「みんな気づいているだろうか 地震防災が原発の妨害を受けていることを」など―地震と原発事故情報【TMM:No1378】

2012年3月10日(土) 地震と原発事故情報
                               転送歓迎

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 2月20日、関西電力高浜原子力発電所3号機が定期検査で停止
 残るは東電1基、北海道電1基の計2基、全原発停止へあと一歩
  【東京電力:柏崎刈羽6号 2012年3月26日に 定検入】
  【北海道電力:泊3号 2012年4月末までに 定検入】
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 ★1.みんな気づいているだろうか
    地震防災が原発の妨害を受けていることを。
                                           《たんぽぽ舎 山崎久隆》
 ★2.告発状1(要旨)              2012年3月7日
    東京地方検察庁 御中
      告発人  槌田敦 元理化学研究所研究員、前名城大学経済学部教授
 ★3.読者からイベントのおさそい
           (お問い合わせは主催者へお願いします)
    ☆ドキュメンタリー「3.11日常」のご案内
 ★4.書籍の紹介
        ☆「第二のフクシマ、日本滅亡」広瀬隆さんの新刊本

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★1.みんな気づいているだろうか
   地震防災が原発の妨害を受けていることを。
                                             《たんぽぽ舎 山崎久隆》
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 日本各地で「大きな地震に見舞われるかもしれない可能性が明らかになった・・・」そんなニュースが次から次にと報道されているけれど、東北地方太平洋沖地震が起きたから分かったことなのだろうか。いいや、そんなことはない。地震学者や地球物理学者や地質学者達も遊んでいたわけは無い。
 たくさんの論文がこれまでも出ていたし、多くの知見も発表されていたのに、それをクローズアップさせない勢力がいたのだ。
 どんな?もちろん原子力マフィアだ。
 報道されるかどうかが、この種の問題では一番影響が大きい。貞観地震の影響がどこまであったかとか、東北地方沖で大規模な地震が起こりえるとか、福島県沖にも巨大津波の波源域がありえるなど、阪神淡路大震災以後にたくさんの研究成果が発表され続けてきたのに、報道されなかったか、ほとんど注目されなかった。理由は、たとえば福島県沖で巨大津波などということが「分かった」ら、直ちに原発の安全性問題に直結する。
 疑惑が高まる中、とうとう証拠が上がった。以下の記事を読んでみて欲しい。
 『東日本大震災の8日前、宮城―福島沖での巨大津波の危険を指摘する報告書を作成中だった政府の地震調査委員会事務局(文部科学省)が、東京電力など原発を持つ3社と非公式会合を開催、電力会社が巨大津波や地震への警戒を促す表現を変えるよう求め、事務局が「工夫する」と修正を受け入れていたことが、25日までの情報公開請求などで分かった。』(中国新聞2月26日)
 三社とは、東電、東北電、日本原電である。
 貞観地震を「繰り返していると誤解されないようにしてほしい」と注文を付けていたと言うが、これが仙台平野に襲いかかった貞観津波について、再来の可能性があるとして対策する可能性を奪ってきた証拠だ。
 こんなことは今に始まった話では無い。東電など電力のお抱えご用学者達はよってたかって原発周辺に地震や津波が襲う可能性を否定し続けたため、原子力防災が必要ないとされるのと同時に、行政の地震防災にも大きな悪影響を与えただろう事は想像に難くない。自治体には東電など電力出身議員も多く居るので、大きな地震、津波想定を防災計画において行えば、横やりが入るのは間違いないだろう。何しろ来もしない津波に備えて何百億もの防潮堤を作るなど「常軌を逸している」と普通ならば考える。

下北半島では
 下北半島の沖、太平洋には海底活断層があることが分かっている。これが陸上に上がり、出戸西方断層となって六カ所再処理工場直下につながっているという警告をしたのが東海大学の渡辺満久教授。しかし、その見解は日本原燃により全否定されている。そのため現在に至るも六カ所村において巨大内陸地震の対策は十分取れていない。
 この断層が動くときには、太平洋沖で大きな海溝型地震が発生している可能性も高い。
その場合、津波は30mを遙かに超えるかもしれないが、再処理工場の建設時にはそんな津波は「想定外」なので、青森県も津波災害を想定していない。もちろん東通原発もだ。

