がれき処理と19兆円の復興予算

宮城・岩手両県のがれき広域処理は、当初401万㌧と推定されていたが、相次ぐ推計量の下方修正から、焼却処理対象量は60%も減少し、169万㌧となり、期限内に現地での処理が可能となった。

しかし、環境省は8月7日、被災地の実情を無視して東京都、大阪府など16都府県での広域処理を決定した。

北九州市は、9月17日、震災がれき焼却に反対する市民の抗議行動を無視して宮城県石巻市の震災がれきの本焼却を強行した。

被災地の地元で、地元の被災者の雇用を優先すべきなのに、東北から九州の遠隔地に多額の輸送費をかけて運び、住民の反対を押し切って焼却するのはなぜか。

政府は震災がれきの初期の処理を自治体任せにした結果、宮城県東松島市は過去の災害の経験から可燃物、金属類、コンクリート・石片などに分別して集積、隣接する石巻市は分別しないで集積した結果、石巻市は東松島市の約8倍の費用を要した。自治体によっては地元の建設業者に処理を請け負わせ被災地の雇用を確保するが、石巻市はゼネコンの鹿島建設JVと契約している。

政府は東日本大震災の復興に19兆円の予算を組んだが、復興事業の中には、活力ある日本全体の再生、波及効果などと称して、各省庁が予算の分捕り合戦を演じ、被災地と関係のない国立競技場の補修費、調査捕鯨、沖縄の地震対策としての土木工事などを盛り込んでいる。

がれき処理一つを見ても、この国のあり方が見えてくる。