議決定が強行されました。これに対して、経済安保法に異議ありキャンペーン
とデジタル監視社会に反対する法律家ネットワークが抗議声明を発表しました。
動画や資料と合わせて、ぜひご覧ください。拡散もよろしくお願いします。
◆論点が明確にされています。お時間のある時にぜひご視聴ください↓
【動画】10.3院内集会(撮影 UPLAN)
<これからどうなる?! 経済安保法~暴走を止めるために今知るべきこと>
「歴史から見たスパイ防止法の危うさ」纐纈厚さん(山口大学名誉教授)
「セキュリティクリアランスとは何か」井原聰さん(東北大学名誉教授)
「経済安保法の現状と行方」海渡雄一弁護士
https://www.youtube.com/watch?v=EGPjG9jIzG4
講演資料はこちらから見られます
https://keizaianpoigi.wixsite.com/com-com/relax
経済安保法基本方針等に対する意見募集の結果
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000241784
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【声明】パブコメ無視に抗議し、経済安保法の抜本的見直しを求める
https://bit.ly/3efZNJ9
政府は経済安全保障推進法(以下、「本法」)の第2条「経済施策を一体的
に講ずる安全保障の確保の推進に関する基本方針」および第6条の「特定重要
物資安定供給確保基本指針」、第60条の「特定重要技術研究開発基本指針」を
「経済安全保障法制に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」)(第1回、
7月25日開催)に提案し、了承を得て直ちにパブコメを実施した(7月27日~8
月25日)。そして政府は、9月12日に開催された第2回有識者会議にパブコメの
意見集約を示し、それをもとに修文されたいわば第2次案を提案、9月30日に閣
議決定した。
本法の具体的内容は政省令で138件も書き込まれることになっており、その
うちの胆ともいえる第2条の「基本方針」と第6条、第60条の二つの「基本指針」
が「国民の声を聴く」間もなく、電光石火で作られた。パブコメに寄せられた
意見は1,305件におよび、意見の概要も387件に集約されたが、そのほとんどが
反対の見解や問題提起であった。しかし、修文された箇所は誤字脱字を含め、
提案を補強する内容のみが、わずか20か所弱採用されたに過ぎず、市民の声を
無視する点では「国葬」の強行と同様であった。私たちは、このことに強い憤
りを表明するとともに、パブコメの大半の意見を無視したことに抗議する。
基本方針、基本指針の問題点
政府が決定した「基本方針」と二つの「基本指針」の書きぶりは、「安全保障
上の一定の課題については、官民の関係の在り方として、市場や競争に過度に
委ねず、政府が支援と規制の両面で一層の関与を行っていく」という本法には
ない踏み込んだ規定がある一方、「一定の課題」のように恣意的解釈が可能な
表現が多く、企業と研究者を政府の管理・統制下に置く内容となっている。以
下、本法のもつ根本的な問題点を改めて指摘する。
1.政府の暴走を止める対抗措置がない
生産活動や市民の生活に大きな影響を与えるとして、中国など特定の国から
多く輸入されている半導体、蓄電池、医薬品などの物資が選択の基準も示され
ずに「特定重要物資」として規制の対象とされ、また電気、ガス事業のような
インフラ事業14事業種を指定し、サイバー攻撃に対処するために設備やプログ
ラム等に中国のIT製品の使用を規制する強い権限を付与した。加えて「特定重
要技術」に指定された先端技術開発には、罰則を科した守秘義務のある情報提
供によって官民伴走する研究組織を提案し、研究者の自立性・自主性を規制す
る権限を政府に与えている。こうした政府の管理統制的権限の強化に対しては
暴走の危険に待ったをかける規制委員会のような対抗措置が不可欠で、かつて
の国家総動員体制の轍を踏んではならない。
2.力による対抗的政策の行く末
「世界の優位に立つ」として、経済活動でも、軍備でも優位に立つことが目
的となるような施策は結局、国際協調主義やWTO(世界貿易機関)の無制限原
則、国際商習慣を逸脱する危険性があり、結局は国際紛争を引き起こすことに
なる。
3.価値観を同じくする同盟国・友好国とだけ交流すればよいのか
いうまでもなく国際社会は多様な価値観をもった国々の集まりであり、国際
経済は価値観を同じくする国との狭い関係ではない。もっぱら中国から輸入し
てきた半導体や蓄電池などの特定重要物資の調達先を突然変更することは、緊
張関係を高めるばかりである。
4.民間事業者の忖度、官民癒着の危険
政府による規制には支援と罰則があり、文字通りアメと鞭の政策である。官
民癒着、忖度、情報漏洩の温床となることが危惧される。
5.特定重要技術の囲い込みの危険性
先端技術研究開発の政府による囲い込みは、重点分野への重点投資などをも
たらし、他の分野の軽視につながる。日本の科学・技術の総合的な発展の遅れ
や基礎科学の軽視による研究力低下に拍車がかかることが危惧される。
6.先端技術への情報規制
研究協議会による機密情報管理や特許非公開の導入は結果として、研究成果
の発表、研究交流の自由を阻害し、当該研究者のみならず科学・技術の発展に
も有害である。
以上のように深刻な問題点が解消されていない以上、政府に前のめりの姿勢
を改め、本法の抜本的見直しを行うよう求める。
2022年10月9日 経済安保法に異議ありキャンペーン
デジタル監視社会に反対する法律家ネットワーク
[連絡先]
090-6185-4407(杉原)
03-3341-3133(東京共同法律事務所・海渡)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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