「昨日11日、雨の中、700人のデモ、原発ゼロの実現めざして行動」など―地震と原発事故情報【TMM:No1418】

2012年4月12日(木) 地震と原発事故情報
                               転送歓迎
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★1.再稼働やめろ―首相官邸へ市民の大きなコール
    昨日11日、雨の中、700人のデモ、原発ゼロの実現めざして行動
                              (柳田真)
★2.再稼働に突き進む政府に猛反撃する関西圏。新聞から。
                       (4月12日 東京新聞)
★3.『再稼働による「悪魔の連鎖」の本当の怖さ』[連載2]
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10日発行TMM:No1416に掲載した「若狭湾岸津波の危険性」の著者について紹介:志岐常正さんは地質学がご専門の京都大学名誉教授です。
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┗■1.再稼働やめろ―首相官邸へ市民の大きなコール
 │   昨日11日、雨の中、700人のデモ、原発ゼロの実現めざして行動
 └────(柳田真)

  再稼働反対!全国アクション(たんぽぽ舎も参加)の4.11行動が雨の中、とりくまれた。参加700人。日比谷公園での1Hの集会は福井現地からの電話報告や雨宮かりんさんの発言、経産テント前ひろばの発言など、多彩な内容。福井大飯原発での3つのテントが10日建てられたので、4月23~24日頃応援、激励にいこうと柳田も提案発言。

  午後7:00デモ出発―再稼働やめろのコールが街中にひろがる。首相官邸前では一段と大きなコールが首相に届けとばかり、ひびきわたる。「閣僚会合うそつき会合」のコールもひびく。
  請願デモを終えた後、雨の中を行進、関西電力東京支社前では大飯再稼働やめろ、大飯をやめて原発ゼロへ、東京電力本店前では東電は原発をやめろ、経産省・保安院前では枝野は行くな、福井へ行くな、などのコールがひびきました。

  雨のなか、5キロ強のデモ行進で、解散は夜9時半でしたが、再稼働の重大局面ゆえ、参加者の熱気と志気の高さがひしひしと伝わる行動でした。たんぽぽ舎も運営委員、ボランティア、総動員で参加し、集会の一翼を担いました。参加者へスペースたんぽぽの講演一覧のビラを配り、再稼働やめよう、議会・首長への要請ハガキも普及をはかり、いくつも反応がありました。今後5月5日まで、再稼働阻止をめざし、原発0(ゼロ)をめざし(原発なくても電気は大丈夫)全力で闘おう。

 ◇反対派、国会へデモ(4月12日 東京新聞)
   デモ行進では、市民らが雨の中、日比谷公園を出発。
  「再稼働、やめろ」の掛け声をあげ、国会議事堂や関西電力東京支社などを通る約5キロを歩いた。国会前で「市民を危険にさらす再稼働ではなく、脱原発こそを政治判断すべきだ」との内容の首相らにあてた請願書を読み上げ、社会民主党と共産党、みんなの党の議員に手渡した。
   都内の自営業の女性(三九)は「政府の再稼働へ向けたやり方はひどい。
  『何かをしないと』と思い、デモに参加した」と話した。

(編集部:この記事は、短いが東京新聞一面トップで大きな写真入り。また、愛知県のメルマガ読者からは、東海地方に大きな影響力のある中日新聞でも4月12日号の一面トップで写真入りで報道されたとの連絡あり)

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┗■2.再稼働に突き進む政府に猛反撃する関西圏。新聞から。
 └────(4月12日 東京新聞)

◇住民の安全より再稼働、急ぐ政府の問題点
 大飯遅れる防災 オフサイトセンター改善未定
 ヨウ素剤確保も未定、22万人分も不足
(省略します―「ちきゅう座」編集部)

◇再稼働に大阪8条件「100キロ圏同意」突きつけ 関西中心に同調広がる
  関西の首長ら、拙速な「新安全基準」に反発
(省略します―「ちきゅう座」編集部)

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┗■3.再稼働による「悪魔の連鎖」の本当の怖さ [連載2]
 │   これでも原発を再起動する気になりますか?
 │   野田政権は全世界に向けて「核戦争」をするつもりなのか?
 └────(山崎久隆 たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会)
       (アジア記者クラブ通信237号に掲載されたものに一部加筆)

[連載2]■2号機格納容器破壊■4号機の幸運■いつも幸運とは限らない

■2号機格納容器破壊

 原子炉圧力容器底部が損傷し、さらに2号機内部では断続的に入る消防用水が高温になった燃料に降りかかり、瞬間的に水が蒸発して「水蒸気爆発」状態になる。圧力容器はその程度の圧力変化にはびくともしないが、逃がし弁開放によって圧力は地下にあるサプレッションチェンバに放出された。この圧力の伝播がサプレッションチェンバまたはそれにつながる配管部分を破壊したと思われる。
 このため2号機内部は全く人が立ち入れない高濃度汚染に晒され、建屋からの撤退を余儀なくされた。格納容器内部は毎時73シーベルト(ミリでは無い!)などという、即死しそうな(JCOで亡くなった作業員の被曝量は7~10シーベルト)放射線が飛び交い、電子機器も役に立たない。もちろんロボットも破壊される高線量地域になってしまった。その状態は1年以上経った今も変わっていない。
 そのため2号機については見かけ上破壊は4基の中で最も小さそうに見えて、最も放射能汚染のひどい原子炉になってしまった。
 水の投入が十分出来ていれば、少なくても2号機を破壊することは止められた。

