「黄色いベスト運動」についての見解:メルケル独首相とパメラ・アンダーソンの違い

         写真:     アンゲラ・メルケル独首相

CC BY-SA 3.0

 

CC BY 2.0            パメラ・アンダーソン

「ところで、左翼党のリーダーが黄色いベストの抗議運動を制限なしに支持しているというのは恥ずべきことである、とわたしは考えます。なぜなら、左翼党は黄色いベスト・デモの暴力行為について一言も触れていないからです。左翼党は、はっきりと明確にデモ抗議運動の暴力行為との間に距離を置くべきです。」と、アンゲラ・メルケル首相は連邦議会の質疑で、左翼党に要請した。

しかし、メルケルにとっては、ばつの悪いことながら、左翼党は当然、黄色いベストにまじり込んだ暴徒との間に距離を置いているのである。11月29日、連邦議会・左翼党議員団リーダーのザーラ・ヴァーゲンクネヒト[*注1]は「今、マリーヌ・ル・ペンを囲む右翼勢力が黄色いベストの抗議運動を横取りしようと試み、この抗議運動が暴力行為によって台無しにされてしまっていることを遺憾に思います。黄色いベストが要求していることには疑問の余地なく正当性があります」と、ドイツ通信社に左翼党のスタンスを明白に説明している。

            ザーラ・ヴァーゲンクネヒト

CC BY-SA 4.0

明らかに、アンゲラ・メルケルは暴力についてダブルスタンダードの見解を持っている。彼女は、ドイツの国土から発射されるドローンによって何人もの人々が殺されることが国際法違反であるとは見なしていない。サウジアラビアがイエメンで起こしている戦争のために、すでに何十万人という人々が殺され、UNICEFの推定では、7百万人の子どもたちが厳しい食糧難のため飢餓状態におかされているという。こうした事実にもかかわらず、メルケルは軍事武器を供給することによって、この残忍な暴力を支援している。

アンゲラ・メルケルとは違って、女優のパメラ・アンダーソン[*注2]は黄色いベスト運動が、我々の社会における構造的暴力に対する抗議であるということを知っている。彼女は黄色いベスト運動について、こうコメントしている:「黄色いベスト運動は、何年もの間、フランスで、グツグツと煮つづけて今にも沸騰しそうな状態にあった反乱です。エリートと結託し自国の市民を軽蔑する今の政治体制に対する庶民によるレジスタンスです。同様な政治体制が、ほかの多くの西欧諸国においても見られます。」

以上

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[*1]   ザラー・ヴァーゲンクネヒト(Sarah Wagenknecht): ドイツの左派政治家。経済学者、著述家、2009年以来、ドイツ連邦議会議員。連邦議会左翼党議員団リーダー。

[*2] パメラ・アンダーソン(Pamela Anderson): カナダ出身の女優、モデル。動物権利などの活動家。

《参照記事》

Nachdenkseiten:  https://www.nachdenkseiten.de/?p=47864#h02

オスカー・ラフォンテーヌフェイスブック記事

ガーディアン: https://www.theguardian.com/world/2018/dec/06/pamela-anderson-political-activism-is-no-flash-in-the-pan

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔eye4514:181219〕