協同・社会的事業所の七原則の提案
- 2018年 1月 14日
- 時代をみる
- 共同連代表堀 利和
私が代表を務める共同連は以前、障害ある人ない人が対等平等に共に働く「共働事業所」づくりの運動を進めてきたが、イタリアの社会的協同組合法(B)と韓国の社会的企業育成法を受けて、現在「社会的事業所」制度の法制化をめざしている。それは、社会的に排除された人・脆弱階層を30パーセント以上、そしてそうでない人と共に働く社会連帯経済の実態経済としての社会的企業の一分野に属するものである。それではここで、私が定式化した「原則」と「テーゼ」についての抜粋を紹介したい。
共働・社会的事業所の七原則
2 (寛容性) 労働はそれぞれの能力と特性に応じ、かつ事業の役割において働く相互の寛容性。
3 (対等性) 民間企業では人間関係が上下の縦型、福祉施設では職員と利用者の関係となっている。これに対し、共働は相互に対等平等な横型の人間関係におかれる対等性。
4 (制度) 必要経費等以外の純収益を、それぞれの生活の実態と状況にあわせて分配する分配金制度。
6 (民主制) 事業所の運営は、原則全員参画を前提にした民主制。
社会的事業所の価値に関するテーゼ
1 社会的価値
重度の障害者が働くということは、現代社会にあって「価値」である。社会的に排除された人も同様である。その人たちが生産する物やサービスは、同時に消費者にとってもより有益であることを目的としている。安心・安全、環境にやさしい、人にやさしい「価値」でもある。この二つの「価値」は同一の価値を形成し、現代社会を問い、その持つ意味は「社会的価値」である。(以下、略。)
そして、社会的事業所に関連して3つの社会様式を提言すれば、社会参加、社会統合、そして社会包摂の三段階論となる。それは一般就労としての社会加、就労支援としての社会統合、社会連帯としての社会包摂である。最終段階とての社会包摂は、社会参加と社会統合をアウフヘーベンしたものである。
経済学においては、労働の形式的等価交換・実質的不等価交換、労働の実的等価交換・等労働量交換であり、そして労働の人間的不等価交換・不等労働交換である。
すなわち、それは、「否定の否定」の弁証法によって社会参加、社会統合を止揚した社会包摂という社会様式の発展的三段階論というものになる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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