みなさま、
お世話になっております。原子力資料情報室の松久保と申します。
現在、核セキュリティー・サミットに向けた安倍総理大臣宛公開書簡への賛同を募集しています。
賛同いただける方はお名前(ローマ字表記も)と肩書き・所属(英語がある場合はそれも)を3月22日までに原子力資料情報室の以下のアドレス宛にお送り下さい。
contact@cnic.jp (原子力資料情報室、ケイト・ストロネル宛)
何卒よろしくお願いいたします。
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2016年3月4日
皆さん、
日本は、六ヶ所核燃料再処理工場の運転を2018年に開始して、年間最高8000kgものプルトニウムを分離することを計画しています。日本は、すでに約4万8000kgのプルトニウムを保有しています。これは、国際原子力機関(IAEA)の一発当たり8kgという計算方法に従えば、6000発分に相当する量です。
さらに、日本政府は、日本が実質的に永遠に使用済み核燃料の再処理にコミットすることを意味する法案を国会に提出しました。法案の目的は、4月から電力小売市場が自由化された後の競争的環境において原子力発電をする電力会社が破産しても使用済み燃料が間違いなく再処理されるようにすることにあると説明されています。この法律は、原子力発電会社に対し、使用済み燃料発生の段階でその再処理費用を再処理に責任を持つ政府管理下の新法人に払い込むことを義務付けようというものです。再処理で出てくるプルトニウムを消費する原子炉がなくなっていてもプルトニウムの分離を確実に進めようというわけです。法律は、六ヶ所再処理工場の運転だけでなく、第2再処理工場の建設をも義務付けてしまいます。
添付の安倍総理大臣宛公開書簡「世界の核セキュリティー強化に貢献するためのプルトニウム分離中止要請」をご覧下さい。私たちは、諸団体や著名人の署名を得て、この書簡を2016年3月25日に発表することを計画しています。3月31日-4月1日にワシントンDCで開催予定の核セキュリティー・サミットを前にしてのタイミングです。
ご署名頂けるなら、お名前(ローマ字表記も)と肩書き・所属(英語がある場合はそれも)を3月22日までに原子力資料情報室の以下のアドレス宛にお送り下さい。
contact@cnic.jp (原子力資料情報室、ケイト・ストロネル宛)
他の団体への転送歓迎致します。
敬具
伴英幸 原子力資料情報室共同代表
藤本泰成 日本原水爆禁止国民会議(原水禁)事務局長
川崎哲 ピースボート共同代表
田巻一彦 ピースデポ代表
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総理大臣 安倍晋三様
2016年3月25日
要請:プルトニウムの分離を止めることによって世界の核セキュリティー強化に貢献すること
下に署名した私たちは、安倍晋三総理大臣と日本政府に対し、六ヶ所使用済み核燃料再処理工場運転の無期限延期を発表することにより、核セキュリティー・サミットに大きな貢献をするよう要請します。
オランダのハーグで2014年に開かれた第三回核セキュリティー・サミットにおいて、安倍晋三総理大臣とバラク・オバマ大統領は以下の通り合意したことを発表しました。
「日本にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の高速炉臨界実験装置(FCA)から,高濃縮ウラン(HEU)及び分離プルトニウムを全量撤去し処分する」
そして両者は、次のように宣言しました。
「この取組は,数百キロの核物質の撤廃を含んでおり、世界規模でHEU及び分離プルトニウムの保有量を最小化するという共通の目標を推し進めるものであり、これはそのような核物質を権限のない者や犯罪者、テロリストらが入手することを防ぐのに役立つ」
FCAの331kgのプルトニウムは、米国サウス・カロライナ州にあるエネルギー省のサバンナリバー・サイトに送られることになっています。FCAを運転する日本原子力機構(JAEA)によると、このプルトニウムのほとんど(236kg)は、元々英国からのもので、93kgが米国、残り(2kg)がフランスからのものです。
サウス・カロライナ州の人々に、警備の不十分なJAEA東海村施設における盗取の可能性から世界を守るためこのプルトニウムを受け入れるようお願いする一方で、日本は2018年に、同じく保安態勢の不確かな六ヶ所再処理工場の運転を開始することを計画しています。日本の使用済み核燃料から最高年間8000kgのプルトニウムを分離するよう設計されているこの工場は、現在、核兵器を保有していない国にある唯一の再処理工場です。
米国国家核安全保障局(NNSA)の世界脅威削減イニシアチブ「撤去プログラム概観」(2014年12月3日)によると、FCAの331kgのプルトニウムは、処分のために米国に送られる物質に関する次のようなプログラム要件を満たしているとのことです。
「その物質は、また、国家安全保障に対する脅威であり、即席核爆発装置で使われる可能性があり、高いテロリスト脅威を有し、盗取または転用に対するセキュリティーを保証する他の合理的な道がないものでなければならない」
