する共同声明」発表の記者会見は無事に終了しました。声明では、①与党実務者
チームを解散させ、国会で徹底した議論を行うこと ②殺傷武器の輸出を解禁し
ないこと ③第三国輸出による戦争加担と不可分の次期戦闘機日英伊共同開発を
中止すること ④武器輸出に多額の税金を投入する軍需産業強化法を廃止するこ
とを要求しました。会見は以下のように各紙で報道されています。
「平和国家から死の商人に転落する」
憲法学者ら22人、殺傷武器輸出解禁や「密室協議」に反対する共同声明(10月3日、東京)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/281415
殺傷能力ある武器輸出に市民団体が反対声明 国会での徹底議論求める(10月3日、朝日)
https://www.asahi.com/articles/ASRB36GNKRB3UTIL01G.html
殺傷武器輸出に学者ら反対声明 「死の商人国家」転落許容できず
(10月3日、共同)
https://nordot.app/1081835633143988366
殺傷武器輸出、大学教授ら反対声明「死の商人国家に転落」(10月4日、神奈川)
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1024550.html
「死の商人国家」にするな 殺傷武器の輸出解禁 学者ら22氏反対声明
(10月4日、しんぶん赤旗)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-10-04/2023100412_01_0.html
それほど長くありませんので、ぜひ、アーカイブ動画をご覧ください。また、共
同声明への賛同も募っています。ご一読のうえ、ぜひご協力をお願いします。
——————————
◆記者会見の動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=-Xi74cB9iBc
(0分~30分:6人の呼びかけ人からの発言、30分~52分:質疑応答)
◆共同声明への個人・団体賛同を募ります。
以下のフォームより、お名前・団体名などをお知らせください。フォームから
送信できない方は、メールにて shudantekijieiken@gmail.com 宛でお知らせ
ください。お名前の公表が不可の場合にはその旨お知らせください。臨時国会
召集前に多くの賛同を得て、政府や各党に届けていきたいと考えています。
賛同締切 2023年10月17日(火)19時
賛同フォーム https://forms.gle/3wqVgZ3iNTLSy2Cu9
この共同声明を、多くの方々に広め、各方面で議論を起こしていただければ幸
いです。とりわけ、立憲野党に臨時国会での厳しい追及を望みます。
声明全文・呼びかけ人リスト
https://heiwakosoken.org/2023/10/02/statement1003/
—————<じっくりご一読ください>—————
【共同声明】
日本は「死の商人」になるのか 殺傷武器の輸出に反対する共同声明
岸田政権は、年内にも、今まで制限されてきた殺傷武器の輸出を解禁しようと
しています。それは「メイド・イン・ジャパン」の武器によって他国の人々が殺
傷されるようになることを意味します。日本が掲げてきた「平和主義」は今、崖
っぷちに立たされています。
防衛装備移転三原則の運用指針の見直しをめぐる自民・公明の与党実務者協議
は、7月に中間報告をとりまとめました。その後、政府への提言をめぐる議論は
「秋以降」始めるとされていましたが、岸田首相による突然の指示を受けて前倒
しされ、8月23日、9月6日と相次いで開催されました。
そこで政府は、実務者による「論点整理」を追認する以下の見解を示しました。
1.今まで禁じていた殺傷武器の輸出を、「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の
5類型に沿う場合は、解釈変更によって「可能」とする。
これは、密室協議における元防衛官僚の「5類型は殺傷武器の輸出を制限して
はいなかった」との検証不可能な「証言」を唯一の根拠とするもので、あまりに
も恣意的です。
2.日英伊で共同開発する次期戦闘機を念頭に、開発相手国や日本からの第三国
輸出を容認する。
共同開発の調整機関を設置する条約への年内の署名と年明けの通常国会での批
准が想定されており、議論の前倒しの根拠とされています。しかし、戦闘機は殺
傷武器そのものです。かつて英伊などが共同開発した戦闘機「ユーロファイター」
がサウジアラビアに輸出され、イエメンへの無差別空爆に使用されました。これ
は国連人権理事会で「戦争犯罪」と非難されています。このように、第三国輸出
によって、日本が戦争犯罪に加担してしまう恐れすらあるのです。
3.F15戦闘機のエンジンのインドネシアへの輸出を念頭に、「自衛隊法上の武器」
に部品は該当しないものとする。
これは、これまで「武器にあたる」として輸出できなかったエンジンを「武器
にあたらない」と解釈し直すということです。しかし、たとえエンジンであって
も、日本製の武器部品が組み込まれた戦闘機によって他国の人々が殺傷される状
況が生まれることを見過すことはできません。
