このブログで何度も紹介してきたが、済州島では2014年以来毎年12月13日に、旧日本海軍のアルドゥル飛行場の格納庫跡で南京大虐殺追悼集会が開かれている。1937年、ここを起点に南京への無差別爆撃が行われた。
案内によると、この歴史を済州島で記憶する理由は、「空襲や大虐殺に済州の人々が動員された歴史を記憶し、暴力のつながりを喚起する」、そして「済州が二度と加害者にならないように」ということだ。
今年のテーマは「爆撃」だった。「爆撃:南京。パレスチナ。アルドゥル。過去と現在を見て、異なる未来を作ろう」。南京の爆撃・虐殺と現在も続くパレスチナの爆撃・虐殺をつなげる。そしてさらに、軍事化が進む済州島を念頭に置いている。済州島では海軍基地を米軍が使用し、進む第二空港建設計画も軍事利用されるおそれがある。いっぽうでアルドゥル飛行場跡で「済州平和大公園」造成計画が進んでいるが、軍事を「平和」の名で覆い隠しこの飛行場の歴史を洗い流す「ピースウォッシュ」であるというもっともな批判がされている。
今回は「平和」という言葉よりも敢えて「爆撃」というテーマを選んだ背景には、ピースウォッシュを許さない、また、12月3日の「戒厳令」を受けて民衆の暮らしがまた戦争に脅かされるという危機感も背景にある。南京大虐殺被害者の追悼にはこれらの現在的な意味も込められている。再びこの島が戦争に使われることを許さないという住民の決意だ。
今年の集会の写真を、主催した「南京大虐殺87年を記憶する人々」から提供いただいた。
約50人が参加した。韓国語だが、詳しいレポートがこちらのサイトに載っている。https://cafe.daum.net/peacekj/UvsW/124 ぜひ写真や映像を見てほしい。
私は国際平和キャンプで2018年夏に済州島を訪れたその冬以来、この南京大虐殺追悼集会にメッセージを送らせていただいている。いつも取り次いでくれている Kaia さんに感謝している。今年もメッセージを送り、ドンソクさんが訳してくれた韓国語版を、Shichoさんが読み上げてくれた。以下、韓国語版と日本語版を紹介する。いつか、現地で参加したいと願っている。
済州島の友人たちへ
乗松聡子(ピース・フィロソフィー・センター代表)
カナダよりこんにちは。今年も、済州島のみなさんが、12月13日に南京大虐殺追悼行事を行うことに深く敬意を表します。1937年当時、朝鮮は日本に植民地支配されていました。済州島の人々から奪った土地にアルドゥル飛行場を作り、戦争期間を通じて済州島の人々は日本軍に強制動員されました。日帝は植民地支配に加え、地元の人たちを加害に動員するという二重の罪を犯しました。それにも拘わらず、現在の済州島の人々が、アルドゥル飛行場から南京の爆撃が行われたことを悔いて追悼式を行っています。私は、深く頭を下げるしかありません。
ここバンクーバーでも、さる12月7日、中華街にて南京大虐殺追悼集会を行いました。この地も、先住民族から盗まれた土地なのです。当日は、南京出身の人や、日本に爆撃された重慶出身の人も来てくれました。日帝の傷跡を背負ったお年寄りも来てくれました。南京大虐殺や数々の日帝の残虐行為の記憶が、月日を超え、世代を超え、太平洋を超えた人々の中にも残っていることを痛感しました。
朝鮮半島はいまだに分断され、朝鮮戦争も終結していません。日本は、その起因となった植民地支配を行ったこと、そして現在までそれを反省もせず、統一を阻む外部勢力の一部となってきました。日本と大韓民国は米軍に支配されたままで、NATOの東アジア支部のような存在とされてしまっています。私は、日本の歴史責任に向き合いながら、アジアの同胞としての朝鮮半島の人々と手を組んで、現在の戦争をとめ、未来の戦争を防ぐ努力を続けていきたいと思います。南京大虐殺を記憶する日に、この誓いを新たにします。ネバー・アゲイン!
(のりまつ・さとこ)
제주도에 있는 친구들에게
노리마츠 사토코(피스 필로소피 센터 대표)
캐나다에서 인사드립니다, 안녕하세요. 올해도 제주도에 계신 여러분이 12월 13일에 난징대학살 추모 행사를 하시는 것에 깊이 경의를 표합니다. 1937년 당시, 조선은 일본에 식민지 지배를 받고 있었습니다. 제주도 사람들에게서 빼앗은 땅에 알뜨르비행장을 만들고, 전쟁 기간을 통틀어서 제주도 사람들은 일본군에게 강제로 동원당했습니다. 일제는 식민지 지배에 더해, 현지 사람들을 가해에 동원한다는 이중의 죄를 저질렀습니다. 그럼에도 불구하고, 현재의 제주도 사람들이 알뜨르비행장에서 난징 폭격이 행해졌음을 뉘우치고 추모식을 하고 있습니다. 저는 깊이 머리를 숙이지 않을 수 없습니다.
이곳 밴쿠버에서도, 지난 12월 7일, 차이나타운에서 난징대학살 추모 집회를 했습니다. 이 지역도 선주민족에게 빼앗은 땅입니다. 당일은 난징 출신자나 일본에 폭격당한 충칭 출신자도 집회에 와주셨습니다. 일제의 상흔을 짊어진 어르신도 와주셨습니다. 난징대학살이나 수많은 일제 잔학행위의 기억이, 세월을 초월해, 세대를 초월해, 태평양을 초월한 많은 사람들 속에 남아있음을 통감했습니다.
한반도는 아직도 분단되어, 한국전쟁도 종결되지 않았습니다. 일본은 그 기인(起因)이 된 식민지 지배를 하였고, 그리고 현재까지 그것을 반성하지도 않고, 통일을 막아서는 외부 세력의 일부가 되었습니다. 일본과 대한민국은 미군에게 지배받던 상태 그대로이며, NATO(나토)의 동아시아지부 같은 존재로 여겨지고 있습니다. 저는 일본의 역사책임과 마주하면서, 아시아의 동포로서 한반도 사람들과 손을 잡고, 현재의 전쟁을 멈추고, 미래의 전쟁을 방지하는 노력을 계속하고자 합니다. 난징대학살을 기억하는 날에, 이 맹세를 새로이 합니다. 네버 어게인!
(노리마츠 사토코)
初出:「ピース・フィロソフィー」2024.12.19より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.com/2024/12/nanjing-massacre-memorial-at-altteureu.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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