たぬきの馬鹿/路上の人には何もなしか!

東京都のネットカフェへの休業要請に伴い、そこに寝泊まりしているホームレスである「ネットカフエ難民」は一時的にホテルを紹介されることになったのは、前回の投稿で報告した(4月15日付「街は静かに-ステイホームというなら路上の人々に住居の提供を」)。ところが、福祉事務所に申し込むと、都内在住歴が6ヶ月以上で、ネットカフェを利用していたことを証明する領収書や会員証を提示しなければならないとされ、提示できないと通常の生活保護申請扱いになって、無料定額宿泊所などしか紹介されないこととなった。当初は、ネットカフェにいた人でも、紹介は無料低額宿泊所が優先とされていたが、相部屋や過密が当たり前で、中には劣悪な内容の食事の料金として生活保護費の大半をピンハネしたり、外出時間制限をするところも多くあり、それではあまりにも問題だとの支援団体の抗議に、厚生労働省が通達を出し直し、個室対応を原則とするように変更となったのだ。

(詳しくは以下のリポートを参照してください。https://www.jprime.jp/articles/-/17696)

新型コロナ福祉のダークサイド、ネットカフェ難民が追いやられた「本当の行き先」 

それでも、領収書や会員証がないと通常の生活保護申請になるが、新宿の場合は、福祉事務所で紹介できる無料低額宿泊所もすでに満杯になってしまい、よその自治体に行ってくれといわれているらしい。それではたらい回しになりかねない。

給付金については、総務省が「ホームレスの人でも受け取りは可能」としたと報道されてはいるが、それも住民登録があればその自治体で受け取れるという話であって、路上生活の人たちは、ずっと前に家をなくしたり、家族と音信不通であったり、仕事を失ってアパートを出てしまった状態にある。その際の住民票が残っているとしても、そこに配達される申請書を受け取ることはできない。たとえ家族などがいたとしても、とっくに縁が切れているのが実情だからいまさら連絡もできない人が多いはずである。だから給付金の受け取りはほとんど無理といってよいだろう。

19日夕方の、新宿連絡会おにぎりパトロール時、いつものルートでいつもの人々と顔をあわせ、お互いほっとした。でも、なぜか警備がきびしくなって階段などに座っていると排除され、朝も早くに起こされるなどコロナの影響が出ているようだ。また、初めて会う人から「おにぎりもらえますか」と声をかけられた。「仕事なくなっちゃってどうしようかと焦ったり、不安なんです」「明日福祉へ行って生活保護を受けに行きます」とのこと。無料低額宿泊所のリスクのことは理解されていたようで「心配事や希望をよく説明してくださいね」と伝えた。

コロナ・ウイルス対策のビジネスホテル誘導で、路上に出てくる人の数が一時的に緩和されているのはよいとしても、いずれは多くの人たちが新たに路上生活をはじめることになるのだろう。社会的、政治的に本格的な対応が必要になってくる。お金を使うならこういうところにこそ注がれるべきだ。オリンピックもミサイルも、辺野古基地も原発もすべて無駄遣いでしかない。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/
〔opinion9673:20200422〕