【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第37号】 (2015年9月15日)

9月15日に行われた参議院特別委員会の中央公聴会のダイジェストをお送
りします。ぜひご一読、ご活用ください。野党側公述人のそれぞれの持ち
味を生かした意見には説得力がありました。

報道された通り、政府与党は野党の反対を押し切って、鴻池委員長の職権
による締め括り総括質疑の本日16日(水)18時~20時までの開催を決定し
ました。終了後に強行採決に持ち込むと見られます。本日13時~15時30分
まで新横浜プリンスホテルで行われる地方公聴会終了後に国会に引き返し
て、そのまま強行採決までやってしまおうというのです。

中央公聴会も地方公聴会もまさに形だけ。指摘された法案の不備を何ら修
正することもなく、ただひたすら成立に向け突き進むことは到底許されません。

横浜へ、国会へ。立憲主義と民主主義と平和主義を破壊する権力の暴走に
はっきりと「NO!」の声をぶつけましょう。

参院特別委 あす安保法案の締めくくり総括質疑(9月15日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150915/k10010236011000.html

【動画】安保法案で中央公聴会、与野党推薦の公述人が意見
(9月15日、TBS Newsi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2588786.html

安保法案 中央公聴会で公述人が賛否の意見(9月15日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150915/k10010235751000.html

【動画】安保法案 「SEALDs」奥田愛基さんらが中央公聴会に(9月15日、FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00303116.html

【安保法案】SEALDs・奥田愛基さん中央公聴会に
「路上に出た人々が社会の空気を変えた」(全文)(The Huffington Post)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/15/sealds-okuda-aki-speech_n_8138032.html

【意見陳述全文掲載】
「今日は、国会前の巨大な群像の中の一人として、ここにきています」
SEALDs奥田愛基さんが参院で堂々意見陳述「安保法案」に反対を表明!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/264668

【動画】[9/16強行採決]9/15奥田愛基SEALDs公聴会(全16分)
https://www.youtube.com/watch?v=5dsMhkj6eHk

【写真特集】安保関連法案:国会前で連日の「強行採決絶対反対」デモ
(9月15日、毎日)
http://mainichi.jp/graph/2015/09/16/20150916k0000m040130000c/018.html

「強行採決、絶対反対」 安保法案に連日、抗議の声(9月16日、朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASH9H6CY3H9HUTIL05Y.html

【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
http://www.sjmk.org/?page_id=349
※FAX、電話での要請にお役立てください!

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【9月16日(水)参議院安保法制特別委員会 地方公聴会】

※新横浜プリンスホテル(アクセス)
http://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/access/

<意見陳述(各10分)>
13:00~13:10 伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将)
13:10~13:20 広渡清吾(専修大学教授、元東大副学長、前日本学術会議会長)
13:20~13:30 渡部恒雄(東京財団上席研究員)
13:30~13:40 水上貴央(弁護士)

<質疑(各10分)>
13:40~13:50 堀井巌(自民)
13:50~14:00 那谷屋正義(民主)
14:00~14:10 平木大作(公明)
14:10~14:20 清水貴之(維新)
14:20~14:30 井上哲士(共産)
14:30~14:40 山田太郎(元気)
14:40~14:50 和田政宗(次代)
14:50~15:00 水野賢一(無ク)
15:00~15:10 福島みずほ(社民)
15:10~15:20 山本太郎(生活)
15:20~15:30 荒井広幸(改革)

◆インターネット中継

IWJチャンネル4 http://bit.ly/1gNf5hT

OurPlanet-TV http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1978

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【9月15日(火)参議院安保法制特別委員会 中央公聴会ダイジェスト】

ネット中継アーカイブ
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※カレンダーの日付(15日)をクリックしてご覧ください。

◆坂元一哉(大阪大学大学院教授)
「安保法案は我が国の安全のための抑止力を格段に強化し、世界平和によ
り良く貢献する考えられた法案だ。安保環境が厳しさを増す中、どうして
も必要だ。国家国民を守る観点だけでなく、憲法を守る観点からも必要。
国家国民を守れないと憲法も守れない。憲法を守ることなくしっかりした
安保体制は作れない」

◆坂元一哉
「中国の軍事力強化は問題だ。海を隔てた核保有の隣国が「この島は俺の
ものだから返せ」と言っている容易ならざる状況だ。この法案で中国の軍
事力に脅かされず、隣国と互恵的に暮らせる」「ある法律が憲法違反か判
断するのは最高裁の仕事だ。政府が違憲判決は下されないと判断したのは
当然だ」

◆坂元一哉
「自衛のための措置は他衛を含むからといって「一見極めて明白に違憲無
効」との判断は考えにくい。憲法前文に「自国のことのみに専念して他国
を無視してはならない」などとあり、私は他衛の武力行使も国際的に合法
で必要最小限なら可能と考えたが、法案はさらに違憲可能性は低い」

