たんぽぽ舎から TMM:No3361

 

 

たんぽぽ舎です。【TMM:No3361】

2018年5月12日(土)地震と原発事故情報-

4つの情報をお知らせします

転送歓迎

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★1.原発の「差止訴訟」で問われているもの

「人格権」と「経済的自由権」

原発の差止訴訟は、人格権と経済的自由の権利で争われている。

5月3日「憲法集会」特集記事 『憲法と原発』

山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

★2.リニア新幹線は原発とセット   採算も活断層も無視した工事

「百害あって一リニアなし エイプリルフールなら良かったのに」

東京・大田で市民集会 (4月1日)

★3.都市化に翻弄される気象観測 数十年間に20~30%の観測点が移転

気象観測は連続性が大事だ。 過去からのデータが重要である。

警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その246

島村英紀(地球物理学者)

★4.新聞より2つ

◆ 湯川博士、核廃絶運動の契機 54年ビキニ事件 日記公開…

メルマガ読者からの「新潟日報」情報1つ(抜粋)

(5月11日東京新聞夕刊2面より抜粋 )

◆もんじゅ研究達成16% 投入1兆円超 廃炉費3750億円超か

(5月12日東京新聞朝刊3面より抜粋)

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・脱原発川柳【再生エネ 日本再生 正念場】乱 鬼龍(転載歓迎)

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※月曜です:5/14(月)「沈黙 立ち上がる慰安婦」上映会にぜひご参加を!

90年代尊厳の回復を求めて立ち上がった被害者たちの密着記録と現存者の声

2016年韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭特別賞受賞

日 時:5月14日(月)19:00~21:00(開場:18:30)

会 場:「スペースたんぽぽ」(ダイナミックビル4F)

参加費:1000円

公式HP:https://tinmoku.wixsite.com/docu

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┗■1.原発の「差止訴訟」で問われているもの

|  「人格権」と「経済的自由権」

|   原発の差止訴訟は、人格権と経済的自由の権利で争われている。

|   5月3日「憲法集会」特集記事 『憲法と原発』

└────  山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

 

原発の差止訴訟は、人格権と経済的自由の権利で争われている。

経済的自由権とは、電力生産をする電力会社の権利であり、加えて電源

立地地域対策交付金を受け取り、または原発関連業務による経済活動で利

益を受ける地元も含む「利潤追求の権利」だ。

これら「利益追及」よりも重要な権利を守れと、原発の差止訴訟が各地

で提起されている。重要な権利とは人格権だ。

人格権とは単に「生存する権利」だけではない。日常を安寧に暮らし、

様々な産業や事業に従事して生きること全般を保障する権利だ。もちろん

立地地域の住民に限らない。

 

◇原発事故は重大な人格権の侵害 未だに5万人以上が避難生活

 

福島第一原発事故では遠く250km離れた東京でも一時、空間放射線量が

放射線管理区域の水準にまで上昇した。使用済燃料プールがメルトダウン

するなどで事故がもっと拡大していたら東京圏一帯3000万人余の避難が必

要になったかもしれない。

それは近藤駿介前原子力委員長による「不測事態シナリオの素描」(2011

年3月25日付)で当時、政府に説明されていた。

これら広域で避難を強いられることもまた、人格権の侵害に当たるし、

福島のように長期間避難生活を強いられることもまた、重大な人格権の侵

害である。

この考えは福島第一原発事故前の2006年3月、志賀原発2号機差止訴訟

で原告勝訴判決(金沢地裁)の論拠の一つでもあった。

福島第一原発事故後に大飯原発運転を差し止めた福井地裁の樋口英明裁

判長(2015年4月19日)の判決も人格権が大きな柱の一つである。

 

◇「経済的自由権」は「人格権」よりも劣位

 

大飯原発差止判決では「原子力の利用は平和目的に限られているから、

法的には電力生産の一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属する

ものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきもの」

と明確に指摘している。

 

◇原発事故の危険は、本当に除去されたのか?

福島第一原発事故をかえりみない電力各社と

規制当局を批判した「差止訴訟の意義」

 

大飯原発再稼働については「国民の生存を基礎とする人格権を放射性物

質の危険から守るという観点からみると、本件原発に係る安全技術及び設

備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、

むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆

弱なものであると認めざるを得ない。」とし、福島第一原発事故を経ても

変わらない事業者と規制当局の安全に対する姿勢を批判している。

この判決は「運転再開で経済の発展に」と考えている経済界の姿勢も暗

に批判している。

原発事故が起きれば命も含め元も子もなくなる危険は、本当に除去され

たのかと問うている。

(初出:2018年4月27日金曜官邸前と5月3日「憲法集会」で

配布のたんぽぽ舎ビラ)

 

 

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┗■2.リニア新幹線は原発とセット   採算も活断層も無視した工事

|   「百害あって一リニアなし エイプリルフールなら良かったのに」

|   東京・大田で市民集会 (4月1日)

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「百害あって一リニアなし エイプリルフールなら良かったのに」と題

する講演会が4月1日、東京・大田区内で開かれた。

建設会社最大手4社による談合が発覚し、トンネル工事による崩落事故

も発生するなど問題続きのリニア新幹線についての講演会がリニア・市民

ネット、ナマケモノ倶楽部主催、リニア新幹線を考える沿線住民ネットワ

ーク共催で開かれた。集会はアニメあり、講演、対談ありの興味あるもの

になった。

 

はじめに、中村徹さん作成の『リニア中央新幹線がやって来るヤァ!

