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14年前、福島第1原発から放出されたプルームが福島県内外を襲い、多くの人々を被ばくさせました。
事故時18歳以下だった福島県の子どもの甲状腺がんは、現在400人近くに及んでいます。事故時に福島市を襲ったプルームは2011年3月15~16日のものが飛び抜けて線量が大きいのですが、UNSCEAR(国連科学委員会)が依拠しているシミュレーションでは、このプル-ムがほとんど見えないため、被曝線量が大幅に過小評価されていることが、この間の黒川さん学習会で明らかにされてきました。
今回の学習会では、さらに、その原因が明らかにされます。UNSCEARが根拠にしたシミュレーションは、空気中のSPM(大気中に浮遊する、直径が10ミクロン以下の粒子状物質)の大気中濃度を測定する機器(SPM濃度測定器)に用いられた濾紙に残ったSPMの放射能を精密な測定器によって測った値を正しいとしてシミュレーションを行っています。ところが、放射性プルームが到来しており、気温が数度から0度、湿度が90%を超えるような気象条件のときには、SPM測定器の入口に設置されたサイクロンにおいてプルーム中のSPMが取り除かれるため、SPMは濾紙まで届かないのです。
その機序は、大気がサイクロンに入ると断熱膨張し、蒸気が過飽和となり、取り込まれた大気中の放射性物質から放出されたβ線が大気を電離し、できたイオンを核として霧が発生。それがトリガーとなりSPMを核とした霧がサイクロン内に充満し、できた霧を構成する水滴の径が10ミクロンを超えるため、SPMが排除されてしまうのです。
この機序を霧箱効果とよびます。福島市などの中通りを3月15-16日に襲ったプルームにおいては、霧箱効果のためにSPMが濾紙までほとんど届いておらず、わずかに届いたSPMをもとに大気中濃度を測定しているため、Cs-137の大気中濃度を(ひいては、Cs-137濃度に比例するとされているヨウ素131の大気中濃度も) ~1/100に過小評価してしまうのです。
日本政府はこれまで、高濃度のプル-ムを見逃したシミュレーションに基づいて、福島における甲状腺がんへの放射能影響を否定し、「過剰診断」などとしてきました。政府はその誤りを認め責任を自覚し、原発政策を抜本的に見直すべきです。
5.22オンライン被ばく学習会にぜひ、ご参加ください。