たんぽぽ舎です。【TMM:No2328】
2014年11月10日(月)地震と原発事故情報-2つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.抗議声明
川内原発再稼働阻止の闘いは終わっていない
今後も現地の人々と連帯し「原発の国・日本」へ向かう道に
抗し、もてる全力で闘う たんぽぽ舎
★2.『原発と火山』
モニタリングで火山活動の予測は不可能
火山灰が10cm以上になれば原発の冷却水の供給は困難
火山物理学者 須藤靖明(九州在住)
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┗■1.抗議声明
| 川内原発再稼働阻止の闘いは終わっていない
| 今後も現地の人々と連帯し「原発の国・日本」へ向かう道に
| 抗し、もてる全力で闘う
└──── たんぽぽ舎
○川内原発の再稼働に「同意」した鹿児島県議会・薩摩川内市議会及び伊藤祐
一郎知事、岩切秀雄市長に抗議する。再稼働に賛成・支持を表明した人には、
今後、川内原発が事故を起こした際には責任を取る覚悟があるとは思えない。
住民の命と経済活動を天秤に掛け、目先の利益追求を優先させたと理解する。
○ 11月7日未明、鹿児島県議会は傍聴者の「再稼働反対」の声と、心ある県
議会議員の強い反対の主張を押し切り、川内原発の再稼働に賛成する陳情1本
を可決した。31本にものぼる、反対や懸念の声が込められた陳情は、いずれも
「少数否決」。これを受け、伊藤祐一郎知事が「川内原発の再稼働については
やむを得ない」と、再稼働に同意する記者会見を開いた。
福島原発震災は今も進行中であり、破壊され崩れ落ちた核燃料の姿すら見る
ことも出来ない有様だ。現在も大量の汚染水が日々漏れ出し続け、それを止め
る手立てもない。また、今後も20mを遙かに超える巨大な津波に襲われる可能
性があることが明らかで、その際には原発の地下にある何万トンもの放射能の
固まりが海に流れ出し、これが第二の福島震災を引き起こす危険性さえ指摘さ
れている。
原発災害を繰り返さないための方法論さえ確立してはいない。原発の稼働ど
ころか、原因究明も収束の見通しもできない現実の前に、何を持って再稼働が
出来る根拠となるのか。
川内原発は30キロ圏内に21万人以上の住民が居る。避難計画も策定不可能、
わずかに指定されている「避難所」「避難路」すら、地震や津波があれば
寸断されることが明白だ。実効性の無い避難計画は原発事故があれば、たちど
ころに住民被曝を引き起こす。要援護者に至っては、「避難させない」などと、
非人道的対応すら公言している。要援護者と施設従業員や管理者を残したまま
「逃げる」など、そもそも「原子力防災計画」の名に値しない。
日本火山学会は11月3日に、規制委員会の定めた火山影響評価ガイドライン
について、モニタリングによる巨大噴火の予測自体が不可能または困難である
として、ガイドラインの見直しを提言している。県や市が同意する前に翻意を
期待しての提言さえ無視してしまった。多数の火山により形成された自然環境
のもとに生きてきた鹿児島県や九州の人々にとって、このことが何を意味する
のかを、よくよく考えなければならない。
「巨大噴火が起きる前には何十年も前に前兆現象が起き、それを感知すれば
原子炉を停止して核燃料を運び出すことが出来る」。こんな荒唐無稽な前提で
原発を再稼働することが、如何に自然災害を軽視してギャンブル同然の行為で
あるかを一番良く理解しているのが火山地帯に住む人々だったのではないか。
火山灰が降り注げば、電気設備で安全を維持している原発が、どれだけ危険に
さらされるかを日常的に知っているのが火山のふもとに住む人々ではなかった
のか。
川内原発は、まだ稼働したわけではない。使用前検査が終わらなければ原発
が動かせる段階にはならない。耐震性は設計どおりか、安全設備は設計性能を
有しているのか、そういった検査が終わっていなければ、そもそも再稼働の是
非を論ずることさえ出来ないはずだった。
川内原発の再稼働は、単に1つの原発を動かすことではない。今後、関西電
力高浜原発などに結びつく。東電福島第一原発事故のあと、3年7ヵ月余、
「実質原発なし」でやってきた日本が再び「原発の国・日本」に戻ることをイ
ミする。
地震・津波・火山の活発期に入った日本で原発をたくさん再稼働する道は日
本滅亡への道である。この道はなんとしてでも阻止したい。
たんぽぽ舎は、2年前4つの団体・多くの個人と共に「再稼働阻止全国ネッ
トワーク」を結成し、この2年間、全国の原発現地の人々とつながって、再稼
働阻止を、持てる全力で闘ってきた。「再稼働阻止全国ネットワーク」を軸に
