「大新聞」の取材 ―― 経産省前テントひろば 88日目 ――

<テント日誌 12/7(水)>     

 今日は、大雨の昨日と打って変わって晴れ渡ったすがすがしい朝だ。外務省と財務省に挟まった国会へ向かう坂道は銀杏の落ち葉で黄色の絨毯を敷きつめたように見える。文科省裏手の超高層ビル(中央合同庁舎)に朝日が映えてまぶしい。地下鉄の霞が関駅には、丸の内線、日比谷線、千代田線の3線が集中している。朝の8時ごろ、出勤のピークを迎える。大半が霞ヶ関の官僚達だ。

 その中の一人がテントに来て、引いてきたキャリアーからダンボール箱をおろし、「皆さんで食べてください」といって差し出し「出勤途中で急いでいるので」と名前も告げずに立ち去った。箱の中には、りんご、蜜柑、柿、レモンが満杯に詰められていた。一口に官僚と言うが、やはり彼らも人間だ。当たり前のことだけれど。やはり、昨日のリレートークのようなものは続けねば、と思う。

 午前11時朝日の記者が取材に来た。政治部や社会部の記者でなく文化担当で、世界的に展開されている‘オキュパイ’との関係で取材したいということであった。政治的、社会的にはテントを黙殺するという姿勢は変わっていないのだろう。これが朝日の限界ということか。

 午後3時アバーズ(世界的な署名サイト)のベン・マーガレット(オーストラリア)さんと通訳の人がテントを訪れた。‘とつきとうか’の座り込みをしている福島の椎名さんが女性テントで応対する。原発いらない全国の女たちの

 座り込みへの賛同署名が13万6千人に達し、今も増え続けているという。その賛同者リストを持参してくれたというわけだった。これには毎日新聞の記者が取材で同席した。

 もんじゅの集会に参加したたんぽぽ舎の柳田さんによれば、経産省前テントひろばに連動して各地の原発に対する再稼働反対のたたかいが広がりつつあるという。各電力会社本社の前に座り込んだり、包囲したりという行動が広がっているそうだ。霞ヶ関官僚のリアクションや、大新聞の微妙な変化などもこうした運動の広がりの反映ということなのかもしれない。このところ右翼も静かだということも、明るいニュースの一つということになろうか。

たんぽぽ舎「 地震と原発事故情報 その263」より転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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