たんぽぽ舎から TMM:No2250

たんぽぽ舎です。【TMM:No2250】

2014年8月15日(金)地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします

                          転送歓迎

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★1.いよいよ深刻な汚染水対策   その2

       地下水も汚染水も漏れ続けている      山崎久隆(たんぽぽ舎)

★2.パブコメを書こう その3

   川内原発は避難困難原発 「事故の可能性がゼロではないはずなのに、

   事故はありえないことを前提にしているからこそ、原子力防災・

   避難計画の策定が地元自治体に丸投げされている。」

                            山崎久隆(たんぽぽ舎)

★3.パブコメを書こう その4

   住民の安全性を踏まえない規制委審査

   「もし不十分な形で原発を稼働させて再び大事故が起こったら

   “日本は終わり”と言っても過言ではない」「安全性、経済性、

   倫理性の3つの点で、原発は稼働に値しない状況にある」

                      山崎久隆(たんぽぽ舎)

★4.新聞より

    ◆福島第一原発地震対策 規制委来月までに東電へ指示

                                           (8月7日東京新聞より)

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※短信3つ・サクラ調査報告、リニア新幹線、たんぽぽ舎25周年へのメッセージ続々。    (柳田 真)

 

1.サクラ調査報告集(第11集)ができました。各執筆者に原稿の校正をお願いし

 て、それがまとまりました。近日、たんぽぽ舎のホームページに掲載します。

 72頁の大作です。また、短い紹介文も近日載せる予定です。

2.広瀬隆さんより連絡あり、

  脱力系反原発アニメーションでお馴染みの「源八おじさんとタマ」(1から

 6)の「リニア新幹線」編(YouTube)が大好評だそうです。

 リニア新幹線と原発の視点もあり。ぜひごらん下さい。

  「リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」 http://www.youtube.com/watch?v=u-cLZ2m6324

3.たんぽぽ舎25周年(8月31日)へのメッセージが、全国の原発現地からいくつ

  も届いています。8月20日頃から順次、事故情報に掲載します。

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┗■1.いよいよ深刻な汚染水対策   その2

 |    地下水も汚染水も漏れ続けている

 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

               

(これは8月5日発信の【TMM:No2243】「1.いよいよ深刻な汚染水対策 福島第一原発 ALPS不調、凍土遮水は固まらず、東電は汚染水対策に全力を投入せよ」の続きです。)

 

 東電は、2号機タービン建屋と地下のトレンチがつながっている部分から、建屋内の汚染水が流れ出しているため、トレンチの汚染水を抜く作業を計画しているが、この背景にはもう1つの大きな問題がある。

 

○知らされない問題点

 

 トレンチは主にタービン建屋から海側に延びる地下トンネルを形成しているが、この場所には凍土方式遮水壁の凍結管を1m置きに地下30mまで埋める。この際にトレンチなど地下構造物が邪魔になる。しかし掘削して構造物を除去するという方法は採らない。コンクリートのトレンチをステンレス製の凍結管で貫通する。トレンチの上も下も、そして中もマイナス30度の冷媒で凍らせる計画だが、そんなに予定通り凍らないことが今回の2号機トレンチ凍結失敗で明白になった格好だ。

 さらに問題なのは、工事中に起き得る最悪のシナリオだ。凍土壁の凍結管でトレンチを貫通する作業を行うのだから、トレンチの壁が割れてしまい大量の汚染水が漏れ始める恐れがある。そうなると1リットルあたり数億ベクレルの汚染水を止める手段がない。

 大量の汚染水が土壌に流れ出せば1日400トンのペースで海に流れている地下水に混じって徐々に流れ出している放射能が、今度は桁違いに大量漏出する。

 

○汚染水の現実

 

 今でも11,000トン×4億ベクレル=4400兆ベクレルの汚染水がトレンチに溜まっており、トレンチに破損が生じれば建屋の70,000トンも流出し始める。合わせれば京の単位の汚染水が流出する可能性が出てくる。