川内原発へも昨年から今年にかけて、数回のべ数百人の大衆動員で鹿児島へ行
き、九州現地の人々と連帯して闘ってきた。
東京では、九州電力東京支店抗議・申し入れ(100から200人、5回)や原子力
規制委員会抗議(毎月1回)、毎週の金曜官邸前抗議行動での川内原発再稼働阻
止ビラの配布などの活動を続けてきた。
この闘いをさらに広く、鋭くして、11月、12月、2015年1月、2月、3月を
大衆行動で闘い抜く。
川内原発の保安規定に基づく審査は終わっていない。さらに、火山噴火災害
に際してのモニタリングや核燃料搬出方針などといった安全確保策は検討さえ
終わっていない。これからも全国の運動をてこにして川内原発の再稼働を止め
るために結集しよう。 2014年11月9日
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┗■2.『原発と火山』
| モニタリングで火山活動の予測は不可能
| 火山灰が10cm以上になれば原発の冷却水の供給は困難
└──── 火山物理学者 須藤靖明(九州在住)
私が「地球科学からの警告 原発と火山」という冊子を書いたのは1年前であった。原発にとって火山噴火現象によるリスクが特に九州では無視できないと思ったからである。当時は少数の火山学者の発言があったが、この課題はあまり注目されていなかった。しかし、遅ればせながらあわてて日本火山学会も学会としてこの問題についての委員会を立ち上げたが、規制委員会の田中委員長をして「今更、言われても本意でない、夜も寝ないで観測してもらわないと困るんだよ」と言わしめた。地震と原発は3・11以後大きな注目を集めたのとは対称的だ。川内原発の再稼働を鹿児島県・薩摩川内市が受け入れ、再稼働が迫ってきた今日、火山島九州には大きな原発が2カ所にあり、また影響を受ける四国の原発も近くにあり、今一度原発と火山について述べたい。
1.自然現象と原発
原子力発電所事業者は、過去の大規模火山活動の痕跡が原発敷地とその周辺にないので、原発の稼働供用期間(数十年間)は安全であると言う。この考え方は、災害対策の一般論となっている「自然現象への対策を考える場合、歴史や痕跡のあるものの中で最大のものに対する備えを行う」という既往最大論から導かれたものだ。この結果、9万年前の阿蘇カルデラ形成時の大火砕流の痕跡が原発の敷地内及び周辺に見いだせないから、火砕流に対する備えは必要ないということになる。
しかし、現在、痕跡が見いだせないという調査結果は、安心材料にも不安材料にもなる。現在見いだせないだけで、過去には実際に存在していたかもしれない。原発の場合、最悪の場合はどうなるかを当然考えるべきである。川内原発では、3万年前の姶良カルデラ形成時と同じような火砕流が流れ込んでくることは、十分想定できる。
*火砕流・・・高温の岩片と火山ガスが混合し高速で流下する現象で、堆積したものを火砕流堆積物という。大規模なものは軽石を含み、軽石流という。高温で堆積し、圧密を受けると溶結凝灰岩となる。九州は多くの火砕流堆積物で覆われている。
2.モニタリングで火山活動の予測は不可能
原子力発電所事業者は、現在、大規模なマグマ溜まりの存在の兆候が無いので安全であるが、念のため、将来の巨大な火山活動に対する備えとして、モニタリングを行って対策を立てるとしている。未曾有の災害を生じさせた東北地方太平洋沖地震の教訓で分かるように、地震の発生を予知することは現段階では不可能である。火山噴火は地震活動と比べ、観測網が比較的充実しているので予測は少しは可能となっているが、火山活動の形態・推移はもちろん活動規模までの予測は不可能であるのが現状だ。つまり、モニタリングでは噴火を予測することが分からない。ある現象が前兆らしいと分かるのは、噴火活動が始まってからである。一歩譲って、前兆と判断されたとしても、既に時間的余裕がなく、予測が出来なかったことと同じとなる。また、前兆現象を前兆として把握できるかどうか、把握出来ることもあるが、出来ないことの方が多い。噴火が起こってから前兆だったことになるのが多くの場合だ。火山活動が進行中では大規模な活動に移行するかどうかの判断は、極めて難しい。
大噴火がやがて起こるかもしれない、大噴火に移行するかもしれないと考え、警戒を強めることは重要であるが、現代の社会システムが不確実なことに対応できるかどうかは非常に疑問だ。まして、原発のような簡単に止めたり稼働したりするのに多くの時間が掛かる場合は困難であろう。もっと言えば、我々は、巨大火山噴火活動を経験していないので、また、巨大噴火を近代的な物理学的観測でとらえた例もないので、モニタリングを考慮していると言っても安全対策にはならない。現在の予知技術は、これまでのたかだか数十年の観測経験に基づいている。経験しない破局的噴火を予測することは不可能と言わざるを得ない。一方、それを経験してからでは既に遅すぎ間に合わない。
