(報告)(2/13,14)核のゴミ並びに再処理事業に関する政府(関係各省庁)との会合
- 2017年 2月 19日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
- 20170213 UPLAN 日本原燃と使用済核燃料再処理機構との勉強会 – YouTube
- 20170214 UPLAN【原燃欠席・経産省録画拒否】核ごみに関する政府との会合 – YouTube
2月13日、14日の2日間にわたり「核ごみ問題研究会」(北海道)が主催の対政府会合がもたれました。以下、簡単にご報告申し上げます。別添PDFファイルは、当日参加者に配布されました資料の他、若干の関連資料を添付してありますので、下記の当日VTR(BY:UPLANさん)とともにご覧いただければと思います。このVTRをご覧いただければ一目瞭然ですが、当日は2日間とも、主催者側や参加された一般市民の方々が極力発言や要請事項を我慢して、出席した政府関係省庁・機関にあらかじめ送付しておいた質問事項の説明をさせています。しかしながら、依然として回答が十分ではないことや、日本原燃㈱のように、事前に準備もし、日程も日本原燃の都合に合わせて設営しているにもかかわらず、当日すっぽかしをして「逃亡する」などという組織もあり、この国の原子力行政の説明責任の乏しさ・至らなさが目立ちます。いずれにせよ、原発・核燃料サイクルなどという危険極まりない、しかも経済的に無意味な(というよりはマイナスの)事業は一刻も早くやめさせ、日本から「核事故の脅威」「核ゴミの将来負担」を一掃しなければならないことは申し上げるまでもありません。
1.(2.13)日本原燃と使用済核燃料再処理機構との勉強会
この日は日本原燃㈱と、日本原燃㈱に再処理を委託する新組織「使用済燃料再処理機構」との「勉強会」でした。「使用済燃料再処理機構」とは初めての顔合わせとなります。面白いのは、当日、主催者が呼んでもいない経済産業省が、まるで「教育ママ」よろしく、かわいい息子の「使用済燃料再処理機構」の答弁の教育的監視・監督のためにわざわざ参加したことです。VTRをご覧になればお分かりになると思いますが、「使用済燃料再処理機構」に関連した法令的なことや、政府・経済産業省の方針に関連するようなことについては、経済産業省がもっぱら回答していたように思います。ともあれ、このVTRでやり取りされている内容は、結構、いろいろなことが入っていて、これまで他では耳にすることがなかったことが含まれています。ぜひ、ご覧になってみてください。
<当日録画>
https://www.youtube.com/watch?v=OKGIDiU5Wos&t=2002s
(VTRは最初からご覧ください。一番最初に重要なコメントがUPLANの三輪さんによってなされています。それには、画面下に細い横線があり、そこにカーソルをあてると、自分が見ている画面が最初から何分目の画面かが表示されます。VTRを最初から見るには、カーソルを一番左端の「0:00」のところまで持って行ってクリックしてください。なお、その横線の下には、VTR全体の所要時間(約1時間53分)と、画面の最初からの経過時間が表示されています:田中一郎)
(田中一郎コメント)
新しく創られる事になった「使用済燃料再処理機構」という組織が、再処理事業の安全性を高めるとか、経済的な効率をよくするとか、純粋に事業をよりよくするため、高度化するためのものなどではなくて、単に再処理事業の管理セクションの屋上屋を重ねるだけのムダなものであることは、翌日の2.14に福島みずほさんの事務所経由で届いた主催者側質問に対する日本原燃㈱の回答(下記の(2.14)別添PDFファイル(2)を参照:該当箇所を下記に抜き書きします)からも明らかです。
つまり、この組織ができることで、再処理事業には何の付加価値も生まれないと言うことです。
(問5-①)「再処理等拠出金法が施行になって再処理事業者として、具体的に変わったことは何ですか?
(答5―①)「拠出金対象事業の委託元が電力から機構に変わったが、業務を遂行する上では、これまでと何ら変わりはないと考えている。引き続き安全確保を大前提に業務を遂行してまいりたい。
では、この組織は無意味なのかというと、そうではありません。この組織の目的は、下記<関連サイト>の(1)経済産業省HP「「再処理等拠出金法案」閣議決定」で説明されているように、電力自由化の下では、これまでのように電力会社が自主的に再処理費用を積立金として積みたてる(*注)という形では、いつ何時、当該電力会社が他の電力会社との競争上、劣位に置かれ、収支的・金銭的に厳しくなって再処理事業からの撤退を余儀なくされるかもしれないので、そういうことがないよう、この「使用済燃料再処理機構」を再処理費用拠出金の受入れのための組織として設立し、電力会社に対しては再処理費用の拠出を義務化する(再処理事業から逃げられなくする)ということにあります。言い換えれば、電力会社は、電力自由化の時代にあっても、かならず自身の電力料金の中に再処理費用を入れ込むことを法的に強制されるようになるということを意味するのです。言ってみれば、「使用済燃料再処理機構」=「再処理事業恒久化(のための拠出金まきあげ)機構」ということです。
はっきり申し上げて、こんな組織はいりません。一刻も早く、政権交代の上、再処理工場とともにスクラップです。
(*注)表面上は電力会社は再処理費用を自主的に積み立てるという形を取っていますが、実は、電力各社が各原発の新規建設にかかる設置許可を得る際に、必ず使用済核燃料の処理方法の記載が求められ、そこに「再処理」と書かなければ事実上、許可が出ない仕組みになっているようです。ただ、その場合、「全量再処理」とは書かされていないようなので、一部を再処理しない、というのは理屈の上ではありえることになります。つまり「全量再処理方針」は現状では法的にはグレイで、設置許可書の読み方次第では、使用済核燃料を一部再処理しないでも済む可能性はないとは言えません。今回の勉強会においては、経済産業省は、仮にそういう電力会社が出てきた場合については、その時に考える旨の発言をしていました(「全量」再処理方針をやめる可能性は否定しない)。それから、拠出金徴求組織は今回設立された「使用済燃料再処理機構」だけとは限らない、という点についても経済産業省に少し突っ込んでヒヤリングしたところ、興味深い回答が得られています。VTRをご覧ください。
<別添PDFファイル>
(1)日本原燃と使用済核燃料再処理機構との勉強会:質問事項(2017年2月13日)
(2)日本原燃㈱ 会社概況書(2015年(平成27年)度)