岩手・宮城・福島では
 岩手県の沿岸部は原発が無いので、田老堤防のように10mを超える堤防がいくつも建設されていたが、宮城県沿岸部にはそのような堤防は見当たらない。女川原発が15mの高さにあったから助かったとはいえ、津波の想定波高はあくまでも9m、従ってそれを超える津波に備える堤防は無い。そのため女川町は原発以外は町役場も含めて、ほとんど破壊されてしまった。
 極め付きは福島県沿岸部。福島第一が最大6.1mの想定であり、北は相馬、南はいわきの何処を見ても10mの波高に備えるような規模の堤防は存在していない。

浜岡・三重では
 このように、原発立地県の沿岸部はいずれも、これまでの津波対策は十分ではないと思われる。東海・東南海・南海地震による津波に襲われる可能性のある地域で、旧浜岡町のある御前崎周辺は、目立った津波対策は無いが、対岸域に相当する三重県では、防波堤以外にも津波避難所がいくつも建てられている地域がある。海岸線がリアス式であるということも一因だが、原発が無いので一定の高さの想定をしても「妨害される」ことが少ないからだろう。
 一方、浜岡原発沖合に位置する海底には、大きな地滑り後が見つかっている。
 今回の東北地方太平洋沖地震に伴う津波が、海底の大きな地盤変状によって、より巨大化したとみられており、その観点からも、重要なポイントなのだが、例によって中部電力により「注目されないよう」工作されている。もちろん、海底地滑りを想定すれば、従来の津波波高と遡上高がすぐに倍程度にまでかさ上げされてしまい、「津波を砂丘で止める」予定が、止まらなくなってしまうからだ。もっとも、津波の高さを決めるのは少なくても中部電力では無いが。
 こういう知見に対する「従来の見解を維持したいがためだけの無意味な反論」が、あまりにも大きな被害を生み出してきたのでは無いのか。

柏崎刈羽では
 柏崎刈羽原発付近で発生する可能性のある地震は、これまでの想定では震度6弱止まりだった。解放基盤面で600ガルということは、地上では400ガルにも満たない。
 ところが実際に襲ってきた地震は、地上で700ガル、震度7に達し、解放基盤面に至っては1699ガルと、重力加速度の二倍近くに達する揺れだった。
 幸い、震源断層面が海底だったわりには津波はたいしたことは無かった。しかしこの程度の揺れの大きさでも数メートルに達する津波は起こりえる。もし5m以上の津波が来ていたら、柏崎刈羽原発は、炉心損傷を免れるのは難しかっただろう。
 柏崎刈羽原発が想定していた津波の高さはわずか3.1mだった。
 日本中の原発が海沿いにある。必然的に津波による影響を受けるが、その想定波高はどこも似たり寄ったり。浜岡を除いて10m以上の想定をしているところは何処にも無い。
 一方、10mを超える津波は日本海側でも太平洋側でも有史以来頻繁に襲ってきている。とても「異常な天災地変」などではない。平均的津波被害なのだ。
 柏崎刈羽の沖合は、プレート境界が走り、その動きによりひずみが溜まっている。プレート境界型と活断層による内陸直下型が何時起きても不思議では無い。佐渡島で起きた震度5弱の地震に、ぞっとした人は多かっただろう。まさしく時限爆弾が埋まっている。
 (原発いっしょになくそうよせあつめ新聞2月前半号より)

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★2.告発状1(要旨)              2012年3月7日
  東京地方検察庁 御中
    告発人  槌田敦 元理化学研究所研究員、前名城大学経済学部教授
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                       告発状1(要旨)              2012年3月7日

東京地方検察庁 御中

    告発人  槌田敦 元理化学研究所研究員、前名城大学経済学部教授
    被告発人 水野久男  東京電力第5代社長、那須翔第7代社長、
              荒木浩  第8代社長、南直哉  第9代社長、
              勝俣恒久第10代社長、清水正孝第11代社長

