「志賀原発の活断層は24年前(1989年)に指摘されていた」など―地震と原発事故情報

2012年8月8日(水)その2【TMM:No1544】-3つの情報をお知らせします

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★1.志賀原発の活断層は24年前(1989年)に指摘されていた
   国が意図的に「消した」活断層-生越忠氏(地質学者)の指摘
                        山崎久隆(たんぽぽ舎)
★2.低線量被曝にどう対応するか-有効な食品を紹介します(食物療法)
   食物繊維と発酵食品が有効
   セシウム排出促進と免疫力強化を      吉沢弘志(埼玉大学講師)
★3.<テント日誌8/7(火)―経産省前テントひろば 332日目>
   テント大掃除とリニューアル
   これからへの態勢も新たに     (Y・T)
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┗■1.志賀原発の活断層は24年前(1989年)に指摘されていた
 |  国が意図的に「消した」活断層-生越忠氏(地質学者)の指摘
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 志賀原発は2基の原子炉がありますが、そのうちの1号機については、原発が建てられる前に、志賀原発差し止め1号機訴訟の過程で現場検証が行われていました。
 1989年5月30日、原告団と裁判所と補佐人が、現地調査を行っていたのですが、今回問題となった断層のみならず、地盤の不安定さも含めて指摘されていました。
 このいきさつは、宝島社(当時はJICC出版局)から出されたブックレットに詳しく書かれています。

 今回、建設当時から知られていたこの断層、S-1断層といわれていますが、これが活断層の可能性があるとして大問題になっています。
 読売新聞はこれを「国が見落としの疑い」と書きました。しかし、それは全くのウソ、不見識きわまりないことです。
 志賀原発の直下にある断層は、「見落とされた」ものではありません。意図的に「消された」断層です。
 「北陸が日本から消える日」という衝撃的なブックレットが、当時発行されていましたが、その中にも記述があるとおり、大きな争点の一つだったのです。

 当時から問題となり、これを原告側補佐人として鑑定したのが元和光大学教授の生越忠氏(地質学者)でした。敷地内を南東から北西に走る断層は、1号機原子炉建屋の下を通っています。もちろん活断層認定をされれば今でも当時でも原発など建てられません。しかし北陸電力は1987年、1号機の設置許可申請で断層部分について「波などによる浸食作用で生じた」と活動性を否定し、さらに当時の通産省は翌1988年、現地で地層などを調査し、この見方を追認したのです。見落としどころか、共謀です。

 ただし若干、電力側にも言い分というのはあります。これが活断層であり、過去に動いていたとしても、当時の安全審査においては「過去5万年以降に動いた形跡がなければ活断層として扱わない」という「基準」がありました。今では誰も口にしません。なぜならば、耐震設計審査指針の改定に向けた議論で「5万年基準」が問題になったとき、その根拠が全くわからなかったからです。

 地質学上は200万年以降に動いた形跡があれば活断層と言いますから、この5万年という基準には合理性がないと、当時からも批判がありました。その後の耐震設計審査指針改定において、この基準が「12~13万年以降に動いた形跡のあるもの」とされました。

 さて、問題の「S-1」断層は、12~13万年前の地層を切っていますから、新しい基準では間違いなく原発直下にあってはならない活断層と言えるのですが、2006年以前の基準では「はっきりしない」ことになってしまうのです。だから断層ではないなどと主張をした可能性があります。
 しかし、このような言い逃れも旧耐震設計審査指針の上でのみ主張ができることです。新指針では、この断層は極めて重要な「活断層」であることは論を待ちません。

 1997年の2号機増設申請時と、2006年の耐震設計審査指針改定に伴う2009年の耐震性再評価いわゆる「バックチェック」の中間報告。この断層が問題になり得る機会は少なくても二度あったわけですが、最初に「活断層ではない」という結論を出してしまった以上、蒸し返しては原発を廃炉にしなければならなくなると、保安院は電力と共謀して活断層隠しをしていたと思われます。

 今になって保安院が「発見」した理由は、志賀原発の差し止め訴訟が改めて提起され、裁判の中で持ち出されることを恐れたためと思われます。
 こんな明白な断層が真下にあるとわかれば、以前ならばまだしも、福島第一原発震災を経た今、裁判所も運転差し止めをしないわけには行かないだろうと思われます。