http://www.jnfl.co.jp/ja/company/finance/file/37.pdf
(参考)財務情報 会社案内 – 日本原燃株式会社
http://www.jnfl.co.jp/ja/company/finance/
(3)核燃料サイクル事業という「不良債権」:『原発は不良債権である』(金子勝岩波ブックレット 2012年5圧)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032751839&Acti
on_id=121&Sza_id=B0
(4)核燃料サイクルの本当の話をしよう(澤井正子『科学 2014.5』)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20145-632c.html
(5)六ヶ所核燃サイクル施設の現状について
http://nakuso-gk.net/siryou/01-genjyou.pdf
<関連サイト>
(1)「再処理等拠出金法案」(原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律)が閣議決定されました(METI-経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160205001/20160205001.html
(2)基本情報|使用済燃料再処理機構
http://www.nuro.or.jp/about/base.html
(3)再処理等拠出金法の成立と核燃料サイクルについて(経済産業委員会調査室:百瀬孝文 立法と調査 2016. 8 No. 379)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2016
pdf/20160801131.pdf
(4)会社概要 会社案内 – 日本原燃株式会社
http://www.jnfl.co.jp/ja/company/about/
2.(2.14)「核ごみに関する政府との会合」(第5回)
この日は主に核のゴミ処分に関することについてのヒヤリングが主です。その他に、実験炉「常陽」や作業員被ばくなどについても質問しています。下記の資料及びVTRをご覧ください。なお、日本原燃㈱はこの日もすっぽかしをしております。ただ、この日の質問事項については、会合の途中に福島みずほ事務所経由で文書回答が来ました(⇒ 別添PDFファイルに添付:下記)。
<当日録画>
https://www.youtube.com/watch?v=7mD3rfawe-Q
(VTRは最初からご覧ください。一番最初に重要なコメントがUPLANの三輪さんによってなされています。それには、画面下に細い横線があり、そこにカーソルをあてると、自分が見ている画面が最初から何分目の画面かが表示されます。VTRを最初から見るには、カーソルを一番左端の「0:00」のところまで持って行ってクリックしてください。なお、その横線の下には、VTR全体の所要時間(約1時間53分)と、画面の最初からの経過時間が表示されています:田中一郎)
<別添PDFファイル>
(1)「核ごみに関する政府との会合」(第5回)(質問事項)(2017年2月14日)
http://becquerelfree.hatenadiary.jp/entry/2017/02/02/211935
(2)日本原燃㈱からの回答(2017.2.14)
(3)(北海道)幌延町における深地層の研究に関する協定書(及び関連資料)(2017.2.14)
(4)核ゴミ会合資料:マスコミ報道(1)(2017.2.14)
(5)核ゴミ会合資料:マスコミ報道(2)(2017.2.14)
<関連サイト:線量告示>
私がVTRの最後の方で質問したことの回答です。放射線管理区域指定基準に「1m3当たりの空気中に存在する放射性物質のベクレル数」(呼吸被ばく)というものは定義されていないのか、との私の質問に原子力規制庁の役人が「線量告示」に核種ごとの基準数値が出ていますとのことだったので、ネット検索したものです(下記の3つ)。ただ、専門家にやさしく解説していただかないと、下記のサイトを見るだけではシロウトにはよくわかりません。ただ、当然ながら、空気中に存在する放射性物質のベクレル数の基準は(放射線管理区域指定基準)、放射性物質ごとに数字が違います。ただ、このようなものをどうやって計測するのだろうかという疑問は残ります(単に「お飾り」のように「放射線管理区域指定基準」として「形だけ」存在しているものなのかもしれません)
(1)◎実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示:経済産業省(⇒ これの第二条、第七条)
https://www.taisei-shuppan.co.jp/support/code1487/1487/dat/data.files/00100.
htm
(2)試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき、線量限度等を定める告示:文部科学省(⇒ これの第二条、第七条)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19880726001/k19880726001.html
(3)緊急作業時の被ばくに関する規制に関する関係規則等の改正等案の概要
https://www.nsr.go.jp/data/000107364.pdf
<その他関連サイト>
(1)「御用学者」の異常な審査 危険な「六ケ所」活断層:渡辺満久(東洋大学教授):FACTA ONLINE https://facta.co.jp/article/201210022.html
(2)核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団
http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/
(3)三陸の海を放射能から守る岩手の会 HP
(4)「プルトニウム政策・東海再処理工場・六ケ所再処理工場」に関する市民・政府官僚意見交換会 報告 – becquerelfree’s blog
http://becquerelfree.hatenadiary.jp/entry/2017/01/29/101629
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6518:170219〕
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