 そのため、止水壁工事を始める前にトレンチ内を空にしなければならない。

 東電はまたしても「事態が小さく見えるように」明確な表現をしないまま止水壁用の凍結管埋設工事を障害物のないところから先行実施しているが、トレンチなど地下障害物にさしかかる時点で、内部から汚染水が漏れないように対策が終わっていなければならないのに、トレンチへの汚染水流出を止められない事態が4月以降続いている。

 

○ドライアイスと氷

 

 そこで「最終手段」に打って出た。それは「氷とドライアイスの投入」だ。

 ドライアイスは非常に低温なので、下手をすればコンクリートに損傷を与える危険性がある。氷は溶けるので、当然汚染水を増やしてしまう。

 方法としては良くないのだが、背に腹は替えられぬとばかりに7月下旬から作業を始めた。ところが凍らない。

 30日までは1日2トンとか6トンとか、おそるおそる投入していた感があったが、30日以降は日量15トンに増やした。最初の氷は投入後3時間で溶けてしまい、水温も3~5度ほど下がったがまだ10度ほどあるというから、始めた以上成果が出るまでやるということらしい。

 そしてついに1日27トンまで投入量を増やす決定をしたのが8月7日だった。ドライアイスも1トン入れるという。

 こういうのを泥縄というが、本当にこれで凍るだろうか。

 東電の見立てのように、単に水の流れが邪魔をしているだけなのか、疑問が残る。

 もっと大きな問題、例えば温度の高い地下水が地表面付近からトレンチや建屋内に侵入しているとか、空隙があって凍らない場所が出来てしまいそこに流水が流れ込むとか、大きな本質を変える事態が起きているのではないかと懸念する。

 

※事故情報編集部より

 1.上記の山崎久隆さんの文章は、8月14日発信の【TMM:No2249】★1.速報

  ◆「氷の壁」断念を検討 ドライアイス効果なく[産経新聞より抜粋]も合

   わせてごらん下さい。

 2.この山崎久隆さんの文章は、8月10日に届いていましたが、「夏休みと多

  くの原稿が来たこと」の2つの理由で、事故情報への掲載が遅れて本日に至

  りました。

 

 

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┗■2.パブコメを書こう その3

 |  川内原発は避難困難原発

 |  「事故の可能性がゼロではないはずなのに事故はありえないことを

 |  前提にしているからこそ、原子力防災・避難計画の策定が

 |  地元自治体に丸投げされている。」

 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

   

  「実効性ある避難計画を再稼働の要件とせよ」

       http://toyokeizai.net/articles/-/44822

  川内原発審査の問題3.広瀬弘忠・東京女子大名誉教授

  中村 稔、岡田 広行:東洋経済編集局記者

 

○対象にすらなっていない防災計画

 

 3回目は広瀬弘忠東京女子大名誉教授による実行性の無い原子力防災批判である。

 そもそもパブコメに原子力防災は対象にすらなっていない。それは規制委員会の規制対象になっていないからであるが、そもそも原子力防災を規制委員会が扱わないこと自体が大問題だ。

 世界でおそらく最も厳しい部類に入るであろう米国NRC(原子力規制委員会)の規制基準には当然のこととして原子力防災は含まれる。

 さらに防災計画を策定した後でも、州がこの計画を承認しなければ原発を稼働させることは出来ない。二重に「安全装置」が掛けてあるようなものだ。

 日本はといえば、防災計画そのものを作るのが地方自治体である。

 これについて広瀬教授は「立地自治体はもともと、税収増や雇用増などの経済的メリットがある原発を誘致したいのだから、チェック機能は働きにくい。それなのに、自治体へ避難計画が丸投げされ、結果的に実効性の乏しい避難計画になっている。福島の教訓が全く生かされていない。」と、実態のひどさを明確に見切っている。

 

○想定の甘さも巨大

 

 川内原発の防災計画は、海沿いの国道が使えないケースでも南九州自動車道は使えるなど、恣意的なケースばかりが目立ち、最悪のケースは想定されていない。

 また、30キロ圏内ばかりでなく40キロ圏、50キロ圏の人々が動き出す可能性はあるし、UPZ・緊急時防護措置準備区域の30キロ圏内で指示に基づかないで避難をする割合を40%と、到底考えられない低さで想定したりと、本来「最悪の事態」例えば、燃料切れなどで道を塞いでしまう車が続出、交通規制も避難指示も行われないなどということを考えてもいない。

