EUは1月23日、イラン産原油の輸入を禁止することを、外相会議で決定した。新規契約が禁止になる。既存契約も6月末で禁止となり、7月から全面禁輸となる。同時にイラン中央銀行の資産凍結で合意するというイランにとって厳しい内容になる。
EU、外相会議でイラン産原油の全面禁輸を決定
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120123/fnc12012319130011-n1.htm
これに先立ち、カタールとバーレーンに基地を置く米第5艦隊は、ペルシャ湾での空母のローテーション(交代)を実施した。1月23日、米空母リンカーンはホルムズ海峡を通過し、ペルシャ湾に入った。イランの妨害はなかった。
米海軍は空母をもう1隻、ペルシャ湾に送る方針だという。
米空母のホルムズ海峡通過に警告していたイランだが、EU禁輸決定、米空母通貨直前で、柔軟な態度に変った。
「イランのホセイン・サラミ革命防衛隊副司令官は、2012年1月21日、緊張緩和を目指すように「米海軍艦船は長年にわたり湾岸に派遣されてきた」との声明を発表した。1月21日のサラミ革命防衛隊副司令官の発表した声明は「米国の軍艦及び軍用船舶は長年にわたりペルシャ湾と中東に駐留してきた。米国による新たな艦船の派遣は新しい問題ではなく、恒久的な存在の一部と理解されるべきものである」(ロイター通信 2012年1月21日)としている。
イラン、米空母通過に柔軟な態度に変わる、アサヒコムから
http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201201230008.html
イランはホルムズ海峡封鎖という最後のカードを切らずに、対決を回避したようだ。しかし、欧米のイラン包囲網は狭まるばかり。
EUが7月のイラン産原油全面禁輸実施までに、日本や韓国など西側諸国もイラン原油の禁輸や段階的輸入削減を迫られる。
バザールの売買交渉のように最終段階でも延々と続くイランと米国の駆け引き。イランも米国も「先に手を出さない」という態度のようだ。
だが、イランにとって軍事攻撃までに時間は稼げたとしても、経済制裁がボディブローのように効くはずだ。米国の制裁に必ずしも同調しない姿勢のロシア、中国だが、欧米の圧力にこれからどこまで耐えられるか、未知数である。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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