 法廷で争われる事態となれば、極めて不利な立場になることから、今のうちに原発直下の断層は「問題ない」とのお墨付きを専門家から得ようとしたのだろうと思われます。ところがそんな保安院の企みは、同様に福島第一原発震災に専門家として警鐘を鳴らせなかった別の負い目のある地震学者は、意見聴取会で現地調査を要求していました。

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┗■2.低線量被曝にどう対応するか-有効な食品を紹介します(食物療法)
 |  食物繊維と発酵食品が有効
 |  セシウム排出促進と免疫力強化を
  └──── 吉沢弘志(埼玉大学講師)

 昨年の福島第一原発の事故により日本の国土、大気、海洋は放射能により大きく汚染された。この災厄を拡大にしないための脱原発運動の強化はもちろんだが、人類と共存し得ない放射能は将来にわたって大きな不安を人類にもたらし、低線量被曝を余儀なくされる時代を生きるには何が重要か埼玉大学講師の吉沢弘志さんに明らかにしてもらった。

 チェルノブイリとの違い
 操作不能は今も続いている

 2011年東日本大震災とそれにともなう東京電力福島第一原子力発電所の大事故は、東電や政府、そして御用学者たちによる「チェルノブイリの~分の一」という過小評価とは裏腹に、チェルノブイリ事故を上回る人類の核開発史上最悪のものとなりつつある。

 まず何よりもチェルノブイリ事故とは格段に違う人口密集地への放射能拡散・汚染が起こってしまったことだ。そして、昨年末の「終息宣言」が茶番でしかなかったことをほとんどの国民が知っているように、福島第一の1~4号機のコントロール不能状態は今も続いている。海洋の汚染もいつ終わるか見通しもつかず、魚介類を大量に食べる日本人にとっては、農産物と海産物を通じた長期にわたる内部被曝の脅威に立ち向かっていかなければならない。

 被曝の健康への影響は無視できない

 被曝による健康への影響は幼い世代ほど深刻になる。しかし、免疫力が確実に低下していく中高年層にとっても影響は決して無視できない。日本人誰もが内部被曝に対して十分な対処を心がけるべきだと考える。
 放射線の生物への悪影響は、数eVの原子・電子の結合エネルギーを遙かに上回る放射線のエネルギー(電離エネルギー)が、その原子・ 電子レベルの結合を破壊してしまうことによる。放射線が細胞膜や細胞核の中にあるDNAを破壊するとともに、細胞内に豊富にある水分子を破壊して連鎖反応的にフリーラジカル(活性酸素)を発生させ、そのフリーラジカルが細胞膜やDNAを破壊してしまうというメカニズムが連続して進行していく。長期低線量被曝という現状では、後者の影響の方が遙かに大きいとされている。

 自然放射能とは比較できない

 もともと地球上には宇宙由来、地球を構成している物質由来の放射線がある。体内にはカリウム40が成人で常時平均4000ベクレル程度存在している。こうした「自然放射線」による被曝から逃れることはできないが、人類も含めたすべての地球上の生物は、生命誕生の時点から自然放射線による被曝に対応できるように修復・復元のメカニズムを備えるように進化して現在に至っているのである。

 そこに核実験による放射能、チェルノブイリ事故による放射能、そして今回の福島事故に由来する放射能による被曝が上積みされた、と考えなければならない。食品中のセシウムの量を、前述のカリウム40と比べて「大したことはない」とするのは、御用学者によるごまかしに過ぎない。

 ただでさえ現代の日本に暮らしている私たちは、電磁波という電離エネルギーに常時さらされているし、食品添加物をはじめとして大量の化学物質にもさらされている。ストレスの多い現代の生活は、細胞レベルでは常にフリーラジカルの過剰発生を引き起こしていると考えてよい。このような複合的な悪影響に一人一人それぞれ固有の反応が生じる。一概に「~ミリシーベルトまでは大丈夫」などとするのは科学でも何でもない。

 被曝から身を守るために
 被曝は可能な限り避けるべき

 まず何よりも、被曝を可能な限り避ける、少なくする努力が必要だ。とりわけ幼い、若い世代、妊娠中の女性には最大限の配慮を払うべきだ。しかし、東日本に暮らす私たちは日々何らかのレベルでの被爆は避けられないのが現状だろう。一番影響の大きいセシウムに関しては、毎日数ベクレル単位での摂取でも、体内さらに臓器ごとへの集中した蓄積が確認されている。蓄積したセシウムはその臓器の細胞をβ線とγ線で集中的に被曝させるのである。

