安倍政権は、年末のあわただしい時期に、多額の血税を使って、衆議院解散・総選挙をすることを決定した。
消費税再増税を公約に反して延期するので、国民に信を問うと理由付けているが、「公約違反」なら、2013年参院選で自民党が公約として掲げた条件に反してのTPP交渉推進もそうだし、何よりも憲法解釈、それも、「集団的自衛権」の行使容認という、憲法第九条を実質変えてしまう、事実上の改憲を、正規の改憲手続きはおろか、解散・総選挙をして国民に信を問うことすらなく、一内閣の閣議決定で強行するという暴挙を行った安倍政権が、どの党も反対していない消費税再引き上げ延期を争点に解散・総選挙を行うというのであるからあきれる。GDP速報値がマイナスになるなど、「アベノミクス」の破綻も明らかになりつつあり、この先、より状況が厳しくなると見たのか、また相次ぐ閣僚の不祥事と辞任などの問題追及をかくす狙いもあってか、野党の選挙準備が整わないうちに、抜き打ち的に解散・総選挙を行おうとする、まさに党利党略的な「大義なき」解散・総選挙である。
この「大義なき解散」の不当性は大いに主張すべきであるが、彼らがそれを選んだ以上、安倍政権のこれまでの暴挙を暴き、消費税だけではない、TPPなどの公約違反や、閣議決定による解釈改憲、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法の制定、原発再稼動・原発輸出問題、そして「アベノミクス」の破綻問題などを取り上げて、野田民主党政権が、まさに「自爆解散」をして自滅したように、今回の安倍による解散・総選挙を、安倍政権を退場させる「自爆解散」となるようにさせよう!
安倍晋三は自民党・公明党の与党で過半数獲得できなければ退陣すると言っているが、それ自体、予め予防線を張った、安全弁の数字を言って、首相の座にしがみつこうとしているのだろうが、自公与党で過半数割れでなくとも、自民党の大幅議席減になれば、安倍も首相を続けられなくなるであろう。
自民党を政権から引きおろすことがもちろんベストだが、それができなくとも、この間やりたい放題の無茶なことを強行してきた安倍を退陣させれば、それは大きな成果である。もちろん、石破や麻生が首相になっても困るが、それでも安倍政権にはぜひとも、この選挙で退陣してもらわねばならない。安倍が狙っている「長期政権」への道など絶対許してはならない。
そしてこの間、自民党政権が進めてきた、格差を拡大し、弱者を切り捨て、大企業や多国籍企業のための政治、金持ち優遇の政治、原発推進や軍事力強化の政策を転換させる政党を伸ばす必要がある。
また民意を正しく反映せず、多数の「死票」を出し、大政党に有利で、少数政党を切り捨てる小選挙区制の問題や「べからず選挙」といわれるような市民の自由な選挙運動参加を妨げる現行公職選挙法の問題、被選挙権(立候補権)を実質制限する高額な供託金制度など、選挙制度の問題も同時に問題にしてゆく必要がある。
「大義なき解散」を、安倍政権を「自爆」させる解散・総選挙とさせよう
紅林 進 :
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