たんぽぽ舎から  TMM:No2287

たんぽぽ舎です。【TMM:No2287】

2014年9月20日(土)その2地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします

                                転送歓迎

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 ※メルマガ編集部より(柳田 真)

 イ.9月10日の規制委の川内原発合格書は日本が再び「原発の国」になることを決めた歴史に残る重大な・悪い・決定の日でした。(私たちは当日規制庁前で全力で抗議した)

 ロ.木原壯林さんの文は、これを厳しく全面的に批判し、今後の方向を出されています。

  読んでいただきたいと思い、掲載しました。 

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┗■1. u〈緊急声明〉  川内原発を「新規制基準」に適合とし、再稼働を画策

 |   する原子力規制委員会(規制委)を満身の怒りを込めて弾劾する

 └────木原壯林(汚染水問題を憂うる京都府民の会)

 

 規制委は、九州電力川内原発の新規制基準適合性審査に関し、合格通知にあたる審査書案を7月16日に発表し、9月10日には正式な適合通知「審査書」を決定した。この間、形式的に国民の意見(パブコメ)を求めはしたが、寄せられた約 17,800 のうちの多くの再稼働反対の意見は、ほぼ完全に無視している。国民を愚弄し、民主主義を否定する行為である。私たちは、以下の理由により、この暴挙を断固として弾劾し、適合判断の撤回を求める。

(1)人類の手に負えない原発の再稼働を画策すること自体が誤りである

 安全な原発など存在せず、原発は人類と共存し得ないことは、福島原発の惨状を見れば明白である。事故炉は、高放射線量のため、未だに内部や地下の状態が分からず、事故収束の目途は全く立っていない。汚染水は、1 日 400tの割合で増え続け、土壌に浸透した汚染水、タンクから漏洩した汚染水は海に漏洩し、数年後には米西海岸に到達しようとしている。汚染水の漏洩を防ぐために、土壌を凍らせた凍土遮水壁の建設を始めたが、凍結には失敗している。凍ったとしても、その深さは十数メートルで、地下水はその下を容易に出入りできる。汚染水から多種類の放射性物質を除去するための装置ALPSも導入されたが、トラブル続きである。除染土壌を詰めた袋の老朽化・破損も著しい。凍土遮水壁やALPSのような大型プラントを期待通りに連続運転でき、放射性汚染物を長期保管できるほど、科学・技術は進歩していない。装置さえできれば永久に問題を解決できると考えるのは、科学の現状が分かっていない素人か、人々を騙してお金儲けをしようとする輩である。

 このように人類の手に負えない原発の再稼働を画策すること自体が誤りである。いま切実かつ緊急な課題は、福島の惨状に対する対策、被害者救援と、全原発の廃炉を如何に安全かつ早急に実現するかの検討である。このことは、多くの人々が望み、また、福井地裁判決でも指摘されている。

(2)規制委に人類の未来に関わる原発問題を判断する資格・能力はない

そもそも、福島の原発事故を最悪の事態に導いたのは、現代科学・技術を過信し、安全神話を作り上げ、それによって利益を得ようとする原子力ムラの人々の誤った原発推進と事故対応である。この事故は人災と言っても過言ではない。したがって、福島事故の後は、原発を推進してきた人達は、深く反省し、謝罪と恭順の意を表して謹慎するか、原発の犯罪性を認めた上で、原発全廃のために貢献すべきである。にも拘らず、5人中の4人を原子力ムラの出身者で占める規制委は、厚顔にも、原発の延命に繋がる再稼働審査を行い、電力や政府の言いなりの結論を国民に押し付けようとしている。結局、同委員会は、原発の再稼働、新設、輸出の推進のための検討委員会である。

 原子力は、総合科学であり、理工学分野だけでなく農学、医学、さらに社会科学も関連する。したがって、規制委のように限られた領域から集めた人材では、原発事故への対応を考え付かず、原発の安全性を評価する能力に欠けるのは当然である。規制委が中立を標榜するなら、原子力界中心の人選ではなく、国内外を問わず、広分野に人材を求めるべきである。そうすれば、もっと知恵が出る。世の中には、原子力界よりはずっと優秀な知恵者が多数いる。しかし、広く人材を求めれば、「原子力ムラ」が浸食され、崩壊するから、政府はそうしない。それが、原子力政策の本質である。

