9月11日に行われた参議院特別委員会の集中質疑のダイジェストをお送り
 します。ぜひご一読、ご活用ください。
久しぶりに安倍首相が出席しての質疑となりましたが、鴻池委員長預かり
 となっていた宿題の答えは全く進歩のない落第回答でした。そして、また
 しても首相の「それでいいんだよ」とのヤジが。「それでいい」わけない
 でしょう。
ピックアップした福山議員との応答にあるように、安倍政権は違憲の「後
 方支援」拡大を優先するあまり、逆に個別的自衛権を制限してしまうとい
 う転倒に陥っています。答弁は完全に破綻をきたしています。
関連報道にもありますが、野党の要求を鴻池委員長が受け入れる形で、15
 日13時からの国会での中央公聴会翌日の16日(水)13時~15時30分に、新
 横浜プリンスホテルで地方公聴会が開催されることが決まりました。与党
 はその翌日の17日に委員会採決(早ければその日に緊急上程して本会議採
 決)を狙っていると報じられています。また、野党側も廃止法案の提出も
 含めて、対抗策を練っている模様です。
本当にぎりぎりの局面です。監視と行動を強めていきましょう。
安保法案の議論すれ違い、審議中断も(9月11日、TBS Newsi)
 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2584685.html
首相 安保法案 今国会での成立目指す(9月11日、NHK)
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150911/k10010230231000.html
安保法案:官邸介入、参院が反発 地方公聴会が16日開催(9月11日、毎日)
 http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000m010105000c.html
安保法案:中央公聴会翌日の地方公聴会開催は異例(9月11日、毎日)
 http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000m010066000c.html
野党6党:「安保法案の今国会成立を阻止」の方針で一致(9月11日、毎日)
 http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000m010055000c.html
【政治クリップ】 安保法案、公明党の対応は(9月11日、TBS Newsi)
 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2584676.html
※新横浜プリンスホテル(アクセス)
 http://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/access/
【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
 http://www.sjmk.org/?page_id=349
 ※FAX、電話での要請にお役立てください!
————————————
【復活】
 News & Review 通常版の第10号を配信しました!
 http://www.sjmk.org/?p=412
 2本の論考、
 ◆広がるデモ、迷走する答弁、迫る採決(川崎哲)
 ◆安保法制と文民統制の危機(吉田遼) をお送りします。
 ぜひご一読ください。
————————————
【9月14日(月)参議院安保法制特別委員会 集中質疑】
※首相出席、NHK中継あり
 (「片道方式」という質疑形式のため、時間は目安)
9:00~10:27 佐藤正久(自民)
 10:27~11:22 北澤俊美(民主)
 11:22~11:52 大塚耕平(民主)
 11:52~11:54 大野元裕(民主)
 休憩
 13:00~13:28 大野元裕(民主)
 13:28~14:08 山口那津男(公明)
 14:08~14:41 片山虎之助(維新)
 14:41~15:13 山下芳生(共産)
 15:13~15:31 山田太郎(元気)
 15:31~15:48 和田政宗(次代)
 15:48~16:06 水野賢一(無ク)
 16:06~16:23 福島みずほ(社民)
 16:23~16:41 山本太郎(生活)
 16:41~16:58 荒井広幸(改革)
中継 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
————————————
【9月11日(金)参議院安保法制特別委員会 集中質疑ダイジェスト】
※3時間、首相出席、NHK中継。
ネット中継アーカイブ
 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
 ※カレンダーの日付(11日)をクリックしてご覧ください。
◆鴻池委員長預かりとなっていた8月25日の福山哲郎議員の質問について。
 安倍「自衛隊員の安全確保について、条文は各法律の性格により異なる。
 米軍等行動関連措置法では実施区域の策定、一時休止、中断の規定は盛り
 込まれていないが、後方支援であり安全確保は当然。同法4条の「合理的
 な範囲を超えてはならない」に隊員の安全確保の趣旨も含む。必要な安全
 確保措置は指針で担保する」
◆福山哲郎(民主)
 「全く納得いかない。総理は「(安全確保を含む)全ての方針が法案に忠
 実かつ明確に盛り込まれた」と答弁してきた。答弁修正することのない説
 明だ。米軍等行動関連措置法4条を安全確保と説明した答弁はあるか?」
