「 国・事故調の中間報告と問題点」など― 地震と原発事故情報 その285

          4つの情報をお知らせします(1月4日)

    12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
    日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.国・事故調の中間報告と問題点
     原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
     が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書
★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
     「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
     50点満点なら25点の文章だと、酷評
★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
     地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
     事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
     「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
★4.テント日誌より
 イ.<テント日誌 12/30(金)>
     年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
       ―― 経産省前テントひろば 111日目 ――
 ロ.<テント日誌 12/31(土)>
     テントひろばの盛り上がる熱気  
     様々な思いが交差する中、年は暮れていく  
       ―― 経産省前テントひろば 112日目 ――

★1.国・事故調の中間報告と問題点
     原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
     が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書

 福島第1原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大学名誉教授)は26日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下に会ったため津波で水没し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代りの冷却手段の準備が、被害が拡大した可能性があると述べた。

※テレビ朝日系列で12月28日放映された「報道ステーション年末SP メルトダウン5日間の真実」で、詳細な再現が試みられています。ネットで検索すればご覧になることが出来ると思います。

★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
     「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
     50点満点なら25点の文章だと、酷評

 公表された中間報告に専門家からは「踏み込みが足りない」「国の方針と擦り合わせたのでは」との批判や最終報告に向けた注文が相次いだ。
 「事故の教訓を共有しようという視点がなく事実を並べただけで分析が足りない。中間報告が50点満点なら25点」と話すのは谷口武俊東大大学院客員教授(リスク管理)。
 地震による影響の分析、水素爆発の原因、風評被害、自治体の動きへの踏み込んだ言及がほとんどないことも挙げ「中間報告は事故調の問題意識を裏付ける情報だけで作られたようだ。反対の証拠もそろえ、分析してこそ事故調査だろう。国民や世界の疑問に答えていない」とばっさり。
 民間の事故調査プロジェクトに加わる東京工業大学の飯尾俊二准教授(核融合学)は「福島第1原発1~5号機の形式は欠陥が指摘されているが、こうしたハードウエアの問題がほとんど論じられていない。同じ形式を他の原発でも採用しているため、原発推進派の意向が反映されたのかもしれない」と指摘する。
 報告書の信用性が十分に担保されていないとの意見も。松岡猛宇都宮大学客員教授(安全工学)は「相手の説明をうのみにしていないか、第三者がチェックできる仕組みが必要だ」と指摘。委員の論議まで非公開とした方針について「調査に自身があるなら公開すべきだ」と断じた。

★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
     地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
     事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
     「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落

                  立川自衛隊監視テント村 岩下 雅裕

(「ちきゅう座」では https://chikyuza.net/archives/18144 に掲載しました。)

★4.テント日誌より
 イ.<テント日誌 12/30(金)>
     年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
       ―― 経産省前テントひろば 111日目 ――

 12月30日(金)快晴、風が強い

 「東電、経産省の仕事納めはなりません」の福島の女性たちののべ100名を超える抗議行動の翌日の早朝、女性テントは、ひとしきり、主の不在であるかのような「館」となっていた。強い風がテントのキャンバスをはためかせ、記帳窓口を開けようという男テントをわずらわす。いらいらしているスタッフのところへ、女性がキャンバスをかき分け、お顔をのぞかせて、「これ皆さんで、召しあがってください」とのこと。女性のテントの分はもうとってありますので、と白い発泡スチロールの箱には、一つ一つ透明なラップでくるんであるおにぎりの行列。触ると温かい。女性テントでどの程度とられたのか、分かりませんが、こちらでも、30個ほどはあった。しょうゆ味に鮭肉がまぶされている。

 ある先輩がこうおっしゃっていた。「このテントでは、食べ物の心配はいらないよ。じっと待っていれば、誰かが差し入れてくれるから…」こういうことか! 暫くして、女性が「鍋はどこで洗いましょう?」。大なべ3つ、パック3つほど、携えて、ふたりで公園に向かう。さすが、女性のお仕事は、丁寧かつ速い。

 夕刻、おとといさしいれてくれたたんぽぽ舎のSさんが鍋を回収しに来た。「よごれていてもよかったんだけどね、ポトフの次は、イタリア風のミネストローネ・スープにしてみようかな?」とにかく間に合ってよかった!火器使用禁止のテントでは、差し入れだけが、本格的食事だ。 

 午後、私用で2時間ほど開けて、テントへ帰ると、随分のにぎわい。反原発・年越しOccupy経産省前テント実行委員会主催の「こんなんじゃ、よい年迎えらんない99%のための祭り~みんなでつくろう!年末年始大生放送!の舞台づくりその他で、かいがいしい風情。

 ギャラリーも徐々に増えて、一昨日のテント前の抗議集会の勢いが蘇りそうだ。冷気もひとしおの4時過ぎ、新しいレイバーネットのネット生中継への出演者が来始めたが、なぜか、寒風に唇ひきむすぶかとおもいきや、ファイトが微笑を浮かべている。福島の人々への「救援」になんらかの助けになればという祈りと含羞と連帯感のほほえみはよいものだ。キャスター役の女性二人はリハーサルもふくめて6時間、寒風に耐え抜いて、唇も蒼ざめていたのはいたましいことではあった。