◆坂元一哉
「国民は戦前の反省から海外派兵したくないと思っている。政府は集団的
自衛権の行使を限定的に認めても、海外派兵の一般的禁止を維持している。
総理も「北朝鮮や韓国で集団的自衛権を行使して戦闘参加はできない」と
答弁した。参議院での全会一致の海外出動禁止決議を踏まえている」

◆濱田邦夫(元最高裁判事)
「法案は憲法9条の範囲内ではない。最高裁が法律を違憲と判断する事例
が少ないのは、「今はなき」と言うと大げさだが、内閣法制局が政府提案
の合憲性を審査してきたからだ。伝統ある法制局による合憲性のチェック
がほとんどなされておらず、将来の司法判断に任されてしまう」

◆濱田邦夫
「現役裁判官に影響を及ぼすことはOBとしてやるべきでないと思うが、最
近、危機感を感じて発言している。日本の民主主義の基盤が壊される。言
論、報道、学問の自由が脅かされる。大学人がこれだけ立ち上がっている
のは、日本の知的活動への重大な脅威を感じているから」

◆濱田邦夫
「砂川判決と昭和47年見解は、山口繁元最高裁長官が明解に述べた通り、
自衛隊が問われた判決ではないのに、それを理由とするのは非常に問題だ。
防衛庁も当時「自衛行動の範囲について」との見解を出していた。外国に
よる武力行使の対象が我が国であるのは当然だ。強引に外国による武力行
使が日本に対するもの以外も含まれるとするのは、字義を操る「法匪」の
悪しき例だ」

◆濱田邦夫
「近隣諸国の日本叩きは国内事情の側面が強い。それに乗っかった海外派
兵や軍備強化は、近隣国の口実となり、挑発や軍備強化の悪循環に陥る。
70年で培った平和国家としての技術・経済力、調整能力を守ることがよほ
ど重要だ。海外の人道平和目的で活動している人のみならず一般企業にも
マイナスだ。得になることはない」

◆濱田邦夫
「政治家には2種類ある。目の前の利益のみを重視する「ポリティシャン」
と国家百年の計、孫子の代まで考える「ステーツマン」だ。ステーツマン
としての判断をしてほしい。国際的には論理的整合性が問題にされ得る。
政治家は知性、品性、理性の尊重を。少なくともそれがあるような見せか
けだけでもやってほしい。悔いを末代に残すことのないように」

◆白石隆(政策研究大学院学長)
「8月上旬に国際政治・国際法学者で「安保法制を考える有志の会」を作
り要望書を提出した。憲法問題に加え以下を提起した。1)抑止力をどう
考えるか 2)日米安保体制における役割分担 3)台頭する中国への対応
4)使える核を持ちつつある北朝鮮の脅威への対応 5)シーレーンの安全
確保 6)アジア、世界の平和と安定 だ。憲法論、法律論だけで議論する
と肝心の安全保障の議論がお留守になる」

◆白石隆
「なぜ安保法制の整備か? 1)力のバランスの変化。中国の経済拡大。
2018年には中国経済は日韓アセアンを足したよりも大きくなる 2)安保空
間の拡大と軍事技術の革命。サイバー化と無人化が進み、ネットワーク中
心の統合システムが重要に。相互運用性が向上し、個別的、集団的自衛権
の区別は無意味になっている。3)感染症、麻薬など非伝統的な安保の拡
大。破綻国家はもはや無縁でない 」

◆小林節(慶応大学名誉教授)
「当たり前の話が国会の多数派により無視され続けている。法案が通ると
海外派兵ができ、不戦から戦争状態に。「戦争法案」以外の何物でもない。
それに目くじらを立てて怒るのは気持ち悪い。「一見明白に違憲無効」な
法律が多数決で強行されつつある。合憲違憲論争は飽きた。これ以上語ら
ないというスタンスになりつつある」

◆小林節
「総理や国会が明々白々に違憲なものを平然と押し通す。憲法は主権者国
民が権力担当者に課した制約。権力担当者は「雇われマダム」に過ぎない。
政治家が憲法を無視するのは独裁政治の始まり。北朝鮮と同じだ。「憲法
論だけ語るな、安保を忘れるな」というが、憲法を吹っ飛ばしている。裏
口入学よりひどく、閉じられた門を蹴破り入るものだ」

◆小林節
「アメリカは戦費破産国で肩代りを日本に求めている。なぜ危険を犯して
破産国家を助けるのか。経済界の賛成は軍事の下請けで儲かるからと邪推
してしまう。今後の選挙で国民が賢い判断をする。私はそれまで鳴き止ま
ないつもりだ。日本は不戦の大国、平和の調整役に」

◆松井芳郎(名古屋大学名誉教授)
「集団的自衛権の考え方の原型の一つが、海外利益を守るための戦争を主
張した英国だ。また、中南米の権益を主張した米国のモンロー主義もそう
だ。実は日本も満州国という教科書的な傀儡国家を作り同様の主張をした。
集団的自衛権は帝国主義的権益を守るために考え出された概念だ。今日本
がその方向に行くのは危険だ」

