分かりやすく、的を射た社説です。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013021902000167.html
原発事故の被災者の生活を支える「原発事故子ども・被災者支援法」が半年以上も眠ったままだ。政府の基本方針が一向に定まらないからである。地域指定などを急ぎ、適切な支援策を示すべきだ。
支援法は、東京電力福島第一原発の事故による放射能被害が長引く中、民主、自民など超党派の議員立法として提出され、昨年六月の通常国会で成立した。全会一致だった。
原発政策を進めてきた国に責任があるとし、被災者の不安を和らげ、生活の安定を助ける支援をするべきだと明記。特に、放射線被ばくの影響を受けやすい子どもや妊婦への配慮を求めている。
意に反して故郷を離れた人びとにとって、頼りになる法律なのだが、実のところ、政府が幹となる基本方針を定めないことには、具体策は発進できない。住宅確保や子の就学、就労…。条文に支援内容は連ねてあるものの、法を生かすには基本方針に基づく予算措置などが必要だからである。
だが、取りまとめ役の復興庁がそれを固め切れない。政権交代があったとはいえ、いかにも遅い。
住宅の無料貸し出しひとつとっても、行政の裁量にまかせている現状では一貫性に欠け、被災者の不安をかえって募らせる。
基本方針では、支援対象地域をまず優先して決めるべきである。後は、おのずと固まってくるのではないか。被災者からは要望がいくつも寄せられている。
「福島県全域」と、一般人の被ばく線量の限度とされる「年間一ミリシーベルト以上の地域」を指定するよう求めている人が多い。東海地方の避難者の会が一月、福島県いわき市の住民約六十人に行ったアンケートでも、約七割が同じ内容の回答だった。
その通りにすれば支援の範囲は福島県外に広がるが、ここは支援法の精神にのっとり、当事者の訴えを反映させるべきだろう。
支援にあたっては東京電力にきちんと費用請求してもらいたい。今年に入り超党派の「子ども・被災者支援議員連盟」もできた。議員立法への“責任”を果たす姿勢と受け止めたい。
復興庁のまとめで、福島県からの県外避難者は、避難指示を出された人を中心に今も約五万七千人いる。さらには関東方面からの自主避難者も多い。
一月末、原発避難の福島県郡山市の男性が、東京で孤独死していた。対応を急いでほしい。