たんぽぽ舎です。【TMM:No2859】
2016年8月19日(金)地震と原発事故情報-3つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.伊方原発再稼働に関連して
規制委員会による「基準地震動算定」に大きな欠陥
地震をめぐってどんな議論がされたか
「東洋経済誌」が実にわかりやすく簡潔に報道
山崎久隆(たんぽぽ舎)
★2.伊方原発を動かしてはいけない!
日程優先・基準地震動過小評価の原子力規制委員会
【報告】8/9規制委院内ヒアリング集会
「本当に伊方原発3号機を稼働するの?」
原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その108
木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
★3.新聞より3つ
◆反省なき“見切り発車” 伊方原発
(8月13日大分合同新聞朝刊1面より抜粋)
◆再稼働の伊方原発に 対岸の大分 生活不安
特産シイタケ農家「早く止めたい」
(8月19日東京新聞朝刊25面「話題の発掘」より抜粋)
◆電力需要 猛暑の夏も乗り切れる
(8月18日東京新聞朝刊5面「社説」より)
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※お知らせ
明日、8月20日(土)のメールマガジンは、お休みして、
8月21日(日)に発信致します。ご了解のほどお願い致します。
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◎「たんぽぽ舎HP トピックス」新着情報 2016.8.18
2016年8月10日~12日伊方原発動かすな!現地行動報告が
アップされています。写真もあります。ぜひご覧ください。
HP http://www.tanpoposya.com/
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※8/22学習会にご参加を!
「日本会議と安倍政権の思想史-国家神道の戦前・戦後・今」
お 話:島薗 進さん(宗教学者・上智大学特任教授)
日 時:8月22日(月)19時より21時
会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)
参加費:800円
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※8/24学習会にご参加を!
「東京湾に浮かぶ2つの原子炉 米核空母の危険性」
お 話:呉東正彦さん(弁護士)
日 時:8月24日(水)19時より21時
会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)
参加費:800円
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┗■1.伊方原発再稼働に関連して
| 規制委員会による「基準地震動算定」に大きな欠陥
| 地震をめぐってどんな議論がされたか
| 「東洋経済誌」が実にわかりやすく簡潔に報道
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
◎ 東洋経済オンラインに掲載された「大飯原発「基準地震動評価」が批
判されるワケ・島崎氏の指摘を規制委は否定したが…」は、いつも原発問
題に的確な記事を書いている岡田広行記者の、8月17日付け最新の記事だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/131955
◎ 「関西電力・大飯原子力発電所の基準地震動(想定される最大の揺
れ)は過小評価されている。(きちんと計算すると、大地震の際には実際
の揺れが)現在の基準地震動を超えてしまうことは確かだ」
島崎邦彦元原子力規制委員会委員長代理の批判は、たちまち大きな影響
となって広がった。これには規制委員会も無視し得なくなって「面談」
「試算」といった異例の対応を取らざるを得なくなる。しかし試算結果は
きわめて不十分なまま、いったんお蔵入りに。
●基準地震動算定に大きな欠陥
