1)第6回現代史研究会(ちきゅう座)討論集会を無事に終えて安堵しております。予約していた3名がお見えになれず、予想外に日大闘争の仲間が一人駆け付けてくれたハプニングもありました。30名の参加者と友好な交流が持てたことが嬉しかったです。また『怒りをうたえ』ダイジェスト版のDVDが欲しい(外国の人に見せるのに8時間は無理)と言われ、商品ではないことを伝え、DVD3枚組の製品を購入してくれたらサービスでお付けしますと、製品版を購入いただく珍しいこともありました。
テーマ:混迷する世界の現状―現実をどう見つめ、過去の運動にどう学ぶのかー
とりわけ「過去の運動にどう学ぶのか」という趣旨に踏まえ、70年安保・沖縄闘争の記録映画『怒りをうたえ』をご覧いただきました。
上映後の討論会で67年10・8羽田闘争において、学生達が暴力的な行動に出た理由はいったいどこにあったのか、という質問がありました。
討論のまとめで私から次のような説明をしました。
・私は日大の仲間と10月8日羽田弁天橋で闘いました。アメリカのベトナム戦争に加担するために日本の首相が羽田空港から南ベトナムを訪問する10月8日、これを阻止するために羽田空港に通じる弁天橋でデモ禁止の警察・機動隊と激しく衝突し、闘いました。
・当時イデオロギー的には、学生は資本家階級と労働者階級の間に位置する中産階級、いわゆる「プチブル」であり、革命の主体にはなりえないと自覚はしていました。しかし学生には革命的情勢を切り開く先駆性がある。学生は批判精神、社会矛盾に敏感であり、革命の方向性を決定づける重要な層として存在しているという考えでした。
・2025年の今考えると、欠けている点があったなぁと思うところがあります。実は本日の集会にちきゅう座運営委員会委員長の合澤清さんから環境運動53年、千曲川・信濃川復権の会事務局長矢間(やざま)秀次郎さんが参加されると聞いてました。矢間さん著書の『揺るぎの時代を生き抜く』(合同出版)を会場に持参して、サインをいただこうと待ちかまえていたのですが、結局不参加となってしまいました。この本の中に「分権・自治を軸に社会経済システムの転換・改革は、かつての明治維新、日本帝国の崩壊につづく第三の変革といわれる」とある。この文章を読んだときにすぐに思い浮かべたのは2022年6月投票の杉並区長選挙で、岸本聡子さんが当選したときの場面である。「住民運動を母体として自治体ごとの市民政党がつくられ、首長や地方議会の選挙で勝利し、国の政府やEUといった大きな権力にも敢然と物申していく」「公共(コモンズ)の回復のために、地域主権主義(ミュニシバリズム)運動を実践していく」(『地域主権という希望』岸本聡子、大月書店)のことである。
矢間さんも岸本さんも「国の言うことを聞いているだけでは、地域がやっていけない」という点で共通している。なるほど私が10・8羽田闘争で闘った先駆性理論とは真逆の、「地べたから、私たちの民主主義を始めよう」の挑戦が開始されているのである。
2)『怒りをうたえ』には多くの政党幹部、諸戦線代表者の演説場面が出てきます。
わかる限り肩書と氏名を表示しましたが、第3巻(第3部)では25人余りになります。九州小倉・山田弾薬庫輸送阻止 労働者、自民党総裁 佐藤栄作、社会党委員長 成田知已、日本共産党議長 野坂参三、民社党委員長 西村栄一、公明党委員長 竹入義勝、全国全共闘議長代理 鈴木優一、小西誠 元三曹、日本社会主義運動の草分け 荒畑寒村、全国反戦世話人 今野 求、総評議長 堀井利勝、総評事務局長 岩井 彰、沖縄全軍労委員長 上原康助、合化労連委員長・総評前議長 太田 薫、6月行動委・ベ平連 大沢真一郎、ベ平連 福富節男、 東京中央メーデー 代表者、北富士忍草母の会事務局長 天野美恵、北富士忍草母の会会長 渡辺喜美江、ベトナムの平和と統一のために闘う在日ベトナム人の会(ベ平統)、樺 光子さん、砂川町基地拡張反対同盟 宮岡政雄、アジア婦人会議 松岡洋子、国鉄労働者、三里塚反対同盟青年行動隊長 萩原 進。
いずれの方も非常に思いでの深い、印象的な人々です。多くの方が亡くなられたが、小西誠さんは軍事ジャーナリストとして現在も活躍されております。2月24日の本集会にも参加を呼びかけましたが、次のメッセージをいただいております。「都合により参加できませんが、ミサイル基地化が進む沖縄では、「戦争前夜」という現実認識があるのですが、本土では、まるでないのです。
僕の場合、現在の全てを日米の南西シフト=対中国戦争態勢との闘いに重点を置いています。特に、日本の知識人ばかりか、反戦運動・革命運動界隈においても、「軍拡反対」「改憲反対」と叫ぶだけで、この南西シフトによる恐るべき琉球列島―九州のミサイル基地化・要塞化に反対しない、とんでもない風潮が続いてる中、このテーマによる研究・調査、全国での講演などに、ほとんど全てを費やしています。このため、出版社でさえも縮小しています。」と強い危機意識をお持ちです。「こういう認識ですので、このテーマに係わる参加ということなら、別の機会にでも積極的に参加したいと思います。」と述べています。
3)映画『怒りをうたえ』の中で、69年末小西さんは「私の闘いは、人民に向ける銃を権力者に向けるという、そういうことです」と言われました。今もなお、沖縄・南西諸島の軍事要塞化をすすめる日本政府と対決し、闘っている小西さんの決起に連帯すべく、ちきゅう座での小西講演会を企画して行きたいと思います。本日の集会の成果を引き継いでいきましょう。
(以上)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座https://chikyuza.net/
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