 そのあと、オールナイトの映画鑑賞会が開かれ、女子テントは江戸時代の歌舞伎場の様だった。ポルトガル、ブラジル、フィリッピン、オーストラリアなどの男女青年たちから、マスコミでは無理なパーソナル・オーラル・コミュニケーションによって、大切な情報をもらった。

 オールナイト映画上映会は、俊英、早川由美子監督の自作「ブライアンと仲間たち」から始まり、計5番組放映された。コマーシャリズムから自由な、新しいリアリズム、ドキュメンタリー作品が相次ぎ、新しい年を迎える予習としては、最高だった。早川監督の紹介してくれたブライアンさんは、今年6月亡くなられたそうです。国会議事堂前で、反戦・平和を訴えるためテント暮らしを続け、家族にも会いにゆかぬ闘争を敢行した。8年以上家にも帰らず、一日も休まず、英米政府のテロ撲滅戦争に抗議してきた男とその仲間のドキュメンタリー映画こそ、このテントで観たいものだった。監督は最後まで、映像放映のお世話をしてくださった。テント座り込み111日めの告示は、この日、ポルトガルのアーティストが描いてくださった。

                               (Q記)
 ロ.<テント日誌 12/31(土)>
     テントひろばの盛り上がる熱気  
     様々な思いが交差する中、年は暮れていく  
       ―― 経産省前テントひろば 112日目 ――

 12月31日(土)快晴、微風。

 反原発・年越しOccupy@経産省テント実行委員会主催の「大生放送」のプログラムに、大きく影響される。午前中も昨日の映画祭の影響で、早朝帰宅のかたが去るまでは、熱気が消えない。いつもの座り込みのメンバーやスタッフがそろう頃には、大みそかのイヴェントの準備がまた始まる。寒中の「野」ざらしの中継の激務で、パートナーが倒れたとレイバーネットのMさんがブツブツ交換の敷物を準備しながら、ブツブツ……。

 カンパの年越しそばをかたじけなくいただいてる頃、経産省の警備員が、ビデオスタッフを連れて、だまったまま蒼ざめたような風情で会場を横断する。

 『紅白歌合戦』は17時ころ開始。観戦しているところに、幹部のEさんが帰ってきた。国際結婚したお孫さんと会うのを日本で果たすことができなかった。イギリス人のおむこさんが、お孫さんの被ばくを警戒して、間の国で『正月祝い』とお孫さんとの邂逅をされることになった。日本=被爆国がヴェトナム、ヨルダンなどへ「最高級の原発技術」を輸出し、憲法9条のある国が、南スーダンへ駐留軍を長期派遣する。事故報告もいい加減な政府関係者が、首相に「収束宣言」をさせる…。こうした二重基準の中で、福島の住民は、こどもは信ずるものは、自己自身のほかにはなくなる危機に追い込まれる。医師や学校の先生が、虚言を弄する時代!

 受付に機動隊がひとり立ちふさがり、じっとこちらをねめつけている。ビニール扉をめくると、黙ったまま、カンパをいれてくれる。おそらく、郵貯の現金輸送車の警備スタッフだったのだ。角松はとびきり立派だ。この門松も、若い御嬢さんのカンパだった。こうした支持の金東雲があるかぎり、この魔法のテントは限りなく飛ぶ。

 いよいよ、感動の歌合戦が終わってカウントダウンに入ったとき、不当雇用・解雇抗議の座り込みを工場でしている韓国自動車工場とアクセス。新年は韓国のソウルの労働者と連帯することに。F夫妻のまわりには、海外からのお客様が二人をとりかこんでいる。

 紅組最終は、椎名千栄子さんの「原爆許すまじ」、白組は、ジョニーさんの傑作替え歌集。老若男女、ジョニーさんのギターひきがたりと国際的な映像交換とともに、バークレーの大学占拠からNYのウォールストリートへと歌いつがれた、「乗合電車」を大合唱する。合衆国だけで、340ほどの0ccupyテントがあったそうだ。いまは、増えているか、減っているか? 

 午前1時から4時まで、第二テントの外は、打楽器の嵐、中では、関電前座り込み、福島、寿、山谷、渋谷炊き出し隊とのUST上の情報交換(歌合戦のおりおり)の後での、トーク・セッションとなった。東電前アクションから、高橋幸子、テントから、椎名千恵子が出演。雨宮処凛、素人の乱の松本哉、青年ユニオン委員長、反貧困グループ、TVディレクターなどが、新年のゆくえを語り合った。

 2011年9月11日から建ち上がったこのテントは、世界情報の池への一石となり、国内外に波紋を広げている。角松の寄進は、このテントの支持層の多種多様さを物語ってあまりある。福島の避難地域それは、冥土イン・Japan であり、原発の冥土の旅の一里塚となっていると信じたい。カウント・ダウンのおり、社民党委員長の福島みずほさんが、SPなしで立ち現われ、マイクを差し出されて、再稼働許すまじの演説をされた。民衆の海のほかに、信ずべきものは、今ないと実感して、新しい年を迎えた。
                                   
                                          (Q記)

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