【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第36号】 (2015年9月15日)

9月14日に行われた参議院特別委員会の集中質疑のダイジェストをお送り
します。ぜひご一読、ご活用ください。

今回の質疑では、今まで十分に議論されてこなかったPKOに関する問題が
焦点になりました。PKO任務の変化に政府側が全く対応していなかった点
が追及され、結局、中谷大臣はまたしても答弁撤回と謝罪に追い込まれま
した。

審議すればするほど、法案の不備が次々と明らかになっています。そして、
今国会成立に反対する世論はどの世論調査でも圧倒的です。こうした状態
で強行採決に突き進むとは、もはや「独裁」のそしりを免れないでしょう。

本日、明日と中央公聴会、地方公聴会が続きます。採決をめぐる与野党の
駆け引きも本格化しています。本当に一日一日が大切です。一人ひとりが
できることをやりましょう。

安保法案:週内採決へ攻防大詰め 野党は徹底抗戦の構え(9月14日、毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150915k0000m010091000c.html

【動画】安保法案17日夜にも成立?攻防は最終局面(9月14日、TBS Newsi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2586686.html

安保法案 今国会で採決の考え 重ねて示す(9月14日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150914/k10010234321000.html

安保法案:野党、抵抗戦術を検討 「世論の理解」見極め(9月15日、毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150915k0000m010131000c.html

野党抵抗「あらゆる手段」で 安保法案近づく採決(9月13日、日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H14_S5A910C1PE8000/

【動画】国会前:安保法案反対 市民団体が大規模デモ(9月14日、毎日)
http://mainichi.jp/movie/movie.html?id=897634767002

【動画】「廃案!廃案!」 採決迫る安保法案、国会前で反対デモ
(9月15日、朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH9G5GFGH9GUTIL030.html

【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
http://www.sjmk.org/?page_id=349
※FAX、電話での要請にお役立てください!

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【復活】
News & Review 通常版の第10号を配信しました!
http://www.sjmk.org/?p=412
2本の論考、
◆広がるデモ、迷走する答弁、迫る採決(川崎哲)
◆安保法制と文民統制の危機(吉田遼) をお送りします。
ぜひご一読ください。

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【9月15日(火)参議院安保法制特別委員会 中央公聴会】

※約4時間15分。NHK中継なし。

<意見陳述(各15分)>
13:00~13:15 坂元一哉(大阪大学大学院教授)
13:15~13:30 濱田邦夫(元最高裁判事)
13:30~13:45 白石隆(政策研究大学院学長)
13:45~14:00 小林節(慶応大学名誉教授)
14:00~14:15 松井芳郎(名古屋大学名誉教授)
14:15~14:30 奥田愛基(SEALDs、公募人)

<質疑(各15分)>
14:30~14:45 上月良祐(自民)
14:45~15:00 蓮舫(民主)
15:00~15:15 平木大作(公明)
15:15~15:30 川田龍平(維新)
15:30~15:45 井上哲士(共産)
15:45~16:00 山田太郎(元気)
16:00~16:15 和田政宗(次代)
16:15~16:30 水野賢一(無ク)
16:30~16:45 又市征治(社民)
16:45~17:00 主濱了(生活)
17:00~17:15 荒井広幸(改革)

中継 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

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【9月16日(水)参議院安保法制特別委員会 地方公聴会】

※新横浜プリンスホテル(アクセス)
http://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/access/

<意見陳述(各10分)>
13:00~13:10 伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将)
13:10~13:20 広渡清吾(専修大学教授、元東大副学長、前日本学術会議会長)
13:20~13:30 渡部恒雄(東京財団上席研究員)
13:30~13:40 水上貴央(弁護士)

<質疑(各10分)>
13:40~13:50 堀井巌(自民)
13:50~14:00 那谷屋正義(民主)
14:00~14:10 平木大作(公明)
14:10~14:20 清水貴之(維新)
14:20~14:30 井上哲士(共産)
14:30~14:40 山田太郎(元気)
14:40~14:50 和田政宗(次代)
14:50~15:00 水野賢一(無ク)
15:00~15:10 福島みずほ(社民)
15:10~15:20 山本太郎(生活)
15:20~15:30 荒井広幸(改革)

※独立メディアで中継予定。

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【9月14日(月)参議院安保法制特別委員会 集中質疑ダイジェスト】

※首相出席、NHK中継あり(「片道方式」という質疑形式)

ネット中継アーカイブ
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※カレンダーの日付(14日)をクリックしてご覧ください。

◆佐藤正久(自民)
「東日本大震災の前の自衛隊による訓練実施が実際の救援につながった」
中谷「平成20年10月31日から東北方面隊主催の約1万8千人参加の大規模な
「みちのくアラート」を実施した」
佐藤「イラク派遣では一般法が存在しなかったため、特措法の成立前に調
査できなかった。一般法があれば早い段階から安全対策が可能だ」「政府
の案に批判、反対しているだけでは国民は守れない」
安倍「平和は唱えるだけでは実現しない」

