「原発と憲法の議論を始めよう」など―地震と原発事故情報【TMM:No1441】

2012年5月2日(水) 地震と原発事故情報
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★1.原発と憲法の議論を始めよう
    憲法がありながら、福島原発事故2年目の残念な実状
                       (たんぽぽ舎 山崎久隆)
★2.原子力発電は憲法違反だ。放射能汚染は、現在・未来の人権侵害
    大阪経済法科大学教授 澤野 義一
★3.読者からイベントのおさそい(問い合わせは主催者へお願いします)
 ◇5月20日14:30~、東伏見公園
  第6回原発はいらない西東京集会&デモ
★4.<テント日誌4/29(日)―経産省前テントひろば232日目―>
    来訪者で賑わうテント 夜の110番騒動
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┗■1.原発と憲法の議論を始めよう
 │   憲法がありながら、福島原発事故2年目の残念な実状
 └────(たんぽぽ舎 山崎久隆)

 3.11以後に発生した原発震災を目の当たりにして危機感を持った人々がいた。憲法問題に取り組む人々だった。
 原発の大事故は、もはや戦争と同じ、あるいは事故後は敗戦処理と同じ苦痛と絶望を生み出すことを感じたからだと思う。

 責任の所在は何処に

 日本は「第二の敗戦」を被ったとの意見がある。「敗戦」には当然ながら「戦争責任」があるはずだ。日本国政府の責任が問われなければならない。ところが、1年以上も経つというのに、責任の所在は全く問われないまま、事故を引き起こした原子力安全・保安院、原子力安全委員会、安全審査を行った専門家、そして経済産業省が「原発の再稼働」をもくろんでいるのが現実だ。平和的生存権を奪う原発事故を引き起こした責任を問う法廷が今必要だ。

 無権利状態

 「第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」憲法の条文は、東日本については適用除外になったのか。特に福島県内の一部地域での汚染度は、とても健康を守れる水準ではない。
 そのうえ、汚染瓦礫の「全国広域処分」方針は、汚染の再拡散につながりかねない。
 この条文と原発の相反関係については、原発訴訟において繰り返し問われてきた。福島第一原発が見せた現実は、一辺の疑問の余地もない、完膚なきまでの無慈悲さで示した「無権利状態」だった。再度繰り返すことは断じて許されないのだが、原発再稼働などと認められるはずが無い。

 人権を侵害するシステム

 原発は人を喰っている。人間の命を日々すり減らしている。事故が無くても放射線被曝のリスクがあるというのに、事故を起こした福島第一原発の収束作業では、大勢の労働者の命をすり減らし続けている。そのような存在が原発だ。
 戦争の犠牲の上に作られたはずの日本国憲法下で、このような非人道的な、人権を無視した労働が許容されるはずが無い。
 これまでも、これからも多くの人々の被曝労働無くして安全を保てない原発。それをこの国は、まだ許すのだろうか。
 5月5日に全原発が止まる。それがようやく出発点である。

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┗■2.原子力発電は憲法違反だ。放射能汚染は、現在・未来の人権侵害
 │   大阪経済法科大学教授 澤野 義一
 └────(週刊新社会776号より抜粋)

◇憲法上の原発の位置
 ──原子力の軍事利用(核兵器の製造・使用など)に対する違憲性については多くの議論がなされてきたが、平和利用(原発の商業利用)に対する違憲性は平和憲法擁護論者からもほとんどなされてこなかった。
 しかし、人類の福祉と平和目的に寄与するという原子力基本法の立法目的は、制定当時は違憲視されていなかったとしても、福島事故を契機に立法目的を支える事実や世論に大きな変化が生じ、違憲とみなさざるをえなくなったのではなかろうか。そうすると、原子力基本法を中心とする原子力関係法は違憲無効であり、原発は停止・廃止されるべきである。

◇第9条と基本的人権
 日本国憲法においては、原発(稼働)の違憲性は憲法9条と基本的人権の観点から指摘することができる。憲法9条との関連では、原発は潜在的に戦争手段に転用できる違憲の「戦力」と解することができよう。1950年代から原子力は平和利用を名目に立法と運用計画がなされたが、政治家たちの中には原子力兵器をもつ能力をつけることも意図されていたことは明らかである。自民党の石破茂議員らは核(兵器)の潜在的抑止力を維持するために原発をやめるべきでないと述べている。
 人権との関連では原発の放射能汚染により、住民の生命権をはじめとして、生存権、環境権、居住・移動権、財産権、勤労権、営業権などの多面にわたる人権侵害が、公害に比べ、広範囲かつ永続的に生ずる具体的危険性が明確になった以上、原発稼働は違憲とみるべきである。(中略)
 また、原発事故だけでなく、原発に対する他国やテロ集団の武力攻撃による住民の「平和的生存権」(恐怖と欠乏からの自由)侵害の危険性も、原発存在の違憲性の論拠になる。