◆松井芳郎
「国連憲章51条の自衛権は基本的権利の印象を与えがちだがそうではない。
慣習法上の権利を確認しただけだ。海峡の機雷封鎖は武力の威嚇だが武力
攻撃ではなく、自衛権は行使できない。また、邦人が乗る米艦の例が語ら
れるが、軍艦は合法的軍事目標であり民間人の退避は考えられない」

◆松井芳郎
「正規の国連軍はできていない。多国籍軍への協力はしばしば「国連協力」
と見られるが、安保理の統制は及ばず、個々の参加国への協力に過ぎない。
「後方支援」の場所的区別は意味がなく、軍事目標かどうかが問題だ。補
給は軍事目標とみなされ、反撃される」

◆松井芳郎
「安保条約は米国が日本の領域外で攻撃を受けても日本は支援できない。
法案によりそれが可能になる。また、一方的に守ってもらう代償として基
地を提供していると説明してきたが、集団的自衛権を認めるとそれが成立
しなくなる。事実上の安保改定を国会承認なく行うものだ」

◆奥田愛基(SEALDs)
「先ほどから寝ている方が多いが聞いてほしい。僕も眠れていないので帰
って寝る。SEALDsは10人ほどから始まった。10万人を超える人が国会前に
集まった。全国2千ヶ所以上で数千回の抗議、累計130万人以上が路上で抗
議した。その他にも集会や行動が。全国で人々が立ち上がっている」

◆奥田愛基
「政治的無関心と言われた若い世代が、いわゆる動員的発想でなく主体的
に個人として立ち上がった。「騒ぎたいだけ」「若気の至り」「一般市民
のくせに」などと批判されたが、なぜ声をあげるかと言えば「不断の努力」
なくして憲法や民主主義は機能しないと自覚しているからだ」

◆奥田愛基
「私たちこそこの国の主権者であり、声をあげるのは当たり前。今やデモ
は珍しいものではないと空気を変えた。一人ひとりが思考し、何が正しい
かを判断し、声をあげることこそ民主主義。先日、予科練で特攻隊通信兵
だった方に会った。今の私たちの年齢で戦争を経験された。安保法制への
強い危惧を受け止めたい」

◆奥田愛基
「不安や反対の中での採決は戦争体験者の思いを軽んじ、70年の不戦の誓
いを裏切るものだ。先の大戦で犠牲になった人々の思いをつなげたい。そ
うした思いを持つ国会前の巨大な群像の一人として国会に来ている。政府
が説明した結果、支持率は落ち反対世論が盛り上がった。総選挙はアベノ
ミクスが争点ではなかった。国会答弁がきちんとできない法案を作るなど
聞かされてはいない」

◆奥田愛基
「政府は法的安定性の説明を途中で放棄してしまったようだ。翌日に前日
と全く違う答弁を行い、何度も速記が止まる。どうやって国民は納得すれ
ばいいのか。国民的世論はSEALDsが作り出したのではない。この状況を作
っているのは紛れもなく与党の皆さんだ。答弁や首相の理解しがたい例え
話を見て声をあげている」

◆奥田愛基
「金沢の主婦が文字起こしした国会答弁が1万人にシェアされた。なぜな
ら不安だったからだ。なぜ夏までに通さなければならないのか、なぜ11本
の法案を2本にしたのか、全く納得いかない。9月末まで会期を延ばしても
国民の理解は得られなかった。結論は出た。今国会の可決は無理だ。廃案
にするしかない」

◆奥田愛基
「相対的貧困が5人に1人の超格差社会。経済成長も期待できない。政治に
絶望してしまうような議会運営はやめてほしい。政治生命を賭けるという
が、国民一人ひとりの生命と比べてはいけない。「義を見てせざるは勇な
きなり」。冷静に把握して今国会での成立を断念することはできないのか。
自由と民主主義、この国の未来のために考え直してほしい」

◆奥田愛基
「参考にしてほしいことがある。強行採決されれば各地で声が上がり、連
日国会前は溢れかえる。次の選挙にも影響を与える。野党は本当にできる
ことを全てやったのか。新しい時代は始まっている。もう止まらない。声
をあげるのは日常の一部になった。政治のことを考えるのはこの国に生き
る個人の不断の努力だと、困難な4ヶ月で実感できたのが私の希望だ」

◆奥田愛基
「どうか政治家も個人でいてほしい。たった一人の個で。一人ひとりの正
しさに向かい勇気を出して判断をしてほしい。政治家とはどうあるべきか
考え、民の声を聞いてほしい。勇気を振り絞り、あなたにしかできない尊
い行動を。日本国憲法はそれを保障し、私はそれを支持する。困難な時代
にこそ希望がある。私は自由で民主的な社会を望み安保法案に反対します」

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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