フランスでは今、マクロン大統領と政府に対する反対運動の焦点は年金改革への反対にあります。この改革が実現すれば最も被害を被るとされる女性たちが抗議運動を盛り上げています。でもその闘い方がちょっと独特です。表現を通して見せ、楽しませ、自分たちも楽しむスタイル。
下のリンクは彼女たちはアタック・フランスのメンバーたちが音楽に合わせてダンスをしながら、年金改革で誰が得をするかを告発しているもの。それは複数の大手の金融企業であり、ダンスの小道具としても登場します。ブラックロック、アクサ、ソシエテジェネラルなどの金融企業が掲げられています。マクロン大統領らが国の年金財政の穴埋めに、民間企業を参入させようとしているからだそうです。アタックは金融の規制緩和が世界経済をゆがめているとして、国際間の投資への課税などを訴えてきた団体です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZoGvBUTgSgs
これは1月24日(金)にパリ東駅で行われた時の映像で、メディアの取材陣も多数来ています。女性100人近くが青い作業着に身を包み、赤い鉢巻を巻いて、黄色い手袋をはめて踊っています。このスタイルはアメリカのフェミニズム運動のポスターに霊感を得たもの。ボクシングでマクロン大統領をKOせよ、というメッセージです。どこか健康のジムのダンスのようでもあります。日本人の父を持つ山本百合(Youlie Yamamoto)さんも最前列で踊っています。山本さんは徴税を担当するフランスの財務官僚でもあります。これまでにもアタックでタックスヘイブンの問題などでグローバル企業の課税回避問題と闘ってきましたが、それは徴税官としての職務とも重なることでしょう。
最後に大統領の人形などをKOしたあと、みんなで口をそろえて手を挙げながら「レヴォリューション!」と叫びます。マクロン大統領が2017年の大統領選のために書き下ろした本のタイトルが「レヴォリューション」だったことを思い出すと、なんとも皮肉な味わいがあります。
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〔opinion9398:200128〕