改憲阻止運動のシンボルに 東京都府中市に「9条の碑」
- 2024年 6月 3日
- 時代をみる
- 「9条の碑」「リベラル21」岩垂 弘
「日本国憲法をゆがめようという流れは、なお強いものがある。そういう時だからこそ、憲法を愛し、はぐくむ思いを全国に発信しよう」。そんな願いを込めた「9条の碑」が東京都府中市に完成、5月7日、除幕式が行われた。このような碑は全国でつくられつつあり、府中市のそれは38番目、東京都内では2番目という。
「9条の碑」の所在地は府中市南町6丁目。芝間稲荷神社の近くだ。「9条の碑」は、戦争の放棄と軍備及び交戦権をうたった憲法第9条の全文を刻んだ碑と、アヒルを抱いた女性の高さ2メートルのブロンズ像で構成されている。
なぜ、平和の象徴のハトでなく、アヒルなのか。「あえて飛べない鳥を選び、一歩ずつ自分で歩いて平和を築くという意味を込めた」のだという(5月8日付東京新聞)。碑は、地元の彫刻家で青山学院女子短大名誉教授の久保制一氏が制作した。用地を提供したのは地元の人である。
碑を建立したのは、市民団体「三多摩初の『9条の碑』を府中につくる会」(共同代表=姫田光義・けやき平和コンサートの会会長、中央大学名誉教授。斉藤寿美代・けやき平和コンサートの会副会長、ビアニスト。濱田嘉一・「東京大空襲を忘れない」実行委員会代表)である。会員は府中市内の市民や団体だ。
賛同人には、国際ジャーナリスト・伊藤千尋、作曲家・池辺晋一郎、弁護士・梓澤和幸、元文科省事務次官・前川喜平、ジャーナリスト・石川文洋、エッセイスト・海老名香葉子、東京大学名誉教授・小森陽一の各氏らが名を連ねる。
同会の目的は「『9条の碑』を各地に広げる一翼となり、平和運動を発展させる」ことにある。が、なぜ今そうした運動を始めたのだろうか。同会発行のチラシは言う。
「平和と憲法がいま重大な危機にあります。政府は2022年に敵基地攻撃能力保有や『防衛費』大幅増を決めました。軍備拡大競争は、戦争の危機を高めることにしかなりません。軍拡とセットになっているのが改憲改定、特に9条2項の『陸海軍その他の戦力を保持しない』を撤廃する動きです。首相は2024年秋までの総裁任期中に憲法を改定したいと表明しています。いまこそ平和への誓いと戦争放棄を謳った憲法9条の精神が尊ばれる時です」
「いまこそ、憲法9条の平和のココロをカタチに」。同会が碑建立運動に当たってつくったキャッチコビーである。
建設費は募金でまかなった。約800人から1,100万円(目標は800万円)が集まった。同会会員の話では、除幕式には約200人が集まった。その後も、毎日、訪問者があり、大阪からやってきた人もいるという。
<碑までのアクセス>バス:京王線「府中駅」[6番バスのり場]、京王線・JR南武線「分倍河原駅」、京王線「中河原駅」の各駅から府中市のコミュニティバス「ちゅうバス」の[よつや苑西ルート]に乗車。最寄りのバス停は、「芝間稲荷神社」
初出:「リベラル21」2024.6.3より許可を得て転載
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