◆北澤俊美(民主)
「安保法制は日本とアメリカによる中国封じ込めになり、軍拡のジレンマ
になる。憲法違反、立法事実の崩壊、法理と政策の乖離。法制上の無理を
覆い隠すために、法制上は可能なのに運用で禁止しようとすることが余り
に多い。何の歯止めにもならない。自衛隊の運用は大混乱しかねない」
「法案を廃案にして、改めて十把一絡げでなく出し直すか、衆院を解散し
て国民に信を問うべきだ」

◆大塚耕平(民主)
「国際法の概念の一部を切り出し使うことを担保する国際法は何か?」
岸田「各国の事情で限定するのは当然だ」
大塚「国連に国際法の定義や解釈を行う部署はあるか?」
岸田「国連事務局の中に法務局があるが、有権的解釈の権利はない。国際
司法裁判所(ICJ)は主要な司法機関として大きな影響力がある」
大塚「今回の判断をICJに諮ったか」
岸田「ICJは具体的事例を持ち込むものだ」
大塚「法務局には聞いたか?」
岸田「あえて聞く必要のない課題。聞いていない」

◆大野元裕(民主)
「PKO法改正でPKO5原則は厳守、担保されているのか?」
中谷「されている」
大野「司令官派遣については?」
中谷「PKO法第27条で仕組みを新設した。慎重に検討して派遣する。憲法
との関係で問題は生じない」
大野「司令官について5原則はしっかり担保されるのか?」
中谷「5原則は部隊が撤収できるもの。司令官は派遣後、国連指揮下に入る」

◆大野元裕
「PKO5原則の「中立性」は司令官にかかるのか?」
中谷「かかると思う。PKO部隊も中立だ」
大野「国連ブラヒミ報告書は、PKO部隊の「普遍性」は任務の公平性を意
味し、中立性とは異なるとしている。国連指揮下の要員、司令官は「各国
からの指示で行動してはならない」ともある。法律のどこに普遍性に関す
る条文があるか?」
中谷「普遍性と中立性が重なるものしかやらない」
大野「どの条文にあるのか?」

◆大野元裕
「普遍性と中立性の関係について議論して審査したか?」
横畠長官「中立性と別個の普遍性について、議論して通したわけではない」
「長官として認識していなかった。第2部の担当参事官に確認したが「審
査していない」と」
大野「このままでは自衛官が犯罪者になる法律ではないか。取り下げるべ
きではないか?」
中谷「5原則に基づき個別に判断している」

◆大野元裕
「自衛官が犯罪者になりかねない。現行PKO法でなく改正法には治安維持
が含まれる。予防的に武力を行使してその任務を守ると。中谷大臣は元自
衛官として今こそ体を張って自衛官を守るべきではないか?」
中谷「この法案が成立したら十分内部で検討、検証していく」
(「国会なめてるのか」とヤジ。中断)
中谷「先ほどの発言は誤解を招くもので撤回したい。今後、国内法に基づ
き精査する」
大野「法案を改めて精査するのなら、撤回してください」
中谷「法案は精査しているのでこれで派遣する」
大野「このままでは自衛官を犯罪者にするかもしれない。国連職員を含め
て参考人質疑や集中審議を行ってほしい」

◆山下芳生(共産)
「新ガイドラインは地球規模で平時から有事に至るあらゆる段階で日米共
同対処するもの。現行の安保条約は日本の施政下にあるいずれか一方に対
する武力攻撃に対処するもの。新ガイドラインは安保のどこに根拠がある
のか?」
安倍「条約上の義務を果たすものではない。我が国の存立を守るため行う」
山下「安保では説明できない。事実上の安保改定だ。統幕文書は8月に防
衛協力小委員会(SDC)から指示が発出、日米同盟調整メカニズム(ACM)
が常設され運用開始と。発出され、運用は始まったか?」
中谷「まだ動いておらず検討中だ」
山下「いつ動くのか?」
中谷「可能な限り早急に」

◆山下芳生
「軍軍間の調整所の運用要領はできたか?」
中谷「検討中だ」
山下「どこにどんなイメージで何を設置するのか?」
中谷「日米間で速やかに検討していく」
山下「横田に置くのか?」
中谷「検討中だ」
山下「自衛艦隊司令部、航空総隊司令部、中央即応集団司令部はどこに?」
中谷「それぞれ横須賀、横田、座間だ」
山下「既に司令部は米軍基地内に置かれ一体化している」

◆山下芳生
「日米共同作戦計画について説明を」
中谷「日米共同計画の策定、更新にあたり関係省庁の協力を得る」
山下「どういうことを決めるのか?」
中谷「我が国の平和と安全に関する緊急事態への共同対処だ」
山下「内部文書には「運用所要ならびに方策をあらかじめ特定」とある。
米軍の軍事行動への「自動参戦装置」ではないか」

