弊館では「絵画のなかにいる天使をさがしながら」を開催いたします。
つきましてはご紹介くださいますようよろしくお願いいたします。
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絵画のなかにいる天使をさがしながら
クラウス・ファイファールの描く天使は、中空に張られたロープのうえに、
慎重に左足を下ろそうとする姿で描かれています。飛ぶことを禁止されたかの
ように、羽根と手首とが結びつけられているためですが、その眼は遥か遠くを
見通すことはできず、自身の足元に向けられています。
美術が宗教を離れて以降、天使を描く意味も変化しました。もっとも有名な
のはパウル・クレーの描いた天使ですが、それはヴァルター・ベンヤミンに
「歴史哲学テーゼ」を書かせ、ヴィム・ヴェンダースに映画「ベルリン・天使
の詩」をつくらせることになります。ファイファールの天使も、おそらくは、
クレーの天使の系譜にあるのでしょう。
しかし、それぞれの天使が伝えるものは異なります。戦争に向かう破局的状況
のなかで無力さを噛みしめるベンヤミンの天使、冷戦時代のおわるときに人間
社会へと降りてくるヴェンダースの天使、そして、新たな秩序のなかで未来を
見通せずにとまどっているファイファールの天使。このファイファールの天使
は1989年以降(ポスト冷戦時代)の世界を生きる私たちの姿とつながっている
ようです。競争原理がむき出しになった世界で、そこから一歩引き下がって、
自分の居場所を確かめようとする姿にです。
本展の出品作品からは、共通して、そのような天使の姿を感じることができ
るように思われます。直接には描かれないとしても、絵画のうちにそうした天
使を住まわせているように感じられるのです。それらは、私たちを超越するよ
うにあるのでも、声高に主張を述べるのでもありません。先の見通せない時代
を生きる私たちに寄り添うように、慎ましくたたずんでいるのです。
この展覧会で、絵画のなかにいる天使を探しながら、私たちの生きる時代に
ついてもう一度考えてみませんか。
藤井匡(東京造形大学教授)
Klaus Pfeiffer Roberto Matta 深尾 庄介 鬼頭 曄 白根 光夫 Jan Voss
岸田 淳平 坂口 登 堀 浩哉 吉永 裕 菊地 敏直 Christian Rothmann
中津川 浩章 Gastón de Gyves Klaus Killisch
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会 期:2025年4月5日(土) ー6月29日(日)
開館時間:11時~18時30分(入館18時まで)
開 館 日:木・金・土・日曜日
休 館 日:月・火・水曜日
入 場 料:一般 500円 / 大高生 400円 / 小中学生 300円
会 場:東京アートミュージアム
主 催:東京アートミュージアム
企 画:一般財団法人プラザ財団
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Klaus Pfeiffer
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白根 光夫
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坂口 登
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東京アートミュージアム
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