ちきゅう座からの2019年巻頭のご挨拶   

皆さま明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

ここ数年そうなのですが、大変な時代の幕開けが予想されます。厳しさを増す米・中関係を軸に、EUや日本も含めた世界中が、否が応でもその影響をもろに受けつつ、さながら嵐の中で大海を浮揚する難破船のごとく上下左右に大きく揺れながら、何とか沈没だけは免れたいと必死にもがいている構図がイメージされます。

米、中両大国といえども決して安穏とはしておれないのではないでしょうか。どこが沈没してもおかしくない、天下動乱の世相です。

中国は既にアメリカ国債を5カ月連続で償還しています。日本にしてからが、3カ月連続の償還です(2018年11月末現在)。アメリカドルの信用が、ガタガタと崩れています。だから国内産業の緊縮につながる恐れがあるにもかかわらず、FRBは5度にわたる金利引き上げを強行したのでしょう。トランプ政権の命綱(景気浮揚)は、風前の灯です。

当然、日本のアベ政権もそれ以上の動揺を示しています。一方で米国への肩入れをするかと思えば、他方では中国に色目を使う。主要輸出製品の自動車は、この先どんな規制に合うか予断を許さない状況だし、原発輸出はほぼ断念せざるを得ない始末です。軍需産業に活路を見出すためには現憲法は最大の障害となります。しかも、米、中のどちらを選択するにせよ、米国は自国の武器の売り込みが最優先だし、中国は危険な日本の軍国化には反対するでしょう。

アベ政権下で構想されていた日本の進路は、大きく変更されざるをえなくなるように思えます。

 

ちきゅう座に何が出来るのか――今年の課題

個人にとってもそうでしょうが、どのような組織(団体)でも必ずその使命というものがあるはずです。集団化するには、まず何をもって集まるのかが問題になるからです。

ちきゅう座はその結成に当たり、次のような理念を掲げました。

「(混迷する現状に対処するためには)現代の世界と日本の直面している問題の本質に迫る情報と 言説を出来るだけ多くの人が共有することが何より大切かと考えます。私たちはそのための方策として、 真に重要な情報の提供や、 私たちの生活実感や研究・実践活動に基づく自由な現状批判や問題提起、相互討論のための共同の場を構築し、サイト上に一般に報道されていない海外のメディア情報や、内外の研究者や思想家、実践家の現状分析や問題提起、 さらには著書、論文の紹介などを掲載することによって読者の参考に供し、時に討論を挑発する役割を果たしたいと考えております。」

これがちきゅう座の理念であり、使命です。これを変更する必要はまったく感じませんし、そのつもりもありません。

しかし、理念や使命はそれだけではやはり抽象的なものでしかないことも事実です。

これを現実の中でいかに実現していくのか、この事が実践という行為です。理念と実際との間には当然ながら相当な乖離があります。それをどうやって埋めるのかが実践的な課題です。

この実践の過程が歴史であると思います。ちきゅう座の歴史は、ささやかながらもこの悪戦苦闘の歴史であり、絶えず希望と落胆のしのぎ合いです。

情報の範囲は多少とも拡大してきています。ドイツ、スペイン、フランスなどからのホットなニュースも報道可能になって来ました。中国情勢も矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)や岡田允(共同通信客員論説委員)等々のご尽力で適宜得ています。サハラ情報や東チモール情報なども掲載することができました。それでも、まだアメリカや隣国の韓国、またインド、中東、ロシア、南米など、フォローできていない地域が多々残されています。

国内でも、肝心な沖縄情勢の報告がまだ弱いし、地方情勢もかろうじて大分県下の情報が伝わってくる程度です。

女性や若者からの情報入手が決定的に弱いのも、毎年指摘される通りです。

デモや集会には大抵メンバーの誰かが参加していますが、報告が少なすぎるかもしれません。

相互討論の活性化のためには、やはり若者のパワーと、既成の権威にとらわれない思いきった切り込みのエネルギーが必要だと考えます。どうすれば若者たちが交流の場に参加するようになるのか、現役の教員たちとの討論をもっと積極的に考える必要もあるかと思います。

先日のシンポジウムで、「現代の理論」の編集をしているSさんと、相互交流の話をしたところですが、こういう関係をもっと拡大することも考えたいと思っています。

以上、簡単なご挨拶ですが、今年もちきゅう座の運営委員をはじめ、編集委員また会員一同、更なる努力をしようと思っております。読者の皆さま方の一層のお力添えを心からお願いいたしたいと願っております。

皆様方の積極的な投稿をお願いいたします。投稿先は、とりあえず、hiroba…(…はこの画面でご確認ください)にお願いいたします。      敬具

2019年1月元旦