 中谷「ございません」
 福山「4条は必要最小限度の武力行使という規定だ。総理の答弁は安全確
 保のイメージを振りまき、国民に誤解を与えた」
◆福山哲郎
 「米軍等行動関連措置法4条、13条の安全確保は法的義務か?」
 中谷「目的、限度を定めて安全確保措置を行うとの趣旨だ」
 福山「法的義務か?イエスかノーか?」
 中谷「政府としては義務規定の中に安全確保措置を含むと解釈」
 福山「法的義務なら、実施区域の策定や一時休止、中断規定を入れるか?」
 中谷「規定は置かないが安全確保は義務だ」
 福山「一般的な公務員の安全配慮義務か?」
 中谷「4条でわざわざ規定された」
◆福山哲郎
 「これこそ法的安定性を損なう。義務を果たしていないとして損害賠償請
 求されたら、法定に立つ覚悟はあるのか。総理が国民に誤解を与えている。
 災害で頑張っている隊員にも失礼だ。今の「義務」との答弁を訂正、撤回
 してください」
 中谷「しません」
 福山「総理のメンツの話じゃない。安保法制全体が崩れる。猛省を促す」
◆福山哲郎
 「日本を攻撃するA国の戦闘機に武器などを輸送するB国の民間船舶に対し
 て、自衛隊は停戦検査は可能か?」
 中谷「できます」
 福山「では、A国の戦闘機に補給するB国補給艦に武力攻撃は可能か?」
 中谷「できません」
 福山「延々と攻撃が続きますよ」
 中谷「B国は後方支援を行っているのみで、武力攻撃を構成しなければで
 きない」
 福山「個別的自衛権なのにそれでいいのか」
◆福山哲郎
 「平成11年4月20日に当時の高村大臣は「できる」と答弁した。答弁が変
 わった理由は?」
 中谷「矛盾はない。B国の行為が我が国への急迫不正の侵害と認められれ
 ばできる」
 福山「武力攻撃を構成するかをどう判断するのか?」
 中谷「補給や輸送などの後方支援は武力攻撃に当たらない。A国とともに
 戦闘参加の場合には可能だ」
◆福山哲郎
 「B国を攻撃せず国民を放っておくのか」
 安倍「B国への先制攻撃はあってはならない」
 中谷「急迫不正の侵害と認められればできる」
 福山「政府案が後方支援で弾薬提供や給油ができるので、帳尻合わせのた
 めにできなくなった。我が国の安全保障を犠牲にしてまで、後方支援を拡
 大した」
◆福山哲郎
 「あなたは大森元法制局長官の部下だった。参考人質疑で大森元長官が述
 べた「発進準備中の航空機への給油は武力行使との一体化の典型例」との
 議論は当時あったか?」
 横畠「憲法上の適否について慎重な検討を要する問題よいう認識に変わり
 ございません」と答弁している。まさかそのような答弁をするとは考えら
 れない」
 福山「考えられない。本当に魂を売り過ぎだ」
◆福山哲郎
 「官僚は安倍政権に雇われているのでなく国民に雇われている。事実をね
 じ曲げて法を通すなど考えられない。議論をしても世論の理解は深まらな
 い。今までの法的安定性を全部崩している。申し訳ないが総理の負けだ。
 審議未了廃案にすべきだ。こんなに答弁をとっちらかして強行採決などな
 い」
 安倍「間違っている。今までと全く考えを変えるものではない。いつかは
 決めるべきときに決めてほしい」
◆仁比聡平(共産)
 「河野統幕長の「オスプレイの不安全性を煽るのは一部の活動家だけ」と
 の発言はとんでもない。「どこに落ちてもおかしくない。米軍は約束を守
 らない」との大反対の声が広がり続けている。中谷大臣は「直接内容は尋
 ねなかった」と。なぜ確認しないのか?」
 中谷「聴取はしたが内容をお伝えするのは相手があり差し控える。不適切
 なものはなかった」
◆仁比聡平
 「来年度予算に佐賀空港へのオスプレイ配備予算は未計上。地元了解が得
 られていないとの認識は?」
 安倍「現時点でご了解は得られていないと認識」
 仁比「統幕長は訪米時にオスプレイの整備拠点「リージョナルデポ」につ
 いて、「F35(戦闘機)のリージョナル・デポが日本に決まり感謝してい
 る。オスプレイについても日本に置いていただけると更なる運用性向上に
 なる」と要請した。記者会見では「佐賀空港での受け入れが前提か」と問
 われ「まだ決定していないが検討対象」と述べている」
◆仁比聡平
 「米国のF35のリージョナルデポの構想は?」
 中谷「米国は昨年12月、F35のアジア太平洋の整備拠点を日豪に設置する
 と決定した。機体は三菱重工愛知県小牧南工場、エンジンは東京都瑞穂工
 場を予定。このリージョナルデポを平成30年に設置するため、予算計上を
 含めて調整中だ」
◆仁比聡平
 「小牧基地がアジア太平洋地域の整備拠点となれば韓国軍機、豪州軍機も
 飛来、整備することになる。県民に知らされず自治体も当惑している。い
 かなる条約上の根拠に基づくのか?」
 中谷「防衛省設置法4条13号、1号に基づく。日本での整備対象は現時点で
 空自F35のみだ。他国軍機の整備は今後検討する」
◆仁比聡平
 「米国が構想する外国軍機の飛来、整備により基地の性格は一変する。勝
 手にやるのは認められない。統幕長はオスプレイの整備拠点も検討対象だ
 と。どんな見通しか?」
 中谷「防衛省が目指すのはオスプレイの日米共通整備基盤だ。木更津で整
 備を予定している。リージョナルデポの計画はない」
 仁比「木更津とは全く概念が違う。統幕長が定期整備と混同するのはあり
 得ない。総理の決断で統幕長を国会に呼んでほしい」
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
 〔opinion5666:150912〕