NNSAは、この危険性を減らすために努力してきているが脅威がまだ残っていると述べ、世界の民生用分離済みプルトニウム問題に対する注意を喚起し、次のように強調しています。
「世界の民生用プルトニウムは過去20年間で急激に増えて」おり、「プルトニウムの蓄積を止め、その量の削減を開始するために更なる国際取り組みが必要である」
第61回「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議――長崎の声:人間性を心にとどめよ」(2015年11月1-5日 長崎)の後、パグウォッシュ会議評議会は、同じ危惧を持って、次のように宣言しました。
「プルトニウムを分離する再処理は、それがエネルギー目的であれ兵器目的であれ、すべての核兵器国を含め、すべての国で止めるべきである。原子力計画における高濃縮ウランの使用は止めるべきである。国際安全保障に与える影響に鑑み、各国は、核燃料サイクルに関する主権に対する制限について相互に合意しなければならない」
2014年末現在、日本は、4万7800kg(47.8トン)の分離済みプルトニウムを保有しています。日本に1万800kg、英国に2万700kg、フランスに1万6300kgです。「核分裂性物資に関する国際パネル(IPFM)」によると2014年末現在の世界の民生用プルトニウムの量は約27万kg(270トン)です。三つの核保有国(フランス、英国、ロシア)と日本がこの分離済みプルトニウムのほとんどを保有しています。米国は約5万kg(50トン)の兵器用余剰プルトニウムの処分に手を焼いています。核兵器利用可能物質のこれ以上の蓄積は、国際社会にとって、また、日本の隣国にとって懸念事項です。隣国は、なぜ日本が核兵器直接利用可能物質をこんなに大量に分離しているのか訝っています。分離済みプルトニウムはセキュリティー上のリスクです。また、他の国が日本の例に倣えば、核拡散リスクを高めることになります。実際、韓国は、日本と同じプルトニウムを分離する権利を認めるよう米国に要求しています。
安部総理大臣とオバマ大統領は、331kgのプルトニウムを米国に輸送する計画を発表した際、続けて、次のように述べています。
「高濃縮ウラン(HEU)とプルトニウムの最小化のために何ができるかを各国に検討するよう奨励する」
2014年3月のこの時点での計画では、六ヶ所再処理工場の運転が、ちょうどもうすぐ開かれる核セキュリティー・サミットの頃に始まることになっていました。この通りに行けば、非常に皮肉なタイミングになっていたでしょう。この予定は、その後、2018年に延期されました。福島事故の後設立された原子力規制委員会の定めた新しい安全性基準を再処理工場運転事業者が満たせていないからです。日米原子力協力協定を2018年に自動延長させることに米国が同意するよう日本政府が望んでいる状況において、計画延期が実質的に日本のプルトニウム分離の注目度を下げることになることを密かに願っているものがあるかもしれません。協定では、米国型の原子力発電所で使われた使用済み燃料からプルトニウムを分離する権利を米国が日本に認めているからです。
私たちは、日本に対し、ワシントンDCで2016年3月31日-4月1日に開催される核セキュリティー・サミットにおいて、世界の分離済みプルトニウムの存在量を最小限にするという日米両国の目標に向かって進むために、六ヶ所再処理工場運転開始計画の無期限延期を発表するよう要請します。そうすれば、核セキュリティー強化のための世界的な取り組みに対する大いなる貢献となることでしょう。
To: Mr. Shinzo Abe
Prime Minister of Japan
March 25, 2016
Subject: Call to help strengthen worldwide nuclear security by stopping plutonium separation
We, the undersigned, call on Prime Minister Shinzo Abe and the Government of Japan to make a strong contribution to the Nuclear Security Summit by announcing the indefinite postponement of the operation of the Rokkasho spent nuclear fuel reprocessing plant.
At the third Nuclear Security Summit held in The Hague, the Netherlands, in 2014 Prime Minister Shinzo Abe and President Barak Obama announced their agreement to:
“remove and dispose of all highly-enriched uranium (HEU) and separated plutonium from the Fast Critical Assembly (FCA) at the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) in Japan.”
