避難を強いる原発動かすな、今の避難計画に実効性無し!
~水戸地裁の東海第二運転差止判決が明らかにする原発稼動の矛盾~
原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会・被曝強要委員会! その242 木村雅英
3月18日に住民が訴えた東海第二原発の運転差止を認める判決を出した。長年に及ぶ現地住民や原告の皆さんのご努力に心から敬意を表する。
判決直後のNHKのテレビ報道では、水戸地裁は、避難計画について「実現可能な避難計画が策定され、実行できる体制が整っていなければ重大事故に対する防護レベルが達成されているとは言えない」と指摘したそうだ。
私が注目したのは、実現可能な避難計画の問題は他の原発にも及ぶ、と解説者がコメントしたこと。
そうだ、どこの原発でも実現可能な避難計画ができていない。
10年前の東電福島原発事故でも避難が適わなかった。また、例えば先の2月13日の福島県沖地震(M7.3)では、常磐自動車道が地震直後から数日間も通行止めになった。自然災害により原発から避難が必要な事態になった場合に、逃げる為の道路が寸断されることは明らかだ。
避難計画に実行性が無ければ原発を動かすべきではない。実際に米国では、避難計画が出来ない為にアメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドにあるショアハム原発は全く使われること無く廃炉となった。
原子力利用を推進するIAEAでさえ、深層防護(五重の壁)の第5層として緊急時計画を義務づけている。
この深層第5層に関しては、原子力規制委員会が原子力災害対策指針を作成したにも拘らず、実際の運用は内閣府と関係自治体に任せ、稼動している総ての原発で深層第5層の実効性の確認ができていない。
それ故、東海第二のみならず、今稼働している原発も含めて総ての原発について、避難計画が実現可能であるかどうかをチェックし、実現可能性が確認できないのであれば、その原発を直ちに止めるべきだ。
そう考えれば、国内の総ての原発は稼働できないのではないか。
一方、このように避難計画を立て防災訓練をしヨウ素剤を配布する、こんな愚かしい準備をしないといけないのであれば、原発を動かすべきでないとも考えられる。
いずれにしても今回の水戸地裁判決を受け、原子力規制委員会は原発の再稼働審査と運転期間延長の審査のあり方を見直すべきだ。また見直しが完了するまでは総ての原発を止めるべきだ。
一方、この判決を受け、総ての原発立地でも、改めて「避難ができないのだから原発止めろ」と訴え続けて原発稼働を止めたい。
以上
木村雅英 KIMURA Masahide
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