島崎氏が提案した政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会の資料
に記載されている別の計算式(*竹村式のこと)を使った評価については、
「今まで使ったことがない」(櫻田道夫・原子力規制庁原子力規制部長)
ことを理由に、実施しない考えを示した。
しかしこの計算式は従来の計算方法が大幅な過小評価になっていること
を指摘する極めて重要なものだ。
*武村式とは 武村雅之名古屋大学教授による地震動から断層運動のエ
ネルギー(Mo)を求める経験式。(日本列島における地殻内地震のスケ
ーリング則-地断層の影響および地震被害との関連-、地震2 Vol.51
(1998-1999)No.2P211-228)
規制委員会と島崎邦彦元原子力規制委員会委員長代理とのやりとりはつ
とに有名になった。特に田中委員長は影響の払拭に躍起になり、まさしく
事業者を代弁する発言を繰り返した。しかし記事は地震動の専門家から重
要な発言を引き出している。
「現在の原発の安全審査のやり方には課題がある。地震動の審査に際し
ては、自然現象(地震)や人間側の認識が内包する不確かさもきちんと考
慮して安全性を確保する必要がある。熊本地震での新しい知見も取り入れ、
より安全性を高める形で議論を進めるべきだ」(藤原広行・防災科学技術
研究所・社会防災システム研究部門長)
熊本地震が島崎氏の指摘のきっかけになったのだが、「電力会社の手法
では過小評価になる」との発言は纐纈(こうけつ)一起・東大地震研究所教
授だ。「原発の耐震評価で用いられている地震動の予測手法を熊本地震に
適用すると、地震動は過小評価になることがわかった」と東洋経済誌の取
材に答えたという。
「大地震が起こる前にいくら詳細な活断層調査を実施していたとしても、
震源断層の長さや幅を正確に推定することは困難なので、より正確に計算
できる別の予測手法を用いるべきだ」と纐纈氏は述べた。
● 不確かさの読み方
藤原広行氏は「入倉・三宅式そのものは、これまでに起きた数多くの活
断層型の地震のデータに対して、一本の線を引いた回帰式にほかならない。
その背後には、平均値に対して大きなばらつき(不確かさ)が存在してい
る。その不確かさが原発の審査の際にきちんと考慮されているかどうかが
重要だ」。
私たちが規制委員会との交渉で問題としたのはまさしくこの点であり、
地震の研究者の多くは同意見だ。それを明確に示した記事に拍手を送り
たい。
最後に長沢啓行・大阪府立大名誉教授が登場し、どうして計算式を変え、
新しい知見で原発の耐震性を再検証しないのかを明らかにしている。
「政府の地震調査研究推進本部が使っているもう一つの予測手法(レシ
ピ)で再計算したほうがより正確である一方、計算された地震動は関電が
設定した現在の基準地震動の1.5~1.6倍程度になる。
しかし、そうなると、大飯原発3・4号機では2012年3月のストレステ
スト(耐震余裕度テスト)で算出された炉心溶融につながる『クリフエッ
ジ』(限界点)を超えてしまうので、原発は再稼働できなくなる。ほかの
原発も再稼働が困難になる可能性が高い。だから、(今まで原発の審査で
実績がないなどとの理由で)推進本部が用いている手法による再計算を拒
んだのではないか」
● 記事の最後の文章に一つの光が見える
「とはいえ、事態は前に動き始めている。原子力規制委によって島崎氏
が持ち掛けた論争はいったん幕引きとなったが、原子力規制庁の事務レベ
ルでは、「熊本地震の知見を踏まえると審査のやり方の再検討は不可避」
との見方が広がり始めている。」
「いみじくも島崎氏は、「科学的事実をいかに反映させるかは、審査に
たずさわる人たちの判断や見識による」と語っている。地震動評価のあり
方をめぐる議論は、遠くない時期に再開される可能性が高い。」
このとおりになるのなら、結論は一つ、原発に十分な耐震性はないとの
結論になるはず。その前に伊方3号機や川内原発が地震で崩壊しないこと
を願うしかないのだとしたらあまりに私たちには能が無い。
せっかく鹿児島県知事が代わり、三反園訓氏が川内原発の停止に向けて
動きだそうとしている。
伊方原発も川内原発も止めるためにもうひとがんばりしよう。
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┗■2.伊方原発を動かしてはいけない!
