そうだ、きょうは、「サラダ記念日」だった
- 2020年 7月 8日
- 評論・紹介・意見
- サラダ記念日俵万智内野光子
7月4日はアメリカの独立記念日、きのうは、都知事選の投票日で、投票が締め切られた午後8時の数秒後には当確が出ていた。そして、きょう、7月6日は、サラダ記念日だったのだ。
西日本豪雨災害から、もう二年、そして、きょうのテレビでは、熊本、鹿児島、宮崎県の豪雨被害が伝えられている。1階は泥に埋まってしまった高齢者施設千寿園、14人の死者が確認された。濁流が引いた後の球磨病院の状況を見て、胸が詰まる思いだった。そして北九州にも大きな被害をもたらしている豪雨、どうしたら、こうした災害を防げるのだろうか。天災、自然の脅威だけでは済まされない、防げる手段や対策があったはずと悔やまれてならない。
東京では、再選された小池東京都知事は、いつになく“晴れやかな表情”をして、コロナ対策と東京五輪実施に向けての抱負を語っていたが、東京都の確認感染者数が減る気配がない。積極的に検査を受けていただいている結果でございます、という。いつも不思議に思うのは、感染者数が知事の口から発表されるばかりで、検査数を発表したことがない。それを確認するメディアもいない。東京五輪延期決定までの都の感染者の少なさへの疑問、増えたというPCR検査のキャパシティは報道されても、検査数が極端に絞られていた実態、専門家会議と政府が一体となって、<医療崩壊>の名のもとに診療や検査に向うことすら抑えに抑えていた時期があった。そうしたことへの検証がないまま、これまでの専門家会議をシャッフルして、新しい有識者会議と分科会が発足するという。その初会合が今日だったかもしれない。
病院や高齢者施設、介護施設は慢性的にスタッフが不足しているのに加えて、医療用品・機器も満足な状態ではなかった、と地元の9条の会では、地方の病院に勤務する医師から話をお聞きした。現在は、コロな患者を受け入れた病院の一般患者の受け入れ減少に加えて、その後の風評被害が大きく、多くの病院で赤字を出しているのがわかってきた。医療従事者に拍手を送ったり、自衛隊機が表敬飛行したりする前にやることがあるだろうにと・・・。
近くの中学校の掲示板には、いまだに「入学おめでとう」の大きな文字がそのままになっている。官邸の独断でなされた一斉休校、なんの手当てや補償もなくて、生徒、保護者、教師、給食関係者らに与えた影響は計り知れない。生徒の学力・体力・健康面だけでも、近い将来、その低下や格差が顕著になってくるだろう。
そう、きょうは、7月6日のサラダ記念日、俵万智歌集『サラダ記念日』(河出書房新社 1987年5月)の中の一首「〈この味がいいね〉と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」に由来する。書棚の隅にあった『サラダ記念日』を開いてみたら、はらりと落ちたハガキとチラシ。ベストセラーになりかかった、初版から1カ月半後、出版元の河出から、宣伝のためにと送られてきたようである。第3歌集の『チョコレート革命』(1997年)には、俵万智の署名と雅印(コピー?)のある献呈のしおりが挟まれていた。あの頃の河出は気前が良かったんだなと思う。ただ第2歌集『かぜのてのひら』(1991年)も河出から出ているのだが、私の手元にはない。そして文芸春秋から出た『プーさんの鼻』(2005年)が第4歌集で、出産後の子育て歌集?となっている。どの歌集も楽しく読むことができ、こんな短歌も「あり」かなと思う一方、「女性の新しい生き方」の一つが示されたとしても、結果的に男性の論理とコマーシャリズムに加担してはいないかとの疑問がよぎる。その後の歌集には縁がなかったけれど、たしか、選挙の時、小泉純一郎のインタビューアーになったり、赤い羽根募金のポスターに登場したり、『通販生活』のコマーシャルに息子さんと出たりしていた記憶があるが、そういう姿を見るのはやはりに残念としか言いようがなかった。
初出:「内野光子のブログ」2020.7.6より許可を得て転載
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〔opinion9916:200708〕
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