12月ルネサンス研究所の定例研究会
- 2020年 11月 25日
- 催し物案内
- 中村勝己
■ルネサンス研究所(12月定例研究会)のお知らせ
今回は、最新号で「現代右翼」を特集した雑誌『情況』とのタイアップ企画です。「右翼」と聞いて私たちが真っ先に思い浮かべるのは、今秋に退陣した安倍政権とその取り巻きたち。『正論』や『月刊Hanada』とか『月刊WiLL』などに書いている「右翼文化人」たち。さらには「ネトウヨ」と称される匿名・実名入り乱れてのネット上での炎上。ついには在日外国人や声を上げる女性たち、政府の歴史認識を批判する人たちを口汚く罵り脅迫する排外主義右翼のヘイトスピーチなど。ろくなものではありません。
屈従的な日米地位協定を放置したままアメリカからの兵器爆買いの要求に屈する国、10年前の原発事故を忘れて原発再稼働に突き進む国、TPPやRCEPで自国の農業をさらに衰退させる国、「インバウンド効果」を狙って貴重な自然環境や景観を外資に売り渡す国。これが現在の日本です。これに腹を立て闘う右翼が大挙して出てこないのが私たちには不思議で仕方ありません。今、日本の右翼はどうなっているのか? イチから学んでみましょう。
また、去る11月25日は、作家の三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデターを呼びかけて割腹自殺を遂げてから50年でした。そこで作家の横山茂彦さんに三島を取り巻くイデオロギー状況についても語っていただきます。
(新型コロナ・ウイルスの再度の蔓延が指摘されています。マスクの着用を必ずお願いします。会場の換気を心がけますので部屋が寒くなります。防寒対策も併せてお願いします)。
テーマ:「現代右翼の研究――『情況』秋号の特集から」
日 時:12月8日(火)18時開場、18時半開始
会 場:専修大学神田校舎7号館8階782教室
(https://www.senshu-u.ac.jp/about/campus/)
資料代:500円
報 告
1 概説 アジア主義の源流から現代右翼まで 横山茂彦
2 ネット右翼 横山
3 日本会議の実像 大谷浩幸(『年誌』編集委員)
4 三島由紀夫の市ヶ谷蹶起の深層・最新の研究から 横山
※議論を中心に進めます。
わが国は右傾化がいちじるしいと、諸外国から指摘されている。右派の長期政権に、わたしたちもそれを実感する。国民性につよい親和性があり、共同体の残滓がまだ確かな実感を持っているのだから。右翼思想のほうが、たぶん不確実な時代にふさわしいのかもしれない。
たとえば、五〇年をむかえた全共闘運動の追想を、日大闘争の左右双方に訊いてみればこうだ。左翼(元芸闘委・作家)は激しい衝突事件を誇らしく懐かしみ、右翼(元空手部・元町議)は学友たちが傷ついた事件の記憶を消したいと語る。学園と社会の秩序が快復したとき、和解の思想をもっていたのは右翼であろう。したがって、社会と国家が右傾化するのは当然である。 そしてネット社会が右翼運動へのハードルを低くした結果、ネット右翼という匿名性の排外主義運動をもたらした。組織的には日本会議が宗教団体を取り込むことで、大きな塊を実現している。 いっぽう、左翼も大きな運動の塊(反原発、反安保)をつくり出してきたが、議論の軸がしぼり切れないのではないか。反安保、反米という軸で言えば、右翼と共同できる面も見えてきた。 日本の右翼運動の源流から、現代右翼の三つの流れ(既成右翼・新右翼・ネット右翼)をとらえ、イデオロギーなき時代の指針をさぐる。(横山茂彦) 7年8カ月の長期政権となった安倍政権はついに終焉を迎えたが、政権を支えてきた最大の右派組織「日本会議」とは一体どういう組織なのか? 1997年5月30日に「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が合流して日本会議を結成して以来、事あるごとに右派国民運動を展開し、リベラルや左派を攻撃してきたが、ついに、かれらと極めて近い政治思想を持つ安倍首相を誕生させたのである。 かれらは安倍首相と一体となって「戦後レジームの清算」を下から推進してきたが、安倍政権が終わったことで変化はあるだろう。政権は変わったが、かれらはさっそく学術会議任命拒否問題で、同組織をGHQが作った日本弱体化機関として民営化すべきという主張を新聞広告で訴えるなど活発に機敏に動いている。リベラルや左派側から分析した本も次々と出されて、かれらの正体もだいぶ見えてきた。かれらとの闘いを有効に進めるためには、まずかれらの正体をできるだけ正確に掴んでおくことが必要だと思います。その一助になればと思います。(大谷浩幸) |
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