1月20日にイギリスのNGO「オックスファム」が発表した世界の貧富層調査結果を読んで驚いた人は大勢いると思う。貧富の格差が年々大きくなってきているということは、おおよそ予想できた。しかし、これほどまでの格差があるということを誰が予想できたであろうか。
「世界人口の1%の最富裕層が世界の富の半分を独占しており、最富裕層85人の資産総額が、世界人口の所得下位半分の総資産額に匹敵する」というのである。
1月21日付の「東京新聞」朝刊の記事によると、ILOの発表では、2013年度の世界の失業者数は、2億180万人(6%)、そのうち、15~24歳の若年層失業者数は、7450万人(13.1%)、1日を1.25ドル以下で暮らすワーキングプアの数は、3億7500万人(11.9%)にも達している。
昨夜のNHKテレビで、日本における若い女性の貧困状況の実情レポートを見た方も多いと思うが、まさに昭和初期(1936年)の2.26事件当時の悲惨さを彷彿とさせるものである。
「アベノミクス」とそれに同調する経済界の動向は、まさにそれに棹さすものだろう。
しかもこのような事態が、今や世界的にまん延していること、それ故、世界中のあちらこちらで(単に中東のみならず)、紛争が多発し、その勢いがますます拡大しつつあること、これらの現実を直視するなら、そこから引き出されるであろう結論はおのずから明らかなのではないだろうか。世界は遠からずして再び大混乱に巻き込まれざるを得ないということ。この大混乱を回避、あるいは少なくともそのための犠牲を最小限にとどめるためには、今すぐに世界を変革するために何らかのでき得る行動を起こし、圧倒的多数の人々の連帯をつくりだし、一部の企業家やその利益のためにのみ献身する政治家を駆逐し、政治を人々のために取り戻す必要があるのではないだろうか。再び、戦争を起こす「愚行」は繰り返すべきではない。
以下に、オックスファムが、ダボス会議に出席している有力者に求めた6つの誓約を紹介しておく。
1. 累進的な課税を推進し、自らは決して租税回避をしないこと
2. 民主的な決定プロセスを無視して自分の富を政治的に利用しないこと
3. 自らが実質的所有者となっている会社や信託への投資は全て公表すること
4. 自国政府に対し、税収を保健医療、教育、市民の社会保障へ使うよう働きかけること
5. 自らが所有または支配している会社に対し、生活賃金を払うよう要求すること
6. 経済界の他の有力者に対し、これらの誓約を宣言し守るよう働きかけること
Working for the Few調査報告書
http://oxfam.jp/2014/01/post_574.html