1980年代以降、世界に広がった新自由主義グローバリゼーションは、多くの国で貧困と格差を広げ、失業や地域経済の不振の原因となってきました。
行きすぎた利潤の追求ではなく、誰もが不安なく生きていける経済の実現や、持続可能な開発、公正な貿易がいま、世界のどの国・地域でも求められています。
その実現を考えるにあたり、重要な示唆を与えてくれるのが、「フェアトレードの父」とも呼ばれるフランツ・ヴァンデルホフ神父の「貧しい人々のマニフェスト」です。
ヴァンデルホフ神父は、1939年、オランダ、ブラバント生まれ。
神父となり、1970年以降、南米、中米にて支援活動を行ないました。
メキシコのコーヒー農家の生活向上を目指し、フェアトレード認証団体“マックスハベラー”を設立するなど、世界のフェアトレード推進に大きな貢献を果たしてきました。
彼は「経済のために人間が存在するのではない。人間のために経済が存在する」と説いています。
その根底にある思想をまとめた「貧しい人々のマニフェスト」は、南の小規模農民や労働者のマニフェストであると同時に、地球上に住むすべての人に示された“連帯経済宣言”でもあります。
この本は、2010年のフランス語による出版の後、英語(カナダ版、イギリス版)、スペイン語、スウェーデン語、イタリア語と欧州を中心に様々な言語に翻訳されました。
今回のオープン講座では、この本の日本語版翻訳を手掛け、ご自身も開発や国際協力、市民社会論がご専門である、北野収さんをお招きして、「貧しい人々のマニフェスト」がいま私たちに問いかける課題についてご講義いただきます。
フェアトレードというテーマはもちろん、「社会的連帯経済」、「共同体民主主義」、「ラテンアメリカの解放の神学」、「グローバルな正義」、また国際開発、国際協力、NGO・NPO、国際貿易、フードシステム等の広い分野についても示唆に富むお話となります。
ぜひ多くの方のご参加をお待ちしております。
★PARC自由学校特別オープン講座★「新自由主義の「失敗」、その対案はどこに?
『貧しい人々のマニフェスト』を読む ~フェアトレードの思想と連帯経済~」
■日 時:2017年10月30日(月)19:00~21:00(開場18:30)
■参加費:500円 ※予約優先(定員30名)
■予約申込:http://www.parc-jp.org/guidance/form06.html
■会 場:PARC自由学校 2F 教室
地下鉄A5出口から徒歩2分
都営新宿線「小川町」 丸ノ内線「淡路町」 千代田線「新御茶ノ水」
※いずれの駅も地下でつながっています。
JR「お茶の水」聖橋口から徒歩6分
※会場地図:http://parc-jp.org/guidance/guidance_04.html
◆主催・問合せ先:NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)
東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455
E-mail : office@parc-jp.org
■北野 収さん(獨協大学外国語学部交流文化学科 教授)
主著:『国際協力の誕生─開発の脱政治化を超えて』創成社新書 2011/『アグリカルチャー─食と農を地域にとりもどす』農林統計出版 2012
◎参考文献:フランツ・ヴァンデルホフ(著)、北野収(訳)『貧しい人々のマニフェスト─フェアトレードの思想』創成社 2016/北野収『南部メキシコの内発的発展とNGO─グローカル公共空間における学び・組織化・対抗運動』勁草書房 2008