第一 告発の趣旨
 2011年3月11日に始まる福島第一原発災害の原因は、東京電力(株)の歴代社長らによる
「未必の故意」または「業務上過失」である。この問題について告発人は、すでに書籍『福島原発多重人災 東電の責任を問う』(日本評論社)などにおいて論じたが、ここに東電社長ら、特に勝俣恒久第10代社長を告発する。

第二 告発の原因
1、大災害としての福島原発事故
 東京電力は大量の放射能を環境にばらまき、強制避難で45人を死なせ、数人を自殺させ、福島県民の心身を傷害した。それだけではなく、BEIR-7報告(アメリカ科学アカデミー、2005年6月29日)によれば、生涯において100人が平均して100ミリSv被曝すると1人はがんになり、またその半分はがん死することになるから、生涯被曝が50ミリSv増と予想される福島県民200万人の場合、1万人はがんになり、その内5000人をがん死させることになる。

2、原発災害での被害の大きさ
 東電は、巨大原発事故となった場合に、その被害の大きさをすでに知っていた。1959年には、東電ら原産会議は「原子炉事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」という文書を作成していた。これによれば、雨の場合に、被害総額は3兆7300億円となる。これは当時の国家予算の2倍以上となり、今回の東日本の広域汚染を暗示する。

3、今回の福島原発災害は、安全対策費用の節約で発生した
 そもそも「原発は火力発電よりも安価である」として登場した。ところが、原発の不具合が見つかる度に安全対策の費用が次々と追加された。これにより、原子力を使う東電の売電価格は、化石燃料を使うPPS(特定規模電気事業者)の価格よりも高くなった。すでに、防衛庁を除く中央官庁のすべては、PPSから電力を購入している。
 そこで、東電の歴代社長らは、原発の安全対策費用を節約すれば、人を殺めるかも知れないことを承知しているのに、これを節約した。その結果が福島原発災害である。
 すなわち、東電による未必の故意による致死傷(刑法204、205条)事件である。また、膨大な量の放射能に対する注意義務違反で業務上過失事件(刑法211条1)でもある。

4、以下に未必の故意もしくは業務上過失としての歴代社長の罪、特に、勝俣恒久現会長の罪について具体的に述べる。
【イ.外部電力喪失で原子炉内の計測不能となる欠陥原発を放置した歴代社長の罪】
 1号機は計測不能だった7時間で、3号機は15時間で、事故の最終段階になっていた
【ロ.立地条件の改悪と防潮堤を形ばかりにした歴代社長、特に勝俣社長の罪】
 10mの津波に襲われれば、遡上高は15mになるとの報告があったのに、無視した
【ハ.非常用発電機をタービン建屋地下室に放置した勝俣社長の罪】
 5、6号機と同様に、1~4号機でも裏の崖の上に発電機を設置すれば、事故は防げた
【ニ.原発電源相互融通の見送りについて勝俣社長の罪】
 第二原発との電力融通があれば、すべての原子炉で深刻な事故にはならなかった
【ホ.水素逃し口を作らず、1号機の建屋を水素爆発に至らせた歴代社長の罪】
【ヘ.1号機、非常用復水器の欠陥を放置した勝俣社長の罪】
【ト.2~6号機、残留熱除去系から蒸気凝縮系を削除した勝俣社長の罪】
【チ.放射能の放出情報を住民に知らせなかった勝俣会長と清水社長の罪】
 放射能の放出を住民に知らせず、これを放置した罪は、自動車事故において応急救命と2次災害防止の措置をせず、被害者を現場に放置する轢き逃げの罪に相当し、後に怖くなって自首する未必の故意の犯罪である。この責めは勝俣会長と清水社長が負う。