 こんな楽観的計画では実際に役に立たないのに、都合のいいように恣意的に作られていると指摘する。

 

○要援護者を逃がさない

 

 30キロ圏の避難準備区域を作っても、その区域の要援護者を避難させるマンパワーは存在しない。だから逃がさない、そしてそれは当然とする伊藤祐一郎知事の発言は、以前から懸念されていた事態を現実のものとするものだ。つまり自力で逃げられない人は見捨てられる。これについても広瀬教授は「一番援護が必要な人たちを避難させられない状況で、本当に避難計画と言えるのか」と批判する。

 もちろん、これに加えて要援護者を援護する施設や病院のスタッフ、その家族はいったいどうするつもりか。恐ろしく非人道的計画といわざるを得ない。

 

○福島の教訓

 

 「原子力防災は不可能」といった意見があってもいい。しかし原子力防災は地方自治体に策定義務があるので、そこにある矛盾を厳しく指摘することは規制委員会だけでなく地方自治体への大きな牽制にもなる。

 前例を重く見る役人に対して「過去の教訓はどうした」と迫ることは重要だ。教訓も生かせないで、次に進めるはずがない。

 広瀬教授の指摘は、その意味でも重要である。

 「われわれには「福島」という一つの大きな教材がある。いろいろな失敗から学ばなければならないのに、失敗を避ける方法をあえて無視している。そういうやり方はあまりにも政治的というか、エゴイスティックという気がする。

 福島の教訓を生かすなら、30キロメートル圏だけでなく、40キロメートル、50キロメートル圏のことまで考えなくてはならない(福島事故では、30~45キロメートル圏の飯舘村に避難指示が出された)。」

 

 

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┗■3.パブコメを書こう その4

 |  住民の安全性を踏まえない規制委審査

 |  「もし不十分な形で原発を稼働させて再び大事故が起こったら

 |  “日本は終わり”と言っても過言ではない」「安全性、経済性、

 |  倫理性の3つの点で、原発は稼働に値しない状況にある」

 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 

  「住民の安全性を踏まえない規制委審査だ」

       http://toyokeizai.net/articles/-/44624

  川内原発審査の問題1.植田和弘・京都大学大学院教授

     中村 稔、岡田 広行:東洋経済編集局記者

 

 東洋経済の連載は、実際には、この記事が第1回目だ。実は紹介の順番を逆転させている。川内原発のパブコメについての参考文書として紹介したいので順序を変えた。

 この回は、いわば「川内再稼働そもそも論」である。

 パブコメは今回は「専門技術的な意見」を募集している。「そもそも論」や「防災論」は「送っても無駄」らしい。しかしパブコメの内容を限定する根拠など法的には無い。国の役人がめんどくさい「そもそも論」や福島の人々の再稼働批判文などは読みたくもないと思っているから、こういう根拠の無い縛りを掛けてきた。不遜、反省無し、お上意識丸だし。命令慣れしている官僚は人の意見を聞く態度さえ知らない。

 これではパブコメを読んで役人に回答を指示する「第三者機関」を作った方が良い。全くばかばかしいことだ。

 

○安全性の中身に問題有り

 

 「安全性」とはいったい具体的に何を指しているのか。田中委員長は新規制基準について「安全と認めたわけでは無い」というし、基準に適合という場合の「基準」が、安全とどのような関係にあるのかもはっきりしない。それでいて「世界で最も厳しい基準」と安倍首相がいうのは、何を指しているのか。まさしく専門技術的な意味において、誰にも分からない。

 例えば安全対策としてとりわけ加圧水型軽水炉に「コアキャッチャー」「二重の格納容器」を義務づけるというのならば、かなりの高い安全性能を求めているように思われるが、そういう基準にもなっていない。尤も、仮に世界最高水準の基準だとしても、それで本当に十分なのかという本質論もある。もちろん、それもなされていない。

 結局のところ「福島を再現しない」というところくらいしか、落としどころの無いのが現状であることを植田教授は指摘している。

 

○福島を繰り返さない

 