 避けられない被曝に対してはさまざまな専門機関によって効果が確認されているアップルペクチンによるセシウムの排出の促進が一定の効果を生むはずだ。それとともに細胞レベルでの修復と復元の力と免疫力の強化で対応していかなければならない。

 食物療法で対処を

 傷ついたDNAの修復・復元は酵素の働きによるが、酵素の働きの強化には特定のミネラルが不可欠である。特に「亜鉛」の働きが有効であることは動物実験で証明されている。亜鉛が豊富な食品としては豆類と海藻類が挙げられる。豆類にはフェトケミカルで重要なイソフラボンが豊富であり、その効果も期待できる。

 一方被曝に対する効果という意味で注目される「バナデート(バナジウム)」は海藻類に豊富に含まれる。免疫力強化に不可欠な腸内環境の健全化には、食物繊維と発酵食品の常食が有効となる。そう考えれば、穀物に野菜、海藻類と大豆発酵食品(味噌、醤油、納豆)にぬか漬けといった日本の旧来からの食生活が、長期低線量被曝にきわめて有効であることがわかる。

 もちろん日々の生活における被曝への対抗も大事だが、これ以上被曝を増やさない、将来の世代に負の遺産を残さない社会の実現もともに進めていかなければならない。
 核エネルギーに依存しない社会を目指す私たちの運動は、6月16日の17万人集会と毎週金曜日の官邸前行動で大きな歩みを踏み出そうとしている。

※よしざわ・ひろし:埼玉大学講師、市民ネットワーク千葉県政策調査室。10代半ばより反戦・平和、人権、環境の問題に関わり続ける。1990年チェルノブイリ事故による被災児童の救援のためのNGOを設立。チェルノブイリ汚染地域への訪問も繰り返し行い、現地やヨーロッパの専門家と市民運動との意見交換を重ね、医療援助、非汚染食糧の供給、被災児童の保養プログラム等様々な救援プロジェクトを行ってきた。     (週刊新社会 2012年8月7日)

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┗■3.<テント日誌8/7(火)―経産省前テントひろば 332日目>
 |  テント大掃除とリニューアル
 |  これからへの態勢も新たに
 └──── (Y・T)

8月7日(火)晴れ

 今日は朝からテントの大掃除&リニューアルの日である。昨日は雨模様であったが今日はすっかり晴れ上がっている。暑い中での作業の1日。
 淵上代表がもう8時前からやってきて、テント内をいろいろ片付け始めている。確か9時集合ということであったはずだが・・・。泊り組からの参加は4人であるが、9時前後から次々と人が集まってくる。

 第1テントと第2テントの中のものを全て運び出し、床を上げ、1年近くに積もったゴミを掃き出し、石灰をまき、新たに床を作り直す。床の上には、第1テントはフローリング仕様でその上に上敷きが敷かれ、第2テントは青々とした畳敷きである。そして前半分には簀の子が敷き詰められ、テントはすっかり雰囲気を変えることになった。

 それはまさにこれからもずっとここに存在し続けるという自己主張であるかのごとくに。いわば気持ちを新たに固め直して腰を落ち着けてやっていくという態勢とでも言えようか。最後にテントの上に断熱シート敷いて、全作業は完了した。
時に、午後4時頃であったろうか。
 今日のこの作業への参加者は全部で40人近くもいたであろう。日頃あまり見かけない方も何人かおられた。そしてテントには初めて、という30代前半の若い男性も参加し、黙々とコマメに様々な作業をおこなっていた。

 この間、経産省の官僚達が2回、4人程でビデオカメラ片手に2回なにやかやとイチャモンをつけにやってきた。テントがリニューアルされて態勢が新たに整うことに手の施しようはないが、心穏やかならず何か言っておかねば、という内心の思いが見え隠れしている。

 この日の枝野経産相の定例記者会見で、時事通信の記者がテントをいつまで放置しておくのか、といった質問をしたそうである。(時事通信の記者は先日も同様の質問をしたそうで、余程テントを目障りに思っているのだろうか。)
 枝野経産相の回答は「撤去するには法律的にもいろいろ難しいところがある」というようなことだったそうだ。それはきっと、人々の「脱原発・再稼働反対・福島を救え・原子力ムラ解体」という圧倒的な意志が、この空間を共同意志空間として強固な占有権を築いているということに違いない。

 ともかく、夏仕様にリニューアルされたテントに是非一度足を運んでいただきたい。
 また、椎名さんのアメリカ滞在報告会が、12日(日)午後6時から第2テントで開かれるので、是非こちらの方にもご参加いただきたい。

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