日本における再生可能エネルギー開発の可能性について(「The New Yorker-Online」記事の紹介)
- 2011年 11月 9日
- 評論・紹介・意見
- グローガー理恵日本における差異性可能性エネルギー
日本における再生可能エネルギー開発の可能性について、「The New Yorker-Online」で興味深い記事がありましたので、是非ご紹介させて頂きたいと思いました。下がこの記事へのリンクです。
http://www.newyorker.com/online/blogs/evanosnos/2011/11/does-japan-really-need-nuclear.html
また、下は記事に出てきます「Rocky Mountain Institute」サイトへのリンクです。
http://www.rmi.org/
概説:ザ・ニューヨーカー オンライン-The New Yorker Online(2011年11月4日付)
エヴァン・オスノス氏の記事
日本は本当に原子力が必要なのだろうか?
日本の世論調査は、国民の中で原子力反対者が増加している事を示しているのだが、重要な影響力のある知識人や政治家は、日本が原子力をあきらめる余裕は全くないと断定している。
ワシントンにある戦略国際問題研究所特別委員会から出た(日米協力に主に焦点を置いた)新しいリポートは次のことを指摘している: 「日本エネルギー経済研究所は、もしこのまま原発再稼動が許されないのだとしたら、日本における国内総生産は3.6%までの割合で減り、原子力なしのシナリオとして、失業クレームが19万7千件増えるであろうという事を推定した。」
ここで記者は、「本当に、原子力以外の方法はあり得ないのだろうか?」という疑問を明らかにしようと、 *ロッキー・マウンテン・インスティチュート (Rocky Mountain Institute) のチェアマンそして首席科学官であるアモリー・ロヴィンス (Amory Lovins) 氏に訊ねてみることにした。
ロヴィンス氏の返答はこうであった:
もちろん、どの発電所も稼動しないで、それについて何もなされないのだとしたら経済的問題が生じるのは当たり前の事だ。日本国内で再生可能エネルギーを推進しようとしている孫正義氏は、全道府県47人の知事のうち、36人の知事から、再生可能エネルギー推進への支持を得た。孫正義氏は、「私と他の民間セクターのリーダーで、ここ数年以内に原子力を日本製の再生可能エネルギー源で置き換えることが出来る」と言った。
シアトルよりも太陽の照ることが少ないドイツでは、80億ワットの太陽電力を一年で取り付け、20億ワットの太陽電力を一ヶ月で取り付ける事をやってのけた。日本は、遥かにもっとたくさんの太陽に恵まれているし非常によい風力源もある。しかし、日本には独立した送電網オペレーターがいない。日本では、送電網を握っている10の電力会社が、ほんの僅かの電量しか送電網へ売ることを許可していない。日本の電力会社は、勝手に自分たちの競争相手を誰にするか決めることが出来るのだ。
しかし、全ての種類の再生可能エネルギーにおける、日本が持っている潜在的能力・可能性は、全ての産業国の中では日本がトップにランキングする。
しかし、日本の現状は、再生可能エネルギーの可能性を開発すること、それを査定することでさえも、原発にとっては致命的な競争相手と見なされ、片っ端から抑制されてきた。
もしこういった抑制がなくなり、再生可能エネルギー開発・推進が自由になるのなら、孫さんが言っているように、日本は誰よりも速いスピードで再生可能エネルギーに切り替えることが出来る。
エネルギー効率の観点からも、日本は驚くべきエネルギー効率の潜在的可能性を持っている。:日本の建築物はアメリカの建築物と比べても、エネルギー効率が遥かに落ちるし、2005年までの日本における一人当たりの電力消費量はニューヨークよりも多かった。日本でも、環境学研究日本総合研究所が、日本の全体エネルギー効率を3倍に出来るというコストエフェクティブな方法を見出している。
皮肉な事なのだが、第二次世界大戦中の日本国内で日本の産業を途切れさせずに続けさせることが出来たのは、再生可能エネルギーのお蔭だった。当時生産された全ての電力の78%が小さな水力発電ダムから生産されたのだ。中央発電所と違って、小さな水力発電ダムは、空爆に対しても難攻不落であった。
最後に、ロッキーマウンテンインスティチュートの新出版物「火の再発明-新エネルギー時代における大胆なビジネス解決策」が紹介されている。:
-石油なし、石炭なし、原子力なし、天然ガスを1/3減量し、平常のビジネスコストよりも5兆ドル安いコストで、2050年にはアメリカが、2.6倍大きい規模の経済を動かすことができる方法が明かされている。そして、これを成し遂げるためには、新発明や法令も必要ではない。
-このようなトランジションはビジネスによって遂行されるため、その結果としてビジネスへの利益を潤すことにもなる。
-ドイツでも、これと似た再生可能エネルギーへの道を歩み始め、結果として既にドイツの雇用数は、2008年以前よりも増えている。
-デンマークは保守党政権の下、既に生産されるエネルギーの36%が再生可能エネルギーであり、国の経済と安全をより強化するため、2050年までには完全に化石燃料から脱することを図っている。
-日本は、再生可能エネルギー開発への進路を考え始めたのだが、日本での再生可能エネルギーへの道の確立は、旧い独占権を守ろうとする輩からの脅かすような策略に動揺されているようでは、不可能である。
*(注)Rocky Mountain Insistute-RMI (ロッキーマウンテンインスティチュート): アメリカ合衆国にある。1982年にAmory Lovins(アモリー・ロヴィンス)その他によって設立された。Amory LovinsはRMIのアクティヴな思考するリーダーとして、チェアマンとしてまた首席科学官として現在も活躍している。このコロラドを本拠地としたRMIは現在、フルタイムのスタッフ総数約90人、年間予算およそ1千500万ドルで海外進出も成し遂げている。RMIは、エネルギー及び資源効率のために有益なイノベーションに特別の焦点を置き、研究、刊行物、コンサルティング、サステナビリティーの全体的分野についての講演などに貢献している。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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