They declared that:
“this effort involves the elimination of hundreds of kilograms of nuclear material, furthering our mutual goal of minimizing stocks of HEU and separated plutonium worldwide, which will help prevent unauthorized actors, criminals, or terrorists from acquiring such materials.”
331 kilograms of plutonium from FCA are to be brought to the U.S. Department of Energy’s Savanna River Site in South Carolina. According to the Japan Atomic Energy Agency (JAEA), which operates the FCA, most of the plutonium (236 kg) is originally from the United Kingdom with 93 kg from the U.S. and the rest (2 kg) from France.
While asking the people of South Carolina to accept this material to protect the world from the possibility of theft from the JAEA’s lightly guarded Tokai-mura site, Japan is planning to begin to operate in 2018 its equally insecure Rokkasho Reprocessing plant, which is designed to separate annually up to 8,000 kilograms of plutonium from Japan’s spent nuclear fuel. The plant is currently the only reprocessing plant in a country that does not already possess nuclear weapons.
According to the US National Nuclear Security Administration’s (NNSA’s) Global Threat Reduction Initiative “Removal Program Overview” (December 3, 2014) the 331 kg of plutonium at FCA satisfies the program’s requirements for material to be sent to the United States for disposition, that:
“it must also pose a threat to national security, be susceptible to use in an improvised nuclear device, present a high risk of terrorist threat and have no other reasonable pathway to assure security from theft or diversion.”
While NNSA has been working hard to reduce this danger, it says threats still remain and calls for attention to the world-wide civilian separated plutonium problem emphasizing that:
“Global civilian plutonium inventories have risen sharply over the last 20 years” and that “Further international engagement is needed to stop plutonium accumulation and start drawing down inventories.”
After the 61st Pugwash Conference on Science and World Affairs, “Nagasaki’s Voice: Remember Your Humanity” (1-5 November 2015, Nagasaki, Japan) the Pugwash Council, sharing the same concern, declared:
“Reprocessing to separate plutonium should end in all countries, including all nuclear weapon countries, whether for energy or weapon purposes…In view of the international security consequences of fuel cycle decisions, countries need to mutually agree to restrictions on their national sovereignty in making nuclear fuel cycle decisions.”
As of the end of 2014 Japan had 47,800 kilograms of separated plutonium: 10,800 kg in Japan, 20,700 kg in UK, and 16,300 kg in France. According to the International Panel on Fissile Material (IPFM) the amount of civilian separated plutonium worldwide as of the end of 2014 is about 270,000 kg. Three nuclear weapons states, France, the U.K., and Russia, and Japan account for most of this separated plutonium. The United States is faced with a difficulty trying to dispose of about 50,000 kg of surplus weapons plutonium. Further accumulation of nuclear-weapon-usable material is a concern for the international society and for Japan’s neighbors, who wonder why Japan is separating such huge quantities of directly weapon-useable material. Separated plutonium is a security risk. If other countries followed Japan’s example, it would increase proliferation risks. In fact, South Korea has been demanding that the United States acknowledge that the ROK has the same right as !
Japan to separate plutonium.
When Prime Minister Abe and President Obama announced the plan to transfer 331kg of plutonium to the U.S., they went on to:
“encourage others to consider what they can do to further HEU and plutonium minimization.”
At that time, in March 2014, operations at the Rokkasho reprocessing plant were to begin just around the time of the coming Nuclear Security Summit. This would have been a very ironic timing. The date subsequently was postponed to 2018, due to the inability of the plant’s operator to satisfy the new safety rules set by the Nuclear Regulation Authority created after the Fukushima accident. Some might be secretly hoping that this might effectively lower the profile of Japan’s plutonium separation program at a time when Japan’s Government hopes that the U.S. will agree to automatically extend, in 2018, their Agreement of Cooperation on the Peaceful Uses of Atomic Energy, which includes the U.S. acceptance of Japan’s right to separate plutonium from spent fuel irradiated in U.S. designed nuclear power plants.
We call on Japan to announce, at the Nuclear Security Summit to be held in Washington DC. March 31-April 1 2016, an indefinite postponement of its plan to start the Rokkasho reprocessing plant in order to further the mutual goal of Japan and the U.S. to minimize global stocks of separated plutonium. That would be a great contribution to the worldwide effort to strengthen nuclear security.
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