「瑞穂の國記念小學院」の敷地取得価格の怪
- 2017年 2月 18日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
大阪府豊中市に立地する「瑞穂の國記念小學院」の敷地取得価格に関わって、国有地売却価格が市価に比べて著しく低額との疑惑が、一部報道に依り明らかになり、政治家、乃至、その家族が何らかの関わりがあるのではないか、との憶測が披歴されている処です。
昭恵夫人が名誉校長 大阪の新設小学校に不可解な土地取引 日刊ゲンダイ 2017年2月11日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199294/1
当該の学校が立地する敷地は、元々、国有地であった処であり、管理する官庁の近畿財務局が国有地売却の手続に基づき売却したものです。 従って、一般には、売却手続として競争入札されるのですが、特別な事情があったのでしょうか、「随意契約」に依り売り払った、とのことです。
肝心の売価ですが、国有地に限らず公有地の売却に当たっては、手続が定められていて、売価も職員が任意に交渉するのでは無く、爾後の会計監査に当たっても手続の正統性を客観的に証明可能とする書証を置くので普通です。 従って、売価決定に当たっては、鑑定士に依る不動産鑑定を行うのが普通です。 手続も担当職員のみでは無く、手続を第三者にも証明可能なものとすべく「委員会」等で行うのが一般的です。 爾後に会計監査に当たり問題視されないようにする訳です。
処で、不動産鑑定に当たっても、売価決定には、各種の官庁資料が入用になります。 不動産売買価格の実例では、国土交通省土地総合情報システムを利用してシステム中の不動産取引価格情報を集めます。 当該情報に最近の事例が無ければ、不動産登記簿を閲覧して最近の事例を集めます。 何れにも実際の取引価格が登載されているからです。 因みに、当該取引価格は、土地総合システムには、未だ掲載されていません。 勿論、不動産登記簿には、登記事項ですので必ず登載されています。
国土交通省 土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
更に、固定資産評価額も市町村の当該部門で参照、収集し、国税庁の路線価参照に依り土地評価額を調べます。
因みに、当該所在地に係る路線価を調べますと、当該学校法人立地の敷地東側の路線価は1平方メートル当たり14万5千円である処から、これに全体の面積8,770平方メートルをかけますと、12億7千6百50万円になります。
国税庁 平成28年分財産評価基準を見る
http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
売価決定に当たり、著しく低額になった事由が存在するのでしょうが、余程の事由が無ければ、一億、二億、程度の売価になる訳が無く、売価決定の事由と決定手続の調査が必要でしょうし、当然、国会の場で質問もされることでしょう。 正当な事由があり、売価が正当と認められなければ担当職員の責が問われるでしょうし、国民の資産が不当に廉価で売られた責は、当然にその上司にも及び、更には、政治的責任も追及されることでしょう。
こうした事務手続は、第三者への証明可能なもので無いと担当事務責任者が責められ、辞表を出さねばならない末路が待っています。 近畿財務局のためには、正当性の立証可能な事務であることを祈っています。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6516:170218〕
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