「もんじゅを廃炉へ!全国集会」の参加報告

一昨日の12月3日福井県敦賀市の白木海岸で開催された「11年もんじゅを廃炉へ!全国集会」の参加報告です。

 集会当日の3日(土)は雨も降らず、曇り空に時々青空も覗く、12月上旬としては温暖な天候に恵まれた。会場の白木海岸に至る途中の、関西電力美浜原子力PRセンター前で待ちかまえていた福井県警警察官や機動隊員らによる入念な検問を受けてから、もんじゅ抗議集会と原子力機構への申し入れ集会の会場となった白木海岸にAM10:30へ到着した。

 会場には既に大勢の団体参加者が集まっていた。海岸線縁には福井県警の警備艇一艘も停泊している。眼前の敦賀湾の右手前方の、目と鼻の先に「もんじゅ」の建物が聳えている。真夏の海水浴の時期に事故が起これば、海水浴客は勿論、海岸線にしがみつくように点在する漁家住民など、ひとたまりもない。この美しい海と、素朴な漁村が・・と、思うだけでもぞっとした。

 東北出身の農民文学者伊藤栄之助が、かって「山美しくして人まずし」と歌ったが、もんじゅ設置と引き替えの交付金欲しさのここ白木の浜では、「海美しくして人のこころまずし」かなぁ・・
 一度でも事故が起きれば、「海汚染して人は無し」だろうなぁ・・としみじみ思わされた。

 午前11時きっかり、予定通り原水禁の藤本泰成事務局長の大会アッピールが始まる。主催者側発表で1200人は、例年よりも多い参加者数とのことだった。全国集会とはいうものの、関西圏を中心とする各種反核脱原発団体や個人が多かった。遠距離ということもあるのだろうが、北海道から九州・沖縄も含む、より広範な地域からの参加が少なかったのが惜しまれた。最低でも1万人ほどの参加者は欲しいと思った。

 申し入れ書の確認朗読も拍手多数で承認された後、すぐにシュプレヒコールの交じったデモ行進に移る。白木海岸からもんじゅ入り口ゲートまでは、登り坂をゆっくり歩いても5分ほど。ゲート周辺に待機する福井県警警察官と機動隊員の他に、ゲートの柵の内側に接する位置に、濃紺色制服を着て、両手を腰の後ろに組んで仁王立ち姿の、もんじゅ職員たち約20名程も二列横隊で仁王立ちしている物々しい警戒ぶりだった。デモ隊の構内乱入を万一を警戒してのことだろう。機動隊の「ゲート前で立ち止まらずただちに解散退散せよ!」の拡声器から流れる警告の音声を無視し、ソノボリュームに負けない程の大きな拡声器音と、シュプレヒコールを7~8分ほど続ける!

 ゲート前で「もんじゅを廃炉にしろ!」「我々は最後まで闘うぞ!」等のシュプレヒコールを続けた後、「ストップ・ザ・もんじゅ」事務局池島芙紀子代表が抗議文を読み上げ、ゲートの所で待機していた日本原子力研究開発機構の鈴木篤之理事長に抗議文を直接手渡した。

 その後、もとの集会場所の白木海岸に戻ってから解散になった。午後の会場となった敦賀市内の「プラザ万象」へと移動する。JR敦賀駅から南西方向徒歩20分程に位置する「プラザ万象」は、隣接する図書館や、その他の敦賀市公共施設や広大な駐車場も含め、驚く程立派な綺麗な建物だった。おそらく関西電力や国からの原発交付金で出来た「箱物」なのだろう!!翌日4日に参加した小浜市文化会館とは雲泥の差だ!原発交付金の威力を改めて見せつけられる思いだった。

 午後13:30から開催した「もんじゅ廃炉を求める全国集会」は以下の3つの講演だった。

 一番最初の講演者となった佐藤栄佐久前福島県知事の「フクシマ原発の真実」の講演は迫力があった。「前知事だから、どうせ行政マン的な官僚話しだろう・・」と思っていたが、どうして、どうして、なかなかの人物であった。論旨もすっきりしていて、具体的な話しはなかなかの説得力だった。これたけの確かな見識を持った人物が、県知事などに、何故なったのかなぁ・・・?とも思わされるほど、しっかりした人物であった!

以下、佐藤栄佐久前福島県知事の講演要約(一部)

○「日本は民主主義国家ではなく原子力国家である」
○「日本は今や原子力全体主義の日本・・・日本はファシズム国家になったという、この認識が大切である」
○「原子力は世代間の共生ができないシロモノ。孫や子の代には原子力のメリットは一切無い。今の世代のみが僅かなメリットを享受するだけ。子孫にデメリットしか残さないような。そんな原子力に固執するのは現世代のエゴでしかない」
○「全国54基の原発のうち、ニイガタ、フクシマフクイ3県合計で27基。この3県が一丸となって反対すれば半分は止められる。この3県が結束すれば日本を変えられる」
○「原子力の3原則のうち、<自主>とは自分のアタマで考えること。学者や専門家の知識に頼ったり、任せ、その権威に依存するのは<自主>の原則からの逸脱である」
 ・・・・(反原発脱原発の市民の中にすら××教授や△△学者先生を講演会で呼ぼう・・などと、権威の「御幣担ぎ」をするだけで、自分自身のアタマで考えようとしない反・脱原発市民たちよ!良く良く噛みしめるべきではないか?)
○「<日本地震学会>や<日本原子力学会>など、科学者の責任が福島第一原発事故後の現在に至るも、全くなされていない。これが我が国の学会の実態である。原子力に反対し国籍まで国家から剥奪されてまで反対したオッペンハイマーのような科学者が日本にはいるのか?」
○「原子力は国境を越え、時空を越える」
○「原子力の何たるかさえ解らない人が原子力安全保安院に就任しているのが我が国の実情」
○事故発生後でも<私どもは総理にアドバイスするだけですから・・>と平然と言い切るような、原子力安全委員会の連中・・!これが原子力安全委員会の実態だ!」
などなど・・・ズバリそものも、喝采を送った!
  2人目に登壇した海渡雄一日弁連事務総長弁護士の「核燃サイクルの終焉」と題する講演は数々の原発訴訟の経過史を紹介しながら、無茶苦茶な最高裁判決の判決例の紹介も、聞きごたえがあった。我が国の司法界の無能さ、無責任さは、徹底的に追及、糾弾、記憶されねばならないと改めて痛感した。

