【放射線被曝】原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう!その2 低線量被曝の影響は「直線しきい値なしモデル(LNTモデル)」~「100mSv以下なら安全」は大嘘、低線量・内部被爆をあなどるな~

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原子力ロビーによる放射線被曝の押付けを拒否しよう! その2
低線量被曝の影響は「直線しきい値なしモデル(LNTモデル)」
~「100mSv以下なら安全」は大嘘、低線量・内部被爆をあなどるな~
2018年12月17日  木村雅英
○確定的影響と確率的影響
被曝による健康被害は「確定的影響」と「確率的影響」に分類される。
「確定的影響」はある一定以上の量の放射線を被曝することにより、細胞死だけでなく、細胞集団に損傷が与えられ、「臨床的に認識しうる病的状態」が検知される。すなわち、一定の線量以上被曝した場合は誰もが発症して、それ以下では発症しない障害のこと。ICRP(国際放射線防護委員会)は、様々な障害について100ミリグレイ~数百ミリグレイ(グレイGy≒シーベルトSv)と「しきい値」をとても高く設定している。
○直線しきい値なしモデル(LNTモデル)
本題は「確率的影響」で、多くは白血病と固形がんに絞られしきい値は無いと考えられている。すなわち、どんなに低線量であったとしても、健康に害を及ぼす可能性を否定できない。どんなに低い被曝量であっても被曝量に比例した影響が出る。これが「直線しきい値なしモデル(LNTモデル)」で、ICRPもUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)もNCRP(米国放射線防護審議会)もBEIR(電離放射線の生物学的影響に関する委員会)も直線しきい値なしLNTモデル採用している。

○「100mSv以下は安全」の嘘
しきい値なしLNTモデルゆえに「100mSv以下は安全」とは誰にも言えない。現に、ICRPでさえ公衆被曝の実効線量限度を1年に1mSvとしており、日本もこの1mSvを採用している。
さらに、例えば次に示すように、100mSv以下でも健康障害が報告されている。
・山下俊一:日本臨床内科医会会誌23巻5号、2009年
「主として20歳未満のひとたちで、過剰な放射線を被ばくすると、10~100mSvの間で発がんが起こりうるというリスクを否定できない」(チェルノブイリの20万人の子供達の大規模調査結果の論文から)(文献D)
・プレストン:放射線影響研究所(米日政府設立)、2003年
「50mSv以下の被曝で、被曝しなかった集団に比べ、5~10%ガン死が増加」
1950年から1997年までの、広島・長崎85000人の被曝者のがん死のデータから。(文献B)
・世界中の原発や研究所、鉱山などで低線量を長期間被曝した人たちの調査結果から
20mSv以下の被曝でも明らかにガンを増やしていることを証明した論文が多数
(文献B)
・英国(症例2万7千名、対照3万7千名)では、自然放射線で5mSvを越えると1mSvにつき小児白血病リスクが12%有意に増加するという報告が出されている。(Leukemia. 2013 Jan;27(1):3-9. doi: 10.1038/leu.2012.151. Epub 2012 Jun 5.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22766784)(文献D)
・循環器疾患の危険性増加について、しきい値は無く、確率的影響を示し、ICRPが主張する「がん以外の障害は、しきい値のある確定的影響」とする理論は誤っている。(文献B)
○低線量・内部被曝をあなどるな
・放射線のエネルギーで分子結合を切断
生命体を構成している分子結合のエネルギーレベルと、放射線の持つエネルギーレベルが10万倍も100万倍も異なる(文献A)
・内部被曝を過少評価するな
実効線量は全身への総和で現わすが、吸入・食事・創傷等による内部被曝では、放射性物質はそれぞれの臓器の細胞に至近距離から放射線を浴びせる。例えば、ヨウ素は主に甲状腺に、セシウムは筋肉などに、ストロンチウムは骨に、と。(文献B)
・遺伝的影響に関しても分からないことが多い(文献C)

ICRP勧告をも、また国が定めた「追加被ばく線量年間1ミリシーベルト」をも無視した文科省、復興庁、原子力規制委員会ほかによる「100mSv以下なら安全」キャンペーンに騙されてはいけない。ましてや「20mSvで帰還」は棄民政策だ。
(参考文献)
・A:「隠される原子力 核の真実」(小出裕章、創史社)
・B:「低線量・内部被曝の危険性―その医学的根拠―」(医療問題研究会編)
・C:「被ばくと補償~広島、長崎、そして福島」(直野章子、平凡社新書)
・D:「患者よ、がんと賢く闘え!~放射線の光と闇~」(西尾正道、旬報社)
以上

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〔opinion8234:181218〕