◇世界の非核憲法と原発
 これと類似の憲法解釈論は、原発を禁止する憲法規定を有しないが、原発を違憲とした中米コスタリカの最高裁憲法法廷判決(2008年)にもみられる。この判決は、ウランなどの析出、核燃料および核反応機の製造を可能とする政令に対し、同国憲法の平和の価値や健全な環境を求める権利を侵害し、違憲無効としたものである。なお、平和の価値には、コスタリカの非武装永世中立と平和的生存権保障の理念が含まれている。
 コスタリカの事例と異なり、世界には、1979年ミクロネシア連邦憲法、1981年パラオ憲法、1999年オーストリア憲法のような原発禁止規定を有する憲法もあり、注目される。これらは原発だけでなく核兵器も禁止しているのは、核の本質的危険性を認識しているものといえよう。ミクロネシア連邦とパラオの憲法は、マーシャル諸島で何度も行われたアメリカの原水爆実験の被害体験を踏まえて制定されたものである。
 オーストリア憲法(非核憲法)の場合は、核分裂によるエネルギー生産を目的とする施設建設と、既存の当該施設がある場合の始動の禁止という表現で、原発(核兵器の製造・実験・使用なども同様)を無条件で禁止しているが、それは、世界でいち早く制定した同国の1978年「原発禁止法」を踏まえたものである。(後略)

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┗■3.読者からイベントのおさそい(問い合わせは主催者へお願いします)
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◇第6回原発はいらない西東京集会&デモ

 日時 5月20日(日)14時30分集会開始
 会場 西東京市東伏見公園(東伏見稲荷神社東隣)
 主催 原発はいらない西東京集会実行委員会

 ご承知のように、5月5日には、北海道泊原発が定期検査に入り、全原発が止まります。それでも電力は十分まかなえます。
 再稼働させずに全ての原発をなくしましょう!
 地域から、「原発はいらない!」の声を挙げ続けていきたいと思います。

 今回は集会・交流を1時間程してから15時30分にデモ出発です。
 青梅街道から北裏交差点を経て三鷹通りに入り、東電武蔵野支社前を通り、三谷公園(武蔵野市)まで、約3.5kmのコースです。
 お誘い合わせてご参加ください!

 会場は実行委員会ブログにてご確認ください。
 http://nonuke-ntyo.cocolog-nifty.com/

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┗■4.<テント日誌4/29(日)―経産省前テントひろば232日目―>
 │   来訪者で賑わうテント 夜の110番騒動
 └────(H.H)(A.H.)(K.M)

4月29日(日)天気晴れ
 昨日に引き続き晴れ。太陽光発電は順調。第二テントはほぼ満タン。第一テントも半分程度まで回復。太陽光パネルが置かれている場所は時間によって木陰になってしまうので、太 陽の日周運動に合わせてパネルの位置や角度を少しづつ変えてみました。本当はテントの上に上げたいのですが、意外と重いのです。

 ゴールデンウィークという事で東京の街からは人が減っていると思いますが、今日は昭和の日という事で、抗議のデモや、更にそれに対して抗議をする人など、 霞ヶ関は今日もそれなりに政治的でした。
 渋谷ではツイッターで呼びかけられたデモが行われ、そこには高速増殖炉「もんじゅ」の精霊「もんじゅ君」(http://twilog.org/monjukun)まで登場したとのこと。もんじゅ君はユーモアを交えて原発の廃止(特に高速増殖炉)を 訴えるネットの人気者です。「おしえて!もんじゅ君」「さようなら、もんじゅ 君」と2冊も著書を出しています。         ( H.H )
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 午後、詩人の石川逸子さんがテントを訪問、ハンストしている人を励ましてくれました。長年に渡って、ヒロシマ、ナガサキ、戦争、核の犠牲者の証言を綴り、誌を書いて来られた石川さんは今の福島の現状に心痛めておられました。
                             (A.H.)
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 澤地さんが今日も来訪され座り込みに。そして第1テントに、椎名さん、黒田さんをはじめ、福島の女性達が5人程集まり、澤地さんと懇談。 夜には湯川れい子さんも来訪される。その頃、長身の若者3人が訪れ座り込み者に大声で話しかける。なぜ北朝鮮のミサイルを批判しないのだ?テントを撤去しろ、などと。 その場にいた湯川れい子さんも一人と丁々発止。会話は何とか成立するが時々暴力的な言葉で我々を威圧しようとする。さらに、テント前のポールと雨除け幕を「片づけてやる」とはずしにかかる、我々のだから自分たちでやるよとの私たちの言葉を無視してカバーをはずす。   数人と相談し躊躇しながらもやむなく110番。3人の来訪者が乱暴な言葉使いでテント近くのポールに手を付けている、暴力を振るわれている訳ではないがちょっと来てほしい、と連絡する。

 4分後に白塗り自転車で所轄の警官が現れる。大げさでなく一人で良かった、と胸をなでおろす。その頃には既に湯川さんほかの説明が功を奏して3人それぞれとマンツーマンの会話が進んできて、私たちの再稼動反対論やテントの主旨に関心を示した人も現れたとか。 我々から所轄に説明していると、何とパトカーが次々に到着して制服警官が10人ほど、おまけに公安と思われる私服も8人程現れて後ろで監視を始める。暴力を振るわれた訳ではないと所轄に説明し、われわれや来訪者3人がそれぞれ事情聴取を受けたあと20分後には、3人も警官とともに去り、私服も徐々に退散した。  ハンスト者もそれぞれの寝場所に移り、第一テントで反省会。日曜常連の歓談者と泊まり担当者とで、種々の事情が重なったゆえだけれど少々110番が早すぎたと反省。福島からの黒田さんと古くから反原発運動を続けている近藤さんも加わり泊まり担当のRさんやFさんほかも交えて、反原発運動の歴史を振り返って盛り上がる。ワインやマッコリを片手にあちこちの原発立地地域を飛び回った。何よりも、原発建設を止めた地域の数が建設・稼動された地域よりずっと多いことを教えられたのは大収穫。楽しい歓談が止まず気づくと消灯の夜11時。隣テントで寝ていたハンストのみなさん、ごめんなさい。         (K.M)

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