1月29日(火)に原子力規制委員会の地震・津波に関する「新安全設計基準」
検討チームの第8回会合が行われ、傍聴してきました。今回の議題は、新安
全設計基準の骨子案のとりまとめでした。別の検討チームで議論されている
「新安全基準」(1/31に骨子案とりまとめ。傍聴を!)とともに、今後の原発再
稼働を大きく左右するものです。市民の傍聴者は普段よりかなり多い約15人。
他の多くは電力関係者でした。
「工学的な計算により予測されるずれが小さければ、建屋以外の重要施設
は活断層の真上でも大丈夫」とのトンデモ理論を展開してきた谷和夫・防災
科学研究所兵庫耐震工学研究センター研究員(元電力中央研究所)が欠席
したのは肩透かしでした。この間の週刊誌や新聞等による追及が効いてい
るのでしょうか。
議論では、「ずれの大きさを予測する技術は確立されていない」として、谷氏
らによる暴論は退けられました。前回までの和田章氏、鈴木康弘氏らの頑
張りとメディア等の追及が功を奏した形です。
一方で、当初、島崎邦彦委員長代理が主張していた「約40万年以降の活動
が否定できないものを活断層とする」との見解は明らかに後退しました。
島崎氏は、鈴木康弘氏の説得力ある修正要求
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0008_03.pdf
を受けながらも、
「耐震設計上考慮する活断層としては、後期更新世以降(約12~13万年
前以降)の活動が否定できないものとすること。その認定に当たって、後期
更新世の複数の地形面又は連続的な地層が欠如する等、後期更新世の活
動性が明確に判断できない場合には、中期更新世以降(約40万年前以降)
まで遡って地形、地質・地質構造及び応力場等を総合的に検討した上で活
動性を評価すること。」
との原案の表現をかたくなに譲りませんでした。傍聴席からは抗議の声が
あがりました。日経新聞が「グレーゾーン」と指摘しているように、再稼働の
余地を拡げようとしているのは明らかです。
今後、パブリックコメントなども含めて、こうした姿勢、表現を具体的に改め
させることが必要になります。監視と働きかけを強めていきましょう。
※以下、関連報道です。不正確な他紙に比べて、日経、読売の両紙がほぼ
正確に伝えていると思います。
活断層「40万年前」は限定適用 規制委が新安全基準骨子案(1/29、日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2900K_Z20C13A1MM0000/
活断層評価に「グレーゾーン」 再稼働に道残す(1/29、日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2900L_Z20C13A1EB2000/?nbm=DGXNASGG2900K_Z20C13A1MM0000
活断層の真上、重要設備の設置認めず…規制委(1/29、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130129-OYT1T00691.htm?from=ylist
【参考】
(骨子素案)発電用軽水型原子炉施設の地震及び津波に関わる新安全設計基準
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0008_02.pdf
特集ワイド(1月25日、毎日夕刊)
規制委の3人に1人、原発事業者から「資金提供」 「公正な判断」に懸念
http://mainichi.jp/feature/news/20130125dde012010003000c.html