■4号機の幸運

 4号機では時を同じくして使用済燃料プール中の1535体の燃料に危機が訪れていた。
 原子炉内の燃料も取り出していたため(槌田敦氏は「燃料体は炉心にあった」という別論を立てているが、ここでは東電シナリオ通りに考える)使用済燃料プールとしては通常の1.5倍もの大量の燃料体が保管されていた。このプールには運転中は480トンほどの水が入っている。しかしこのときは、燃料プールとは原子炉を挟んで反対側にある「機器仮置きプール」にも水が張られていた。また、原子炉は圧力容器の蓋が外されており、その中には水が最上部まで入れられていた。圧力容器よりもさらに上に位置する部分を「原子炉ウエル」と呼ぶ。
 実は、この原発は老朽化してひび割れが発生していたシュラウドの交換工事を行っていたため、放射線防護の目的で通常よりも高い水位まで水が張られていた。この状態で水中溶接機を使って圧力容器の内側にある「シュラウド」と呼ばれるステンレス製内釜の部分を切り出す工事をする予定だった。
 3.11時点では、予定通りならば切断作業が終わり次の工程のために水が通常水位まで抜かれていたはずだった。しかし切断装置のアームの長さを間違えてしまい、作業に4日の遅れが発生しており、まだ原子炉ウエル内には水が張られたままだったという。
 さらにずさんなことに、燃料プールと原子炉圧力容器の間に存在していた止水用のゲートに隙間が生じ、ここから水が漏れ出す状態になっていた。原子炉ウエルと燃料プールの水位が同じならば漏えいは起こらないが、相対的に水位が変動した場合、低いところに高いところから流れ出す状態になっていたわけだ。
 それだけではない。原子炉ウエルとともに普段は水が無い「機器仮置きピット」にも水が張られており、圧力容器内から取り出された蒸気乾燥器と汽水分離器が置かれていた。これらは放射能を帯びるため、遮蔽のため水中に保管される。機器仮置きピットは定期検査中のみ水を張っている。
 都合、普段よりも1000トンを超える水が使用済燃料プールの脇に存在していた。
 作業工程の遅れが3.11に、このような状態を作り出していた。
 さらに、止水板の緩みは発生原因も分かっていないが、作業ミスによるのだったら、最悪を回避した「幸運の」作業ミスだったことになる。
 通常、止水板は使用済燃料プールからウエル側に漏れ出すのを止めるためにある。今回は使用済燃料プール中の1535体の燃料が冷却不能となり、その結果プールが沸騰状態になってプール側の水位が低下した。水圧はウエル側からプール側に掛かった。そのような圧力は想定されていなかったために外れたのかもしれない。であれば、設計強度不足が招いた幸運だったと言うことになる。
 本来は水が落とされていたはずの圧力容器が満水状態だったため、結果的に使用済燃料プールへの「給水」が、漏水という形で確保された。通常の作業工程で進み、圧力容器内が通常水位まで下がっていたら、あるいは止水ゲートがゆるんでいなかったとしたら、その時には冷却水が蒸発して無くなってしまい、格納容器の外で燃料溶融が始まっていたことになる。
 そのデッドラインは6日後。まさしく「悪魔の連鎖の」回避は偶然のなせる業だった。
 そんなずさんな状態であることを知る術のない米国NRC(原子力規制委員会)は、冷却水の投入が出来なくなった使用済燃料プール中の1535体の燃料が溶け出す時間を割り出し、その前に十分余裕を持って避難できるようにするために、「80キロ圏内米国民全員退避」を指示していた。
 愚かな一部の米国議員は「大げさすぎる」あるいは「しなくても良い避難指示」などと政権を批判するが、お門違いだ。偶然が重ならなければ6日後には悪魔の連鎖が80キロ県を超えて放射能汚染をもたらしていた。
 最終的には原子力委員会の近藤俊輔委員長が3月25日に首相に報告した「不測事態シナリオの素描」と題する文書にあるとおり、東京すら超えて250キロ先まで避難をしなければならない事態となった。この影響下には3000万人の人口がいる。いったいこれだけの人間をどうやって避難させるというのだろうか。大混乱になっただろう。ならば、米国政府としてはそれ以前に自国民を比較的混乱の少ない80キロ圏外に一端出すと考えるのは実に利にかなった考え方だった。

■いつも幸運とは限らない

 「原発再起動」を主張する野田首相や地元の町長などに聞きたいが、幸運がいつも続くわけが無いし、そんな幸運を期待して原発を動かし続けるつもりなのだろうか。
 原発がひとたび炉心溶融事故を起こせば、周辺の原子炉を巻き添えにすることは、先の近藤レポートで明らかだ。例えば大飯原発には4基の原子炉がある。そのうちの1基が炉心損傷を起こせば同一敷地内の3基も対処不能となる。時間と共に原子炉の冷却は不可能になり、およそ一週間で炉心損傷に至るだろう。4基がメルトダウンする事態になれば、そこから放出される放射能は風下地帯に壊滅的影響を与えるが、特に問題となるのは高浜原発だ。十五キロしか離れていない高浜原発は、大飯原発からの放射能の直撃を受ければ運転員も作業員も死に至る被曝を余儀なくされる。残れば全員死亡、撤退すれば高浜4基のメルトダウンという事態になる。
 実は福島第二原発が、その状況に直面していた。距離わずか10キロで福島第一の放射能が降り注ぐ中、賢明に収束作業を行っていたが、実際には避難区域の中に取り残されており、外部からの支援にも支障を来し始めていた。応援要員の派遣さえままならない。もし4号機のプールがメルトダウンし始めていたら、残るか撤退するかを巡って大変なことになっていただろう。残れば死を意味するからだ。
(★つづく★)

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