ヤァ!ヤァ!』と題する、リニア中央新幹線の問題点をユーモアたっぷり

に、大変わかりやすく解説したアニメが上映された。

その問題点の第一は、リニア中央新幹線は現新幹線の4.5倍程度の消費

電力を必要とする原発とセットになったプロジェクトであることだ。

第二の問題は、リニア中央新幹線は採算が合わず経営破綻をまねく恐れ

がある無謀な計画である点だ。

現在の東海道新幹線の年間座席利用率は6割程度。その同じ東京 大阪

間のルートに人口減少のなかで(リニアが大阪まで開通する2045年には15

歳から64歳の生産年齢人口は、現在より2500万人減)、建設費9兆円超を

投入してリニア中央新幹線を走らせるのだから採算が合うわけはない。

現に2013年JR東海の山田佳臣社長は、記者会見で「リニアは絶対にペ

イしない」と述べている。収支が悪化していくことは明らかであり、東海

道新幹線などの料金値上げや、最悪の場合は経営が破綻し、公共性が高い

ことを理由に日本航空のように税金が投入される可能性もある。

第三は危険すぎる走行ルートの問題だ。リニアは、真っ直ぐ走ることで

スピードを出す乗り物だ。そこで東京-名古屋間のリニア新幹線の走行ル

ートを直線で結ぶために、用地買収の必要のない地下トンネルが全ルート

の86%を占める。

そのルートは、南アルプスを貫通し、世界最大級の活断層・中央構造線

と糸魚川静岡構造線が交差する、日本有数の大地震地帯にトンネルを掘り、

時速500キロメートル超のスピードで走る。もし、通過中に大地震が起きれ

ば大惨事となる。リニア中央新幹線は、原発と同様に活断層を無視する無

謀なプロジェクトといえる。

しかも、リニアには運転手がいない。リニアは中央制御室の遠隔操作で

運転する。もし、事故が起きても現場判断での対応ができない。あるいは、

中央制御室からの遠隔操作が不能になると長大な地下トンネルに乗客が閉

じ込められることになる。リニア中央新幹線は恐怖の超特急、リスクを覚

悟して乗れということだ。

第四は、長大なトンネル工事に伴う環境破壊の問題である。トンネルを

掘れば残土が出る。その残土は東京ドーム51個分にものぼり、その大量の

残土を運ぶために一千数百万台のトラックが走り、周辺住民に騒音や排気

ガスを撒き散らすことになる。また、その膨大な残土を置いた場所が環境

破壊になる。

 

☆ アニメ上映後、詩人のアーサー・ビナードさんや環境運動家の辻信一

さんの講演と2人の対談が行われた。そのなかで、ビナードさんは、リニ

ア新幹線に関する新聞の見出しは、「2027年開業めざし加速」、「超巨大

都市誕生へ」などと夢物語として描いていると指摘し、「この物語をつぶ

さなければ、あとの世代は誰も背負えないような負担となる。これを止め

ることは僕らの責任」と述べた。

また、辻さんは、「グローバリゼーションは、巨大企業の利益を最大化

させ、その他のすべてを犠牲にする。その文脈でリニアのことを捉えたい」

と述べた。また冒頭に上映した中村徹さんのアニメについて触れ、「僕は

感動した、安倍首相とリニアの関係なども追加した上で、みんなで広げよ

う。僕らの責任は大きい」と参加者に呼びかけた。

なお、中村徹さんのアニメは「リニア中央新幹線がやって来る」等とネ

ット検索すると、手軽に見ることができる。

(「週刊新社会」5月1日第1064号より了承を得て転載)

 

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┗■3.都市化に翻弄される気象観測 数十年間に20~30%の観測点が移転

|   気象観測は連続性が大事だ。 過去からのデータが重要である。

|   警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識その246

└──── 島村英紀(地球物理学者)

 