*モニタリング・・・噴火を予測するために、事前にマグマの供給量(山体膨張・収縮=地盤変動)・その動き(上昇速度と量・マグマの総量)・その中の揮発性物質の量(爆発力大小)・地殻の強度(地震)などを検知するために、地震・地磁気・地殻変動・重力・火山ガス・地下水温度と組成などを観測すること。
3.九州の特殊性
九州は、巨大火山活動だけでなく、地殻が引っ張られる力が活動する地域となっている(地殻応力が伸張場)。このような地域では、どこでも火山が誕生する可能性がある。この火山活動は、日本海側の石川県金沢市付近から山口県萩市周辺・北九州そして五島列島まで線状に分布している。九州の北西部では数十万年前に非常に活発な火山活動していた。多くは小型単成火山で、ハワイ島のような噴火をして、1日から数ヶ月間の非常に短期間で形成された。これらの火山は、独立である場合もあれば、いくつかが線状に群となるときもある。そして、火山が今まで無かったところに突然噴火が起こることもあり、ノーマークとなっている。火山活動は小型で噴火規模も小さいので危険視されないが、原発の近くで生じることもある。玄海原発はこのような地殻運動を生じる地域に接近している。
さらに、海域での火山の誕生やそれによる火山が大規模に崖崩れして、津波も発生する。地震による津波が注目されるが、火山の崖崩れは、時速150kmくらいの速さで流下し、到達距離は崩壊の発生した標高の10倍から20倍の距離になる。江戸時代に長崎県島原で発生した火山体崩壊で大津波が熊本県有明海沿岸に押し寄せ、多くの犠牲者が出た。また、1741年に北海道渡島大島の噴火で大崩壊が生じ、大津波が発生している。巨大噴火ばかりでなく、小型の噴火活動に対しても注意を払うべきである。
いずれにしても、私たちが生きている間に甚大な災害を生じる火山活動を経験すると考え、想像した方がよい。火山噴火のような過酷な自然現象の発生は非常に稀だが、その発生が数年後になるのか、数万年後になるのか、現代科学ではわからない。そして発生したら大きな災害をもたらす。
一方、原子力発電所の稼働期間は数十年、使用済み燃料や核廃棄物の保管期間は数万年だが、原子力発電所の事業者は原子力発電所の稼働供用期間のたかだか数十年間という時間スケールで、このような過酷な自然現象に対する原子力発電所の安全性の確保を考えている。ここが、原子力発電所事業者の考え方(政府の考えも)と科学者の常識との間の大きなずれというか、根本的な視点の違いがある。日本は、東側がプレートの沈み込み帯となって地殻がほぼ東西方向に圧縮され(圧縮場)、一方、九州の西側では逆に地殻が裂ける力が働いていて(伸張場)、極めて不安定で、活発な地殻変動地域である。どこにも安定した地域が無いのが原子力発電所にとって不幸なことである。
*伸張場・・・プレートが衝突する場所では地殻が圧縮されて圧縮場となる。日本の太平洋岸が相当する。その結果、3・11の地震が生じた。一方、日本海側や東シナ海では左右に地殻が広がる力が働き、伸張場となっている。そこでは壱岐・五島列島・韓国チェジュ島など単成火山が生じている。
4.火山灰について
火砕流だけでなく、火山灰の問題も深刻である。降下火山灰の厚みが10cm以上になれば、すべてのライフラインは失われ、原子力発電所にとって最重要な冷却水の供給が困難となろう。江戸時代、富士山が噴火したとき、江戸で数cmの火山灰が積もった。現代社会は、そのような大噴火を経験していないが、規模の小さい噴火活動は、既に多くの火山周辺で経験している。大規模な自然現象が生じ、過酷な災害となる可能性のある日本では、広域の避難は不可能となる。また、大規模災害発生時には、原子力発電所はそのまま放置されることとなる。こんなことは許されない。
モニタリングで前兆現象を把握でき、事前に避難を考えたとしても、被害が広範囲に及ぶため避難する場所や避難する経路が無いので、お手上げとなる。当然、原子力発電所は放置される。九州で大規模な火山噴火が発生すれば、その火山灰によって九州・四国の玄海・川内・伊方など広域に存在する原子力発電所の全てが機能しなくなり、西日本全域が放射能汚染し立ち入り不可能となることが予想される。数千万人の避難民の行き所はない。この種の噴火は非現実的ではなく、発生の可能性は充分ある。自分たちの問題、子どもたち、孫たちのために、考えるべきである。
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