(3)安全を担保出来ない「審査基準適合」判断は、人々を愚弄するものである

 上述のように、国民を欺くために設置された規制委は、自らが作った科学的根拠も希薄な新基準で川内原発再稼働を審査し、適合とした。ところが、どんな審査基準を作っても、安全な原発はできないことは、田中委員長の発言からも明らかである。同委員長は、「安全を担保したとは言っていない」というコメントを付けて、責任逃れをしているが、この審査書が原発再稼働を大きく前進させようとしていることは明白であり、人々をバカにするにも程がある。これは、殺人兵器でもその製造法が兵器推進団体が作った基準に適合していれば、その製造を認め、その兵器の犯罪性については議論しないというのと同類である。こういう人達は、次に事故が起これば、「想定外」といって言い逃れるに違いない。

 なお、新基準で謳う過酷事故対策は、国際的には(例えば原発を推進するIAEAから)従来より求められてきたものであり、「世界で最も厳しい」とは真っ赤なウソである。日本の原発は完全な安全対策がとられており、過酷事故は起こり得ないと考えていた日本の規制当局が福島事故まで国際的要求を無視していただけである。

(4)「審査基準適合」判断は、電力会社の都合に合わせるデタラメ判断である

 百歩譲って、新審査基準に照らし合わせて、審査することを認めたとしても、この審査結果には、極めて多くの疑問がある。そのことは、多くの人々によって指摘されているから、ここでは、問題となる項目の一部だけを順不同で例示する。

・原発の運用期間中に巨大噴火が生じる可能性について、火山噴火の規模と時期の予測は不可能であると認めながら、モニタリングを実施すれば、噴火を予知でき、原発事故を避け得るかの如く誤魔化している。火山学者は、モニタリングで火山噴火は予測できないと断言している。

・汚染水流出問題が適合性審査の過程で完全に無視され、流出防止対策が要求されていない。

・コンピュータを使った解析が、格納容器の破損や水素爆発に至らないとの根拠に用いられているが、コンピュータ解析の結果は、計算の前提となる条件とデータの質に強く依存する。しかし、現代科学は実証された完全な条件やデータを持ち合わせていない。したがって、解析者の恣意が大きく結果に反映される。

・地震動の想定が過小評価になっている。

・事故時の避難計画について、規制委の審査対象ではないとし、パブコメで修正を求められても完

全に無視している。国民の安全など頭の片隅にもない冷血漢の所業である。。

このような問題点を勘案すると、この審査は、電力会社が譲歩可能な範囲内で決めた条件、すなわち再稼働をさせるための条件への適合検査と言わざるを得ない。

(5)原発が再稼働されれば、福島の復興は遅れ、被曝労働が強化される

 安倍政権の下で進められる投資の拡大とオリンピックの準備で、労働力が都市部に集中し、福島原発被害地では労働力が不足し、人件費や資材の価格が高騰し、土壌の除染や汚染水対策は遅延し、事故収束作業も難航している。一方、福島第一原発敷地や近辺には、放射線レベルが極めて高い場所が随所にあり、労働者不足と相まって、被曝労働の強制が行われている。原発が再稼働すれは、福島の事故収拾にあたれる人員はさらに不足する。とくに、西日本から集まっていた原発関係の作業員や技術者の許容残り線量は少ないため、福島を離れる可能性が高い。このように、原発再稼働は、福島の復興をさらに遅延させる。原発再稼働とそれを推進する規制委審査は許されない。

(6)「審査基準適合」判断は、原発輸出を有利にするためでもある

 原発が格安な発電手段でないこと、安全な原発はないこと、使用済み燃料や放射性廃棄物の安全な処分・保管法がないことは、誰もが気付いている。それでも原発を再稼働させようとするのは、暴利に繋がる原発輸出のためでもある。日本の全原発を廃止したら輸出が困難になるからである。その意味で、規制委は「死の商人」である原発製造関連企業の手先と言われても仕方がない。

(7)再稼働は再事故の準備である。規制委は解散し、全原発廃炉委員会の設置を

 上記のように、規制委は経済に牛耳られて、再稼働を策動するのみで、人間の尊厳や人格権を尊重しようとする態度のかけらも持ち合わせていない。その意味で、人類への敵対者である。「国民の生命、健康および財産の保全に資する」という設置目的は、忘却の彼方である。

再度の大惨事=地獄への扉を開ける再稼働を画策する規制委を徹底糾弾・解散させ、人間の立場に立って、全原発の即時廃炉を安全に進める委員会の設置を要求しよう。

川内原発再稼働は許せない。規制委は「審査基準適合」判断を撤回せよ!

原発再稼働と輸出を推進する安倍政権を打倒しよう!

地元自治体の再稼働同意を阻止しよう!

 

2014年9月11日        汚染水問題を憂うる京都府民の会

        連絡先:木原壯林 〒607-8,466 京都市山科区上花山桜谷40-5

 

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