はじめに:
日本の放射性汚染水海洋放出に強く抗議しているのは中国や韓国だけではない。8月25日、フィジー共和国の首都スバでもフィジーの人々が日本の汚染水海洋放出に反対して抗議デモを行った。
Photo:VCG
写真:8月25日、フィジー共和国・スバでの抗議デモ:フィジーの人々は ”フクシマの核廃水を太平洋に捨てるな !! (NO DUMPING OF FUKUSHIMA NUCLEAR WASTE WATER IN THE PACIFIC OCEAN!!”と書かれたバナーを掲げている。
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たんぽぽ舎からの情報
今回は、長年の間、粘り強く反核のために闘ってこられた日本の反核市民団体・たんぽぽ舎から頂いた貴重な情報をご紹介させていただく:
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┗■1.海洋汚染加害国の日本の異様な中国叩き
| (汚染水問題を)反中国に政治利用する日本政府とメディア
| 開沼博東大准教授の虚偽解説を糾弾する
| WTO・WHOなどで徹底した科学論争をすべき
| 「メディア改革」連載第135回
└──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ 6日朝のTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」で、岸田文雄首
相が5日から7日間、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会
議、インドでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席し、一連の
会議で、東電福島第一原発の放射能汚染水(番組では「処理水」)の海
への放出について、安全性を説明すると伝えた。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230906/k10014184741000.html
この後、森本キャスターは「処理水問題での日本の立場をしっかり話
してほしい」と述べ、コメンテーターの伊藤芳明・元毎日新聞主筆も「
外国首脳に理解をしてもらいたい」と発言した。この番組は、岸田自公
野合政権に厳しいが、核汚染水については大本営発表報道だ。
◎ フジテレビは5日のFNNニュースで、<首相 ASEAN・G
20出席へ 処理水放出の理解広げ 中国けん制も>というタイトル
で、<政府関係者は「ASEAN各国には、一般的に放出を理解しても
らっている」と話しており、国際社会の理解を広げることで、放出に反
発する中国をけん制する狙いもある>と報じた。
◎ NHKは5日午前7時のニュースで、海洋放出に反対していた中国
が日本産水産物の輸入全面停止に出たことに対し、日本政府は日中両国
が参加する経済連携の枠組み、「地域的な包括的経済連携」(RCE
P=)の協定に基づき、即時撤廃を求めて討議の要請を行ったと報じた。
<中国は、先月末に世界貿易機関(WTO)に食品の安全性などを守
るための輸入停止だと通報しており、政府は反論の書面をWTOに提
出した>
◎ 9月3日朝のフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」は<中国
内で炎上、橋下の主張にもかみつく…処理水放出めぐり中国の“嫌がら
せ”拡大>と題した特集を放送。
司会の松山俊行・フジテレビ政治部長がエマニエル米駐日大使にイン
タビュー。 松山氏は「中国の禁輸措置は放っておけばいい」と言い放った。
ゲストの石破茂自民党元幹事長は「中国は科学的根拠を持たない」と
指摘。梅津弥英子アナウンサーは視聴者に、イ.中国の禁輸措置は放って
おけばいい、ロ.対抗措置をとるべきだ、ハ.どちらとも言えない―の
三択から選ぶアンケートを実施。調査結果でロ.が80%を超えたと発表。
松山氏は「中国と付き合うのはとても難しい」とコメントした。中国の
措置は理解できるという選択肢がないのは呆れた。
◎ 8月28日のNHK「クローズアップ現代」は<処理水放出・中国へ
の対応は?業業者は?>と題して放送。桑子真帆キャスターは「中国は
科学的根拠のない情報をあげ厳しく反発」「放出は、核燃料デブリを取
り出す際のスペース確保のため」などと政府を代弁した。
桑子氏は「汚染水という言葉は中国だけが使っている」と決めつけ、
中国メディアは「フェイク情報」ばかりだと非難した。
続いて、「福島出身で、政府の処理水・有識者会議の委員」と紹介さ
れスタジオ出演した開沼博東大大学院情報学環准教授はこう述べた。
「政治の葛藤を『輸入規制』という形で実現しようとするのは、中国
の常とう手段」「政治的な情報の量を増やしていくということも重要。
メディアの役割とか、SNSでの発信とかも含めて、一方でフェイクな
どに私たちが取り込まれていかないよう、見極める力は重要」
開沼氏は最後に「漁業を支えたい。中国への日本の水産物輸出は1,700
億円ぐらい。国民1億人ぐらいが1年間で1700円を食べ増やせばいい」
と進言した。問題のすり替えだ。
開沼氏は放流が30年で終わり、デブリの取り出しが終わるかのように
述べたが、とんでもないウソだ。開沼氏は東京大学文学部卒で、文系の
研究者だ。
東大の情報学環は新聞研究所(1948年に米進駐軍の命で設置)を改組
して設立され、城戸又一、稲葉三千男両教授らを擁したリベラルな学風
だった。情けない。
◎ 海洋放出から2週間になるが、中国だけが放流に反対しているとい
う虚偽報道が展開されている。中国が海洋汚染の加害国のような扱いだ。
汚染水放流に対しては、国内の漁業関係者、専門家、市民が反対して
いる。
外国でも、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、ロシア、太平洋諸国
フォーラム(PIF)などが反対・疑義を表明している。
朝鮮民主主義人民共和国外務省代弁人は8月24日、談話を発表した。
<放射性物質が多量含まれた汚染水の海洋放流が地球の生態環境を破
壊し、人類の生存を脅かす反人倫的な行為>と断じた。
<現在と未来の人類に千秋万代にすすげない反人倫的犯罪行為を働く
ことによって生じる全ての破局的結果に対する全責任は、日本が負う>
◎ 自民党の閣僚らから「中国をWTOへ提訴を」と騒いでいるが、
ぜひWHOも含めた様々な国際機関で、今後何百年も続く海洋放出の影
響、東電原発事件そのものについて、アジア太平洋の市民が日々問うこ
とになるので、ぜひやってもらいたい。
◆9/8「ALPS処理汚染水差止訴訟」福島地裁へ提訴!のお知らせ
9月8日(金)13:00 事前集会
場所:福島市市民会館501号室(福島県福島市霞町1番52号)
*福島市市民会館から福島地裁までデモ行進
13:30頃 福島地方裁判所本庁に提訴
提訴終了後 記者会見&報告集会(14時頃)
場所:福島市市民会館 501号室
*ご注意下さい!場所が、音楽堂から、市民会館に変更になりました。
報告集会のライブ配信があります。
https://www.youtube.com/watch?v=tIgY2WKRtns
(問合せ先)ALPS処理汚染水差止訴訟事務局
ran1953@sea.plala.or.jp
8月24日、国と東電は、ALPS処理汚染水の海洋放出を強行しました。
国内外の海洋放出に反対する声を無視して、原発事故被災者にさらな
る苦悩を強い、海洋汚染を広げるALPS処理汚染水の海洋放出は、許さ
れません。
漁業関係者と市民が立ち上がり、「ALPS処理汚染水差止訴訟」を
9月8日、福島地裁に提訴します。事前集会、報告集会はどなたでもご
参加いただけます。また、報告集会のライブ配信も有ります。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5110:230911〕