| 日程優先・基準地震動過小評価の原子力規制委員会
| 【報告】8/9規制委院内ヒアリング集会
| 「本当に伊方原発3号機を稼働するの?」
| 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その108
└──── 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
8月9日(火)、71年前に長崎にプルトニウム爆弾が落とされた日、東京参議院議
員会館の会議室で「再稼働阻止全国ネットワーク」が山崎久隆さんとともに、原子力
規制庁を迎えて院内ヒアリング集会を持った。
参加は、規制庁側が5人、こちらが45人。2時間の予定だったが会場からの抗議の
声が続いて盛り上がり、結局2時間半を超える集会になった。
(紹介:参議院議員福島みずほ議員)
質問項目は次のとおり。
《1》伊方原発3号機の再稼働を目前にして
0 審査の推移
1 7月17日の一次冷却水ポンプ事故について
2 重大事故対策について
3 保安規定違反について
4 PWRの過酷事故対策について
5 プルサーマル発電について
6 その他
《2》基準地震動の設定方法について
1 伊方原発3号機の基準地震動について
熊本大地震、地震動過小評価、レシピと近似式、地震専門家
2 島崎さんの指摘とその対応と今後の基準地震動見直しについて
《1》では、一次冷却水ポンプの故障が起こっても、総合訓練で四電の訓練不足が
露呈しても、特定重大事故等対処施設に係る非公開審査を始めたばかりでテロ対策な
んてできていなくても、免震重要棟(自主設備!)ができていなくイチエフ事故対応
はとてもできない状況であっても、保安規定違反が4つも発覚しても、ともかく日程
優先で四電の希望通りに再稼動をさせようとしている原子力規制委員会の姿勢があき
らかになった。
《2》では、20年以上前の稼働時基準地震動を650ガルに倍増したにも拘らず、担
当が、何をどのように補強したのかは確認できていないばかりか、安全裕度の食いつ
ぶしがあることをも認めた。また、熊本大地震で新たな知見が得られているのに原発
を止めて評価をすることもせず、岡村真さん(高知大)の指摘や島崎さんの指摘を無
視し、基準地震動の過小評価を厳しく指摘している長沢啓行さんの指摘に対しては訴
訟係争中であるからと科学・技術者としてあるまじき口実で逃げ、「国民」が最も心
配している地震に対して真面目に議論しようとしない原子力規制委員会・規制庁の姿
勢が明らかになった。
なお、長崎に水爆が落とされて71年目の日に、審査で議論が避けられてきているプ
ルサーマル発電について追及し、一方基準地震動を推定において過去の地震からの回
帰式による平均で評価することの危険性を参加者が厳しく批判した。
これらの白熱議論は以下の動画で観ることができる。是非ご覧いただきたい。
IWJ:ハイライト http://iwj.co.jp/wj/open/archives/324386
(全編は会員のみ)
田中寛子さん
http://twitcasting.tv/humansystem/movie/295322767
http://twitcasting.tv/humansystem/movie/295336186
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┗■3.新聞より3つ
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◆反省なき“見切り発車” 伊方原発
【前略】
大分県に最も近い原発が再び動きだした。東京電力福島第一原発の反省が生か
されたとは到底言えない“見切り発車”だ。
「3・11」の前、日本では「原発事故は起きない」ことになっていた。いわゆる
安全神話だ。規制当局が電力会社に取り込まれて骨抜きになり、世界標準となってい
る国際原子力機関(IAEA)提唱の多重安全対策「深層防護」も講じられていな
かった。
二度と福島のような事故は起こしてはならないと、多くの国民が思ったはずだ。
だが5年余りたち、政府は福島を忘れたかのように原発回帰を進めている。
福島事故後、政府が「世界一厳しい」と自負する新規制基準が導入された。だ
が、欧米などと比べどう厳しいのか、経済産業省の担当者は取材に言葉を濁す。