「暑さ日本一」を観光資源にもしていた群馬・館林(たてばやし)のア

メダス観測点がこの6月に移動する。

気温はもともと気象庁のアメダスのデータだったから、観測点が移動す

れば変わってしまう可能性が大きい。

館林のアメダスはフェンスと低木で囲われている。だが周囲に建物が密

集していて、駐車場やアスファルト舗装の道路と隣接している。そのうえ

地面が本来のアメダスのように芝生ではなく、防草シートで覆われている。

このため高温になりやすいのではないかとの評判があった。

移転先は館林高校のグラウンド。田畑が点在する場所だ。さて、今夏以

降の「暑さ日本一」がどうなるのだろう。気温が高い日に商店街が行うセ

ールもなくなるのだろうか。

館林に限らず、まわりに家が建てこんでしまったり、ビルが建って風速

や気温が変わってしまった気象観測点は多い。

東京の千代田区大手町にある気象庁の観測点も都市化に押されて移転を

繰り返している。地下に地下鉄が5本も通り、まわりを高いビルに囲まれ

てしまったからだ。

地震計は1977年に近くの北の丸公園に移動した。感度が高い地震計は100

メートル先を人が歩く振動でも感じる。移転先でも、決して十分静かでは

ないが、「東京で観測した」地震計としての価値がある。幸い地震計は、

近くに場所を移しても、雑音レベルこそ違え、観測値に変化はない。

だが、気温や風速などの観測は「その地点」で継続しなければ、観測値

が違ってしまう。

風速や日照量の観測は高いビルに囲まれてしまったので、2007年から北

の丸公園の科学技術館の屋上に移した。

気温や湿度の観測も、2014年末に北の丸公園に移した。だが900メートル

動いただけなのに問題が起きた。周囲が広い草地や木々に囲まれている公

園では、夏は熱帯夜がずっと少なくなり、冬は最低気温が零下の日がずっ

と多くなってしまったのだ。

気象観測は連続性が大事だ。世界的な地球温暖化が問題になっている折

り、気象観測の過去からのデータが重要である。

そのうえ、東京など都会ではヒートアイランド現象の監視も大切だ。

だが、気温の観測値がずれてしまったら、これにも影響する。

東京だけではない。全国の気象庁の観測点のうち、とくに都市の観測点

は20-30%もがこの数十年間に移転した。主な理由は政府関係の省庁の

「合理化」。合同庁舎への移転のためだ。

東京の気象庁の本庁も、あと2年で港区虎の門に移ることになっている。

これは「国有財産の有効活用」という政府の方針のためだ。いま気象庁で

東京の気象観測を担当している東京管区気象台は都下清瀬市に移る。

だが北の丸公園に移した観測点はこれ以上動かしたくない。

観測点の維持のために清瀬から1時間以上もかけて来るのは大変だ。そ

れゆえ虎の門の新庁舎の一室に東京管区気象台の分室を作って、北の丸公

園の観測点の維持にあたることになった。

気象観測は都会化の波に翻弄されているのだ。

 

(島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/

「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より4月27日の記事)

 

 

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┗■4.新聞より2つ

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◆ 湯川博士、核廃絶運動の契機 54年ビキニ事件 日記公開

 

京都大は11日、日本人で初めてノーベル賞を受賞した物理学者・湯川秀

樹博士(1907-81年)の日記のうち、太平洋・ビキニ環礁での米国による水

爆実験で静岡県の漁船「第五福竜丸」が被ばくした54年のビキニ事件に関

する記述を公開する。

 

湯川氏は55年に核戦争の危険性を訴える「ラッセル・アインシュタイン

宣言」に連署し、57年には核廃絶を掲げる科学者らが参加する第一回パグ

ウォッシュ会議に出席。ビキニ事件を機に、平和運動により積極的に取り

組んでおり、その過程を知る資料となりそうだ。

日記を分析している小沼通二慶応大名誉教授は「湯川氏が思索の人から

行動の人に移った時期に当たる。ビキニ事件の意味を考え抜いて核廃絶や

戦争反対への思いをさらに強め、具体的な行動を取った」と話している。

ビキニ事件が初めて新聞で報じられた54年3月16日の日記には「水爆実

験による真っ白な灰を被ったマグロ漁船第五福竜丸帰港、火傷の傷害を受

けた乗組員を診断 水爆症と推定」と記載。同30日付の新聞に「原子力の

脅威から人類が自己を守るという目的は、他のどの目的よりも上位におか

れるべきではなかろうか」と寄稿し、核廃絶に向けた意思を示した。

(後略)

(5月11日東京新聞夕刊2面より抜粋 )

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018051102000241.ht

ml

 

 

◆もんじゅ研究達成16% 投入1兆円超 廃炉費3750億円超か

 

会計検査院は11日、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の高速

増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関する検査結果を公表した。「保

守管理の不備が廃炉につながった」と総括。少なくとも1兆1313億円が投

じられ、研究の達成度は16%だったとした。廃炉費用は国の試算の3750億

円を超える可能性があるとした。研究開発経費を合わせた総コストも増え

る恐れがある。

 

半世紀にわたって巨額の税金を投じながら研究開発に失敗した経緯を裏

付ける検査結果。一方、これまで検査院がもんじゅの研究開発経費につい

て意見表明したのは2011年の1回にとどまり、検査や政策評価の在り方も

議論になりそうだ。

検査院は、09年1月以降の保守管理の実態を調べ、期限までに検査が済

んでいないなどの機器や項目が多数に上り、原子炉が冷温停止中でも機能

維持が必要な重要機器も含まれていたという。(後略)

(5月12日東京新聞朝刊3面より抜粋)

http://www.tokyo-

np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018051202000138.html

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