第三 結語
 以上述べたように、福島第一原発事故の原因は、イ.からト.について、勝俣社長ら歴代社長による安全対策費用の節約であった。勝俣社長らは、安全対策費用を節約すれば事故になることをよく知っているから、未必の故意という殺傷罪となる。
 チ.は、事故を起こして住民に被害を与えた場合、この被害を大きくしないための加害者責任の犯罪である。
 福島原発事故は、これまでの原発巨大事故と本質的に異なる。スリーマイル島原発事故(1979年)は、「逃し弁開閉の誤信号」が原因だった。チェルノブイリ原発事故(1988年)は、「制御棒の設計ミス」であったから、これらには犯意はない。しかし、今回の福島事故は、「安全費用の節約」という未必の故意が原因であり、重大な犯罪である。
 原子力発電は事故のたびに安全費用が追加され、その安全費用は高騰する一方である。
そのため、今後も安全費用の節約による原発事故が続発する恐れがある。
 この将来予想される事故を防ぐためにも、東電歴代社長、特に勝俣第10代社長には、犯罪事実ごとに未必の故意による致死傷罪(刑法204、205条)、または業務上過失致死傷罪(刑法211条1)が適用されるべきと思われ、ここに告発する。

※編集部注:4、以降のイ.からチ.は、元原稿では丸数字(機種依存文字)だったため、変更致しました。

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★3.読者からイベントのおさそい
           (お問い合わせは主催者へお願いします)
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   ドキュメンタリー「3.11日常」のご案内

 小出裕章助教を中心にしたドキュメンタリー「3.11日常」が今週末の3/10-3/16にオーディトリウム渋谷で上映されます。
 3/11が日程に入っているように「3.11関連ドキュメンタリー特集」として岩井俊二監督の「friends after 3.11」などと共にセレクションされました。
 一般からのネットの投資であるクラウドファンディングで製作された作品です。
クラウドファンディングで作られたように、多くの方の願いが込められた作品です。
<公式Web>http://www.311everydayliving.com/
 (メルマガ読者R・Wさんより)

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★4.書籍の紹介
  ☆「第二のフクシマ、日本滅亡」広瀬隆さんの新刊本
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最終警告、全原発即時廃炉だ-運転停止では意味がない
福島第一原発事故の結末はまだ見えない。放出され続ける放射能は天文学的な量だ。
「次」が起これば、この国は死に至る…。
日本人が生き残るために、何を第一になすべきか。原発震災の恐怖を訴え続ける筆者は、六ヶ所再処理工場の即時閉鎖と全原発の廃炉断行を求める。思考力ゼロの原子力産業・電力会社・政治家は当てにできない。
本書を手にしたあなたから、原子力の最後のページを、着実に、急いで閉じるのだ。
わが国における次の大事故の確率
日本人は、2011年3月11日の大地震と、同時に起こった福島第一原子力発電所の大事故を体験して、不思議なことに一年後には、もうこれで「天災と原発事故は終った出来事」だと感じている。それは、トンデモナイ誤解である。これは、過去形ではない。現在進行形であり、いよいよこれから、第二、第三の大惨劇の幕が開こうとしている。
それは、次の厳正な事実から明らかである。
 1966年7月25日にわが国最初の商業用原子炉、東海原発が運転を開始してから、2011年3月11日に福島第一原発の三基の原子炉がメルトダウンの大事故に突入するまで、57基の原子炉が運転してきた。そのうち、廃炉となったのは東海原発、浜岡原発1.2号の3基で、この3基を含めて、定期検査期間を含めた運転期間を総計すると1453年間であった。1453年間に3基がメルトダウン事故を起こしたのだから、(1453年÷3≒)484年に1回、原子炉1基あたり大事故が起こる、というのが実績の大事故発生確率である。では、これからどうなるか。
 現存する商業用原子炉54基のうち、福島第一原発で爆発した1~4号機は廃炉になるので、今後も残る50基の原発が稼動し続けたと仮定すれば、これからは484年÷50≒9.7年、ざっと10年足らずに1回の割合で、末期的な事故が起こる。おそるべき高い確率である。この確率は「10年後」に起こるという意味ではない。「10年以内に1回」起こるという意味なので、「あしたまた起こっても不思議ではない」のだ。われわれの明日の命と生活と財産は、今もって、強風が吹き荒れる中に置かれたロウソクの炎、まさに風前の灯にある。
朝日新聞出版 2012年2月 297頁 820円+税
たんぽぽ舎でもこの本を扱っています。
ご希望の方は、お問い合わせ下さい。1冊の送料は160円の予定です。

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【編集部より】
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