6月20日、強行採決により成立した「改定国会法」を
めぐる動きについてご報告します。[転送・転載歓迎/重複失礼]
◆国会は二度死んだ
国会に「特定秘密」の追認機関となる「情報監視審査会」を作る国会法
改定案は、6月19日に参議院議院運営委員会(議運)で審議入り(3時間)
したばかりにも関わらず、20日の午前2時間、午後2時間という計7時間の
みの審議を経て、議運で15時55分頃、参考人質疑すら省いて強行採決され
ました。民主、共産の他、衆院で賛成した維新、みんな、結いも慎重審議
を求めて反対しました。そして、夕方に始まった本会議で、21時30分に賛
成146、反対78(民主、共産、社民、生活他が反対、みんなは賛成、維新、
結いは棄権)で可決成立。
また、国会法改定案に関連する「参議院規則の一部を改正する規則案」、
「参議院情報監視審査会規程案」の両案も、21時40分頃、賛成134、反対
91で可決成立しました。規則案も規程案も、不要かつ粗雑な、国会自壊の
ルールです。6月20日は「国会が行政と秘密の前にひれ伏した日」(海渡
雄一さん)となりました。
私は委員会審議を、19、20日と一部傍聴しましたが、野党の鋭い追及に
たびたび審議が中断。提案者の自民党議員は何度も答弁不能に陥りました。
「(中身のない)がらんどう」「政府の政府による政府のための法案」な
どの厳しい批判も相次ぎました。一見して、とても質疑に耐えられる代物
ではありませんでした。それなのに、参議院で審議入りした翌日に強行採
決で成立とは、国会は末期症状を呈しています。
当たり前になされるべき話し合いが成立していません。あるのは与党に
よる「問答無用」の数の暴力。「秘密保護法」の制定時よりもさらに悪化
しています。台湾では学生たちが国会を占拠しましたが、日本の国会ほど
主権者に占拠されるべきところはないかもしれません。主権者である市民
による国会の監視機関こそが、本当に必要になってきたとも感じます。
秘密監視機関、12月発足=改正国会法が成立(6月20日、時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014062000787
「参議院情報監視審査会規程案」が不十分な内容・審議のまま会期末に
どさくさ強行採決 特定秘密保護法(宮崎信行/6月20日・BLOGOS)
http://blogos.com/article/88882/
議運委員で秘密保護法制定時に特別委員会理事でもあった福山哲郎議員
(民主)が委員会審議を報告。
→ テツロー日記「自民党の暴走極まれり!」
http://www.fukuyama.gr.jp/diary/2014/06/20/10758/
◆土壇場での市民による抵抗
この日、市民側は院内集会、国会前行動、そして共同記者会見とフルに
動きました。「秘密保護法」廃止へ!実行委が主催した院内集会には、糸
数慶子(無所属)、福島みずほ(社民)、辰巳孝太郎(共産)、吉田忠智
(社民)、近藤昭一(民主)の各議員が参加・発言。また、海渡雄一弁護
士が秘密保護法廃止運動の到達点と課題について問題提起。藤田早苗さん
(英国エセックス大学人権センター講師)は、秘密保護法が「民主国家に
見られる今世紀最悪の法律」であり、国際人権法に明らかに違反すると指
摘しました。また、表現の自由についての国連人権理事会特別報告者であ
るフランク・ラルーさんのビデオメッセージ(後日YouTubeにアップ)も
紹介されました。集会終了後には、参議院議員会館前で国会法改定案の強
行採決に反対する緊急行動を行いました。
さらに、学者・研究者、法律家、ジャーナリスト、作家、国際人権NGO、
出版界、学生、市民団体、海外在住研究者など様々な立場の人々11団体、
12人が顔をそろえて、秘密保護法に反対する共同記者会見を行いました。
この模様は18時からのNHKニュースで紹介されました。
国会法改正案 可決・成立へ~特定秘密保護法反対で会見
(6月20日、NHK、動画あり)※18時のニュースで放映。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140620/k10015382471000.html
学者・法曹・メディア・労組… 秘密法反対 一堂に 緊急共同会見
(6月21日、しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-21/2014062106_01_1.html
【動画】「秘密保護法」反対共同記者会見のツイキャス録画
http://twitcasting.tv/kefaclub1/movie/73357825
◆改定国会法の問題点を広め、秘密保護法とともに廃止させよう
秘密保護法を補強する改定国会法は、秋の臨時国会で秘密保護法ととも
に廃止させるべきものです。百歩譲っても、抜本的な法改正は必須です。
そのためにも、悪法の問題点を改めて共有することが必要です。そして、
今通常国会に提出された「秘密保護法」廃止法案は残念ながら22日付で廃
案となる見込みですが、臨時国会では民主、生活なども含むより大きな枠
組みでの再提出を実現させましょう。そのことは、年内施行を食い止める
力にもなると思います。
さらに、7月中旬に国連ジュネーブ本部で開かれる自由権規約委員会で
は、「秘密保護法」が審査にかけられようとしています。日本政府が批准
し、拘束されている『自由権規約』に反しているという、委員会勧告を勝
ちとろうと、日弁連や人権NGOが働きかけを強めています。注目と応援
をよろしくお願いします。
【必読】特定秘密の国会監視機関は本気で運用監視を行えるのか?
(三木由希子・情報公開クリアリングハウス/6月11日、SYNODOS)
http://synodos.jp/politics/9154
【社説】[秘密法の国会監視]「追認」機関でしかない(5月27日、沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=70823
特定秘密政府の提出拒否可能 監視機関勧告 強制力なく(6月20日、東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014062002000136.html
【参考】
国会(情報監視審査会)は、特定秘密のチェックを果たせるのか?
政府の第三者機関は?(南部義典/6月4日、BLOGOS)
http://blogos.com/article/87819/
【動画】「秘密保護法」廃止法案提出と今後の課題:海渡雄一弁護士
(6月16日の院内集会での発言、約5分)
http://www.youtube.com/watch?v=F_GNReZz95M
「情報は人権の要石」 国連・自由権規約委員会での秘密保護法審査を前に、
岩上安身が英エセックス大学人権センター講師・藤田早苗氏に聞く
(6月20日、IWJ/公共性に鑑み、非会員の方にも6月26日まで特別公開!)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/147623
7月の国連自由権規約委員会が秘密保護法を審査
「違反勧告を勝ち取りたい」 エセックス大学講師・藤田早苗氏が報告
(6月17日、IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/146972
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<ご案内>
◆連続学習会:こんなにあぶない!「秘密保護法」第3回
6月30日(月) 18時30分~21時
文京区民センター2A集会室(春日駅、後楽園駅)
講師:青井未帆さん(学習院大学法務研究科教員)「秘密保護法と憲法」
資料代:700円
主催:「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
http://www.himituho.com/