  3番目の小林圭二元京大原子炉講師の「再・再稼働はもっと危ない傷だらけのもんじゅ」の講演は、時間の都合で30弱と割愛が多かった。しかし、一般の原子炉(沸騰型・加圧型を問わず)と比べ、高速増殖炉もんじゅの構造的弱さと、そのとてつもない危険性を、手際よく、指摘説明していた。
  改めて高速増殖炉の危険性、核弾頭搭載用核燃料としての潜在力保持が、もんじゅ固執の政府のホンネであることの指摘などなど、重要な論点を再認識することがした。

 約2時間の講演の間中、会場となった「プラザ万象」(約1000名座席数)は超満員で通路や階段にまで参加者が、立ち見や座り込む者で溢れるなど、大盛況でした・
講演終了後、会場からJR敦賀駅までの、夕暮れの敦賀市街を、約40分程デモ行進してから解散となった。

翌日4日(日曜)午後13:15~17:00も
JR小浜駅より徒歩10分の小浜市文化会館4階大会議室で
「原発設置反対小浜市民の会」
「プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会」
「琵琶湖の水がみんなのいのち・さらなら原発ネットワーク」

など関西13団体共催の集会にも参加し京都へ戻った。
2011年12月3日
日本原子力研究開発機構
理事長 鈴木篤之 様

抗議

 2011年3月11目、あってはならない原発過酷事故が福島第一原発で起きてしまいました。放出された放射能は人々を、生きとし生けるものを、海を、大地を、空気を、水を、ガレキさえも汚染してしまいました。放射能汚染によって、故郷を追われ、避難を強いられる十数万の人々がいます。フクシマ事故は、いまだに収束することができません。廃炉への道は遠く、放射能にさらされた膨大なガレキの中間貯蔵すらめどが立たない状況です。

 安易な便利さと引き換えに襲った巨大なリスクを前に、人々の意識は大きく変わり、いまや脱原発が普通のことになりつつあります。

 政府の科学技術白書2011年版では、「高速増破炉の実証施設を実現する」との記述も削除されました。「もんじゅ」が原型炉の役割を失ったことは明らかです。高速増殖炉の開発を支持する声は限りなくゼロに近い現実があります。

 政府の行政刷新会議が「提言型政策仕分け」で「もんじゅ」存廃も検討すると、10月に発表されると、鈴木理事長は、高速増殖炉の実用化は無理との認識を示して、「もんじゅ」は研究に軸足を移すという姑息な生き残りの発言をしています。

 「もんじゅ」の総事業費は2010年度末で約1兆810億円にのぼり、原子力機構の公表はこれより1500億円以上も少なかったといいます。1995年12月8日に起きたナトリウム漏えい火災事故の事故隠しは、世間で「ウソつき動燃」と呼ばれ、組織の名前が変わっても情報の隠ぺい体質は今も生き続けているといえます。

 ひずみエネルギーが蓄積された若狭湾の巨大地震が心配されています。地震に弱い構造の「もんじゆ」は活断層の真上にあります。原発震災を引き起こしたフクシマ事故を、2度と繰り返してはならないのです。
 16年間も停止している「もんじゅ」に、これ以上の国費を投入し、動かすことは許されません。即刻、廃炉を決断されることを強く要請します。
2011 もんじゅを廃炉へ!全国集会参加者一同

11年もんじゅを廃炉へ!全国集会賛同者

呼びかけ団体
・原子力発電に反対する福井県民会議
・原水爆禁止日本国民会議
・原子力情報室
・ストップ・ザ・もんじゅ
・反原発運動全国連絡会
**以上、転送転載歓迎**
————————————
真の文明は
山を荒らさず
海を荒らさず
村を荒らさず
人を殺さざるべし (田中正造)

社会が激動している今この時
歴史に残る最大の悲劇は
「悪しき人々」の過激な言葉や暴力ではなく
「善良な人々」の沈黙と無関心である
我々の世代が後世に恥ずべきは
「暗闇の子」の言動ではなく
「光の子」が抱く恐怖と無関心である (M.L.キング牧師)
*******************
《パレスチナに平和を京都の会》
“Peace for Palestine” in Kyoto Movement(PPKM)
代表:諸留(モロトメ)能興(ヨシオキ)
〒611-0002 京都府宇治市木幡赤塚63-19
[TEL=FAX]:0774-32-1660
E-Mail:yoshioki-afym@zeus.eonet.ne.jp

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0714:111208〕