「 カダフィ政権か傀儡政権という認知不協和のリビア国民 」

著者: 大木 保 おおきたもつ : 心理カウンセラー
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もうカダフィはごめんだ、しかし、欧米のマネー帝国主義・マフィアもごめんだぜ!

さて、いまにわかに、リビアのカダフィ政権の崩壊が報道されています。
これまでカダフィ氏の発言録がマスメディアを通して、よく否定的に、冷笑をもって遇されてきたことは
かれにとっては虚しくもあり、またのぞむところだったといえるでしょう。

北アフリカの狂犬と揶揄されようとも、かれの国際世界への発言は
暴言どころか、おおむね世界列強の痛いところをストレートについた言葉でみちている。

カダフィ氏にたいしてなんの義理もないけれど、欧米のスマートな悪党たちにくらべれば、
「憎めない悪党」ぐらいにはおぼえておいてもいいようにおもえる。

さすがに40年もつづいた独裁政権はそれなりに「腐敗と強権」でかためられていることでしょう。
カダフィ氏もおそらく青雲のこころざしからどんどん離れてゆく政治のありように
ほとほと困惑してきたと想像できます。
しかしだからといって反政府派の全体が正義であるかのように報道するのも胡散くさい話です。

以前にお話したように、
欧米列強諸国のプロパガンダにすりよる先進国マスメディアは、いずれも
経済的な疲弊や強権政治への大衆の不満が噴出した結果のように報じているが、
ことはそんなふうに単純なことではないだろう。

昂揚する主体的な参加者大衆が、さまざまにメッセージを発する反政府行動であるとしても、
その根底にあるものは、たとえ無自覚にしろ 『 しいられた個の生き難さ 』 の反映にほかならない。
ここのところだけは切実であり、本当のことにちがいない。

ただ数々の情報からおして、おそらく事態はもっと複雑で、大衆の意思とはまったくべつの、
欧米列強が特殊部隊と傭兵隊を先陣にして反政府行動を煽動して、
カダフィ政権の転覆をはかるというあらたな帝国主義的介入行動とみとめなければならない。

オバマ米大統領が、「独裁政治を倒し、より民主的なシステムを!」とお節介を語ったところで、
列強に都合のいい「独占支配のための虚妄のプロパガンダ」であることは周知のとおりである。

したがってそこでは、大衆の『 しいられた個の生き難さ 』からわきおこった反政府行動は、
この欧米列強のあらたな帝国主義の発動と対峙して、しのぎをけずる局面でもあるだろう。

あらたなグローバル帝国主義が
北アフリカ・アラブでの石油権益等の奪取、さらにはマネー至上主義システムの構築のために、
傀儡政権の樹立をくわだてていることをゆるしてよいはずもない。

まえにも書いたように、

— <権力の移行 > ということにほんとうに意味があるとすれば、
その国の人々が、
< 個の存在の意味と自由 > という 『ゆたかさ 』 を獲得するときよりほかにはないが、

いま渦中にあるそれらの国は、
世界の歴史のなかではまだ民族主義的な時代性をもひきっずっていて、
克服すべき課題がおおく待ちうけていることも予見される。

だがそれでもたたかいのなかに、大衆みずからの存在をかけて
内なる官僚主義やエセ・デモクラシズムを克服し、
大衆に銃を向ける軍や警察などの解体をやり遂げるほかに、道はない。–

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0597:110823〕