深層防護で求められる住民の避難・被ばく対策は再稼働に必要な審査の対象外で、
事実上、自治体に丸投げしている。
伊方原発は細長い佐田岬半島の付け根にあり、事故時には原発以西の伊方町民が孤
立する恐れがある。大分に船で逃げる計画もあるが、「机上の空論だ」と実効性を疑
問視する声が相次ぐ。熊本・大分地震では多数の家屋が倒壊し、屋内退避ができるの
かも疑問符が付いた。こうした計画を合理的とする行政の評価は、「もう重大事故は
起きない」との意識の表れではないか。
原発再稼働の旗を振る国に決定的に欠けているのは、真摯(しんし)な姿勢だ。
福島事故の対応を見れば「不都合な事実は隠す」「誰も責任を取らない」という姿
は変わっていないように見える。大事故を経ても、日本は何も変わっていないのかも
しれない。
政府は伊方に限らず「原子力規制委員会が基準に適合すると認めた原発の再稼働を
進める」とのスタンスだ。
一方、当の規制委員長は「適合しているからといって安全とは申し上げられない」
と繰り返す。結局、責任はあいまいで、どこが安全第一なのか分からない。井戸川克
隆・元福島県双葉町長の「いざという時に政府は逃げる」との言葉は重い。
伊方原発近くの海域には国内最大の活断層「中央構造線断層帯」が走り、熊本・大
分地震が波及する不安も根強い。事故が起きれば広範囲に放射能被害が及ぶ可能性は
否定できない。
原発のために住民にリスクを負わせる正当な理由はどこにあるのか。再稼働後も国
民が関心を寄せ続けなければ、国の無責任さを助長してしまうことになる。【後略】
(8月13日大分合同新聞朝刊1面より抜粋)
◆再稼働の伊方原発に 対岸の大分 生活不安
特産シイタケ農家「早く止めたい」
天気が良い日は、豊後水道を挟んだ対岸に再稼働した伊方原発3号機(愛媛県伊
方町)の原子炉格納容器が見える。原発から約60キロの大分県杵築市大田でシイタケ
栽培を営む中山田さつきさん(62)は再稼働に不安を募らせる。(後略)
(8月19日東京新聞朝刊25面「話題の発掘」より抜粋)
◆電力需要 猛暑の夏も乗り切れる
猛暑、五輪、高校野球、熱中症にも気をつけて…。何かと“熱い”が電気は足り
ている。政府や電力大手は誰のため、何のため、住民の不安に目を背けるかのよう
に、原発再稼働を急ぐのか。
「猛暑でも節電要請は来ておらん。なぜそんなに、急ぐのか」
四国電力伊方原発再稼働の3日前、松山市内の飲食店で耳にした。隣席の客のつ
ぶやきだ。多くの市民の実感なのだろう。
経済産業省の電力需給検証小委員会は4月、電気の使用量がピークに至る7~9
月の電力需要予測を公表した。
それによると、東京や中部、関西など、沖縄を除く九電力の平均で、8%以上の予
備率を確保できるという。
電力の需要に対する供給予備率、つまり“余裕”は、最低限3%、8~10%のゆと
りを持つのが望ましいとされている。
3・11以降、企業や家庭に広く節電が定着し、4月の家庭用電力の小売り自由化
に伴って、新電力に需要が分散したことの影響も小さくはないという。
たとえば原発依存度の高い関西電力でも、8月の最大使用率の平均は8割強だ。差
し迫って原発で供給を積み増しする必要はない。
一方、ことし3月期の決算で、電力大手10社の税引き後損益は、震災後初めて黒字
になった。しかし、火力発電に依存する現状では、原油高に転じれば、収支は一気に
悪化する。だから原発が必要なのだと大手電力側は言う。
福島原発の被災者への賠償額は、すでに6兆円を超えている。廃炉費用も東電が当
初準備した2兆円では足りそうもなく、国による追加支援が要請されている。
原発再稼働に向けて電力11社が見込む安全対策費は、少なく見ても3兆円を大きく
超える。
原発依存を続ける方が、潜在的な経営リスクははるかに高いと言えないか。
再稼働した伊方3号機はプルサーマル発電の原発だ。使用済み核燃料を再処理して
プルトニウムを抽出し、燃料として再利用する。
核兵器の主材料にもなるプルトニウムを減らしたいのは分かる。
だとすれば、莫大な費用をつぎ込んでプルトニウムを取り出す再処理事業そのもの
を、まず放棄すべきではないか。
誰のために再稼働を急ぐのか。政府と原発事業者は、3・11の教訓を踏まえて節
電に励む消費者に、正しく説明すべきである。
(8月18日東京新聞朝刊5面「社説」より)
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