選挙結果や今後の政治動向についてメールや電話での話が増えた。話は大雑把にいえば一つは民主党の敗北をどう見ているかということであり、もう一つは今後の政治動向はということである。話はもちろんもっといろいろあるわけでそれが楽しいし、思わぬことに気がついたりもするのだが、書き言葉にすると微妙なニュアンスが落ちてしまうように感じる。少し残念だ。
民主党の敗北は消費税を持ちだしたことだとされているが、それは一つの要因に過ぎないと思う。基本的なことは政権交代後の民主党政権の在り方、政党や政治家の態度に対する批判だと僕は見ている。「はげた市民派の看板」とはある新聞記事の見出しだが、これはもう少し小さい「自民党と同じなら<存在根拠なし>」という見出しと関連させれば、菅政権の敗北の要因を言い当てていると思う。僕は菅首相や民主党首脳の言動が国民的な不信を招いたことだと考えてきたがあまり離れてはいない。言行不一致がはなはだしいというより、それを当たり前のことのように振舞ってきた態度への不信である。政権交代への期待は民主党の政権構想だけでなく、政党や政治家の態度(振舞い)にもあったはずである。態度の斬新さが期待されていたのに地金が出て幻滅したのだ。
今後は政界再編という名の政治的激動が避けられないと僕は見ている。それを政治の不安定と懸念する必要はない。民主党も自民党もみんなの党も政策的には似通って行く。そうであれば政治的に安定するように思われるが、逆に政局的(政争的)対立は激化する。コップの中の嵐とでもいうべき政治抗争は進展するのである。彼らの政策が似通っていくのは国民の意向(意思)と歴史的方向をつかみ取っているためではなく、それがないためだ。だから、マスメディアの支持率調査などに右往左往しながら、政局としてつまらない対立を増長させることになる。民主党も自民党も党内は一致していないが、それは政治的構想が不一致のためだ。僕は政権交代時に民主党が掲げた政権構想を曖昧なところがあるがそれなりに評価できると思った。外政・内政・権力運用についてそれを検討し、より明瞭にするための党内議論を活発化すればいい。初心に帰れなんて言いたくないが、スタートラインにというならここまで戻って検討すればいい。菅首相と小沢一郎の対立がしきりに伝えられる。血で血を洗う権力闘争がはじまったと雑誌の見出しにあったが、対立が不可避ならそれを政治構想上のこととして進めるべきだ。しかも公開的に。それなら面白いじゃないか。