 植田教授は「非常事態を想定しているとは言うが、福島事故の教訓を生かしているとは言い難い。福島事故では、放射能汚染の多いほうへ住民が避難してしまったことや、重度の病気の方々がギリギリの選択を迫られるようなことがあった。

が、規制委の審査では、住民の避難計画をしっかりたてることが要件になっていない。」と、原子力防災を審査対象としない規制委を批判している。福島の教訓は無視されたままだ。このうえ、再稼働して福島原発震災を繰り返したら日本は終わりだ。

 「まず確認しておく必要があるのは、もし不十分な形で原発を稼働させて再び大事故が起こったら、“日本は終わり”と言っても過言ではないことだ。」

 ところが田中規制委員長自身が事故を否定しない。否定できない程度の基準しか作っていないのだから当然だ。福島を繰り返さない基準にするまで、そもそも審査を始めるべきではない。

 

○経済性も対象外

 

 「原発が引き起こす被害の大きさを考えると、経済的なベネフィット(効用)よりもはるかに大きいリスクがある。」と福井地裁判決は示した。

 そして安定供給にも役立たない。「原発自体が安定供給の電源か、というとそうではない。何らかの事故が起これば、大量の発電能力を持つ発電所が一度に止まってしまう。止まれば、かなりの期間、検査もしなくてはならない。原発が安定供給の手段というのは間違った理解の仕方だと考えられる。」

 「日本の経済社会全体の構造を、省エネ、節電型の方向へ持っていくことは、たくさんのビジネスチャンスも生む。そういう意味で、再生エネや省エネの推進には、二重、三重のメリットがある。」

 いずれも再稼働の審査には「関係ない」とされるのであろう。しかし、わずかな経済的利益と引き替えにするリスクの巨大さは、どうしても伝え続ける必要がある。

 また、電力システム改革にとっても原発は途方も無い障壁にしかなっていないことも事実だ。中部電力が使えもしない原発のために巨大な防潮堤を建造する費用を、再生エネルギー開発や原子炉の使用済燃料の安全保管対策に使っていれば、大きな前進が見られただろう。同様に、川内原発に巨額の資金をつぎ込むのならば、もっと合理的で安全な電力システムに投資する方が未来の世代に対して責任を持つ姿勢だということなど、伝えるべき意見が封じられている。

 もっとも、専門技術的意見を述べてみても、結果的に採用される可能性は絶無なのだから、言うべきことを書き続けるのは重要だ。

 

◎川内原発に関するパブリックコメントの締め切りは明日8月15日(金)です。

◎九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更

許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198252311&Mode=0

◎意見提出フォーム

https://search.e-gov.go.jp/servlet/Opinion

 

 

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┗■4.新聞より

 

 ◆福島第一原発地震対策 規制委来月までに東電へ指示

 

 東京電力福島第一原発の本格的な地震・津波対策を検討している原子力規制委員会は6日、9月までに特定原子力施設監視・評価検討会で対策の方針をまとめ、東電に指示することを決めた。

 大規模な地震・津波の発生予測が困難であることを踏まえ、できるだけ早急な対応を目指す。

 同日、都内で開かれた定例会合で、事務局の原子力規制庁は(1)対策を講じる上で基準とする地震動の大きさや津波の高さをどう設定するか(2)対策の優先順位をどのように判断するか-などの検討課題を示した。

 更田豊志委員は「後手に回らないよう速やかな対応が必要」として1カ月から1カ月半でまとめるよう提案した。対策の優先順位については「1、2号機の使用済み燃料プールの危険性は高くない。むしろ、海際のトレンチや原子炉建屋、タービン建屋内に滞留している高濃度汚染水の流出による環境汚染が心配」と指摘。田中俊一委員長(福島市出身)も「認識は同じだ」と理解を示した。

 一方、地震動の大きさや津波の高さの設定について、更田委員は「考える時間があるなら、思い切って決めるべきだ。現行基準の5割増しで、といった考え方ではどうか」と意見を求めたが、島崎邦彦委員長代理は「あくまで科学的検討に基づくべきだ」と慎重な姿勢を示した。  (8月7日東京新聞より)

 

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