていますが、たとえばブラジルの自然の巨大な豊かさと結びついて、平和な世界実現のために力になることができるはずです。
世界情勢は刻々と変化します。新しいエネルギー源を獲得することはすべての国の経済にとって重要なことでしょう。日本の成長戦略にとっても重要なことは理解します。
長く生きてきましたし、何が起きてきたかを知っています。そこで下記のことを言わなければなりません。
戦争でこんなに早く荒廃させられ破壊された日本を世界でもっとも豊かな国に立ち上げたのは日本の民衆です。
戦争後の乱気流の時代に、閣下の祖父、亡くなった岸信介元首相が国の自立のために命を危険にさらした時に、日本の民衆はその要請に反応して世界にその強さを見せたのです。
日本の民衆は常に、特に困難な時にその潜在力を見せます。ブラジルの中ですらそれは知られています。
日本だけでなく、現在では世界中で新しい、きれいでエコロジーなエネルギーが研究されています。決して安全といえない原子力発電に固執する理由は何もありません。
原子力安全委員会ですら100%安全な原子力発電は存在しないと結論しています。
世界の人びとは核の危険にさらされることを望んでいません。
この重大な真実を考慮してもらいたいと強く思います。
本当の政治家は民衆の至上の意思を代表する人です。
閣下が本当の政治家であることを心から信じています。そして、この私の謙虚な望みを理解してくださることを真剣に望みます。
どうもありがとうございます。
2014年8月4日 10:08 INYAKU Tomoya <tomo@jca.apc.org>:
8月2日、ブラジルを訪問した安倍首相を世界社会フォーラムの創始者であるシコ・ウィタケー氏が率いる「原発のないブラジル連合」と被曝者移民が作るブラジル被曝者平和協会による日伯原子力協定反対の横断幕が出迎えました。
ブラジル被曝者平和協会からの声明は今晩以降に翻訳します。
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