◆山下芳生
「8月末から行われた米国での「ドーンブリッツ15」演習とは?」
中谷「島しょ防衛における統合運用能力の維持を図るものだ。3自衛隊計
約1000名。陸自西部方面隊320名、中央即応集団30名、AH64アパッチヘリ、
CH47大型輸送ヘリ、護衛艦ひゅうが、あしがら、輸送艦くにさき、米第3
艦隊、第1海兵機動展開部隊などが参加した」

◆山下芳生
「内部文書には、2012年7月に統合幕僚監部が計画した沖縄米軍基地の日
米共同使用が書かれている。検討しているのか?」
中谷「承知していない」
山下「河野統幕長は9月3日の会見で「キャンプシュワブ、ハンセンで共同
使用を検討」と。
中谷「「報道あると承知」を「文書あると承知」と言い間違えた」
山下「9月3日の会見を読んだか?」
中谷「今、手元で確認した」

◆水野賢一(無ク)
「在外邦人輸送で予防的派遣は可能か?」
中谷「準備行為として可能だ」
水野「間違って民間人を誤射して死亡させた場合は?」
中谷「適正使用は違法性が阻却される。誤想防衛は過失致死罪。国外犯処
罰規定は設けておらず、刑法は適用されない」

◆水野賢一
「満州事変は石原莞爾らが引き起こしたか?」
安倍「個々の事象についての評価は差し控えたい」
水野「真珠湾攻撃は山本五十六らがやったとも言えないのか?」
安倍「いちいち事象の評価は差し控えたい」
水野「事実としての認識も言えないのか?」
安倍「政府として歴史的出来事一つひとつを確定的には言えない」

◆福島みずほ(社民)
「他国領域で武力行使できる「例外」の要件は?」
安倍「新3要件に当てはまることだ」
福島「全くわからない。要件は?」
安倍「3番目の「必要最小限」だ」
福島「新3要件は例外要件にはならない」
安倍「例外は受動的かつ限定的で範囲に留まる」
福島「他国での武力行使は違憲だ。例外がホルムズ海峡だけなら、こんな
法案はいらない」

◆福島みずほ
「イラク戦争を支持し、特措法を作った時、どういう情報で行ったか?」
安倍「フセイン政権は累次にわたり国連決議に従わず、大量破壊兵器を保
有しない証明をしなかった」
福島「オランダは国際法違反だと検証した。今の時点で正しい戦争か?」
安倍「妥当性は変わらない」
福島「「正しい戦争」だと言う。ダメだ。今後も間違った戦争にいくらで
も加担していく。こんな法案は許せない」

◆山本太郎(生活)
「総理はジュネーブ諸条約をはじめ国際人道法違反には支援・協力しない
と答弁された。広島・長崎への原爆、東京大空襲などは国際法違反の戦争
犯罪ですね?」
安倍「支援・協力はしない」
山本「答えてください」
安倍「原爆投下は人道上非道な行為だ。国際法の視点について言えば、既
にサンフランシスコ講和条約を受諾している」

◆山本太郎
「この(パネルの)方をご存知か。島袋文子おばあだ。3月に安倍総理に
手紙を送ったという。読んだか?」
安倍「拝見した。地上戦が展開され悲惨だったと。苦難の歴史を忘れては
ならない」
山本「いつ読んだのか?」
安倍「いつかは正確ではない」
山本「防衛省に留め置かれていたという。今日読んだのではないか」
山本「ここで総理に手渡したい」
鴻池委員長「ダメだ。コピーが渡っている」
山本「総理、手紙を代読してくれないか?」
鴻池「手元に配っている。委員長として拒否します」

◆山本太郎
「島袋文子おばあは「全基地撤去せよと言いたい」と。多数の県民の意志
を無視して強行突破か?」
安倍「1ヶ月中断した。危険性除去では一致」
山本「マイケル・アマコスト氏は「辺野古の必要性はない」と。アーミテ
ージ氏は「対策あれば耳傾ける」と。言うことを聞かなくていいのか。利
権がまた違うのかな」

◆山本太郎
「北マリアナ州知事は代替地に言及している。グアムやテニアンに日本の
費用で建設を提案しないのか?」
安倍「「利権」との言葉は取り消すべきだ。名誉を傷つける言葉は控えて
ほしい」
山本「おじいさまがやった1960年からの日米地位協定は主権を売り飛ばし
た売国条約だ。変える気はないのか?」
鴻池「私のような問題発言をしてきた者でも「売国」は問題。理事会で議
事録の精査を」
山本「「売国条約」は訂正する。変えることを求めないのか?」
安倍「一つひとつにコメントしない」
山本「耳を傾けるべきだ。廃案しかない」

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5669:150915〕