このほかに与党協議では、ウクライナを念頭に「国際法に違反する侵略や武力
の行使または威嚇を受けている国」への武器輸出も議題に上がっています。しか
し、いかなる国がそれに該当するかについては、恣意的な判断や運用がなされる
可能性があります。今、日本が1967年の武器輸出三原則以来掲げてきたはずの
「国際紛争を助長しない」という原則が無きものとされ、日本の武器が国際紛争
を助長し悪化させることが現実になろうとしているのです。
実際、日本はこれまでも、国際法違反として非難されているイエメンへの無差
別空爆を行ってきたアラブ首長国連邦(UAE)に対して、川崎重工製の軍用輸送
機C2を輸出することを企てるなどしてきました。今必要なことは「国際紛争を助
長しない」という原則を明確に再確認し、殺傷武器の輸出禁止を厳格化すること
です。
日本が武器を輸出しないことは、専守防衛や非核三原則と並んで、平和憲法の
下での日本の「国是」でした。1981年、衆参両院は武器輸出三原則の厳格な運用
を政府に求めて、全会一致で国会決議を行っています。その「国是」を、わずか
12人の与党の政治家が密室協議によって覆そうとしています。これは、主権在民
とは相容れない独裁的な手法です。運用ルールを変えるのなら、国会決議を経て
決定すべきです。正当性のない実務者チームを解散させたうえで、閉会中審査を
含めて、国会で徹底した議論を行うべきです。
日本はこれまで、平和主義を掲げる国家として、国際社会において一定の信頼
を得てきました。それは、国際協力の現場においても、日本に対する信頼として
生きてきました。しかし、殺傷武器の輸出を解禁してしまえば、このような「平
和ブランド」は完全に失われます。外務省が進めている武器の無償供与(OSA)
もまた、武器輸出の一環です。これらは、国際協力における日本の信頼を損ない、
現場で活動するNGOなどの人々を危険にさらすものです。
殺傷武器の輸出解禁は、国際紛争のみならず、国内紛争への加担にもつながり
ます。日本が輸出した武器が、受取国の政府軍によって、市民を弾圧し人権を侵
害する道具に使われることも起こりうるのです。
殺傷武器の輸出解禁はまた、軍縮・軍備管理における日本外交の信頼性を損な
うものです。日本がこれまで、核兵器をもたず、軍事大国にならず、武器輸出を
行わないと誓約してきたことは、その軍縮外交を支えてきました。今日、ロシア
によるウクライナへの侵略戦争、米中対立の激化、世界的な軍備拡張の動きが見
られるなか、緊張緩和、予防外交、そして軍縮の必要性は高まっています。日本
は、それらの分野でこそ役割を果たすべきです。
殺傷武器の輸出解禁は、集団的自衛権の行使容認や、敵基地攻撃能力の保有な
ど、積み重ねられてきた解釈改憲の延長線上にあるものです。日本が「戦争をす
る国」となり「他国に殺傷武器を輸出する国」にまでなれば、平和憲法は完全に
空洞化します。
一連の動きの背景には「防衛基盤整備」と称して、国内の軍需産業を強化しよ
うという流れがあります。軍需産業は、破壊と死傷を生み出し、不信と対立を世
界に広げる一方、社会の実質的発展には貢献しません。私たちは、日本が、他国
に尊敬される「平和国家」から「死の商人国家」へと転落することを、許容する
ことはできません。
私たちは、次のことを求めます。
1.武器輸出の運用指針見直しに関する与党実務者チームをただちに解散させ、
閉会中審査を含め、国会で期限を設定せずに徹底した議論を行うこと。
2.殺傷武器の輸出を解禁しないこと。
3.第三国輸出による戦争への加担と不可分である次期戦闘機の日英伊共同開発
そのものを中止すること。
4.武器輸出に多額の税金を投入する軍需産業強化法を廃止すること。
その上で、私たちは、日本が厳格な武器輸出全面禁止の原則を改めて採用し、
現行の防衛装備移転三原則をその方向へ改定することを求めます。そして、国際
協力において「紛争を助長しない」原則を改めて確立し、軍事的な協力ではなく、
軍縮、緊張緩和、難民受け入れ、気候危機、貧困の克服、災害救援など、人々の
命を脅かす問題の解決に非軍事で尽力することを求めます。
2023年10月3日
<呼びかけ人>
青井未帆 学習院大学教授
秋林こずえ 同志社大学教授
雨宮処凛 作家・活動家
池内了 名古屋大学名誉教授
伊藤和子 ヒューマンライツ・ナウ副理事長・弁護士
稲垣知宏 日本パグウォッシュ会議代表
井原聰 日本科学者会議・東北大学名誉教授
今井高樹 日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事
内海愛子 新時代アジアピースアカデミー共同代表
大久保賢一 日本反核法律家協会会長
岡田充 ジャーナリスト
奥本京子 大阪女学院大学教授
川崎哲 ピースボート共同代表
清末愛砂 室蘭工業大学教授
申惠丰 青山学院大学教授
杉原浩司 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表
髙遠菜穂子 ピースセルプロジェクト代表理事
武田隆雄 日本山妙法寺僧侶
中野晃一 上智大学教授
西川純子 獨協大学名誉教授
藤岡惇 基礎経済科学研究所常任理事
堀芳枝 早稲田大学教授
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