袋小路に追い詰められているような民主党政権であるが、その動向に僕らが失望を感じるのはなし崩し的な政策転換に歯止めがないと思う事だ。政権の首脳陣の政治的見識のお粗末さからくるのだろうが、戦略的構想もないためにこのままずるずる行く感がするのだ。政権前の公約を次々と破棄したり、修正したりすることは僕らが目にしている光景であり、その例をここで一つひとつあげる必要はないことだが、看板の「生活が第一」、「政治主導」は後生大事にしているみたいである。それだって「止めてくれるなおっかさん背中の小沢が泣いている」という状況であると思える。
民主党政権は大きな国家戦略として「日米関係の見直し、東アジアでの共同体」の構築を掲げていたが、今はよりアメリカへの追随を意味する日米同盟強化戦略をとり、中国との新たな関係を意味する東アジア共同体構想はくず箱に投げ捨てられてしまったようだ。民主党政権の面々がこうした国家戦略を自分の頭で考え抜いて主張していたのか疑念のあるところだが、アメリカの歴史的な衰退と中国の台頭の中で、日本の今後を考えればこの戦略は捨てたものではない。経済的にも軍事的にも、日本の独自性を開きつつアメリカや中国との関係を構築することは日本だけのためではない。それはアメリカや中国にも意味のあることだ。アメリカの経済的、あるいは軍事―外交的衰退は避けられないし歯止めは不可能である。アメリカはそれを引き延すために日本を離さず中国も巻き込もうとしている。中国は経済発展による自信の背後でその未来に不安を抱いている。日本の高度成長から「失われた10年」を見て将来の構想に不安を見ているのだ。日本が戦後のアメリカ関係を見直し、独自の道を切り開くことは日中関係にとってだけでなく、中国とアメリカの関係にとっても必要なのだ。歴史的に見れば中国やアメリカから文明的に負ってきたことをお返しする機会だと言える。第二次産業を中心にした産業経済革命後の経済と社会を切り開いていくこと、その新しい社会性の構築に先鞭をつけることである。これはアメリカが失敗し、中国が未来に遭遇することだ。その道はアメリカ模倣から脱する経済戦略の中しか出てこない。軍事―外交戦略では冷戦構造を含めたアメリカの戦略に距離を確保し、非軍事的世界関係(非軍事的安全保障の道)の構築に意を注ぐべきだ。一国平和主義だろうが、消極的平和主義であろうが、アメリカ軍事―外交戦略から距離を取り非戦を軸にした戦略を構想すべきだ。民主党の議員やサポーターよ首脳陣から自立し、練磨して政治戦略を得よ。
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