米国オバマ大統領が、核の先制不使用を宣言しようとされていて、同盟諸国がその宣言に反対しているとの報道がありました。 中でも、この国は、北朝鮮等の国を例に挙げ、安全保障上の危険性から、反対している、との観測がありました。
そして、安倍首相自身が、ハリス太平洋軍司令官に反対を伝えた、との報道が為されました。
本件に関して、情報が錯綜していますが、当該記事は、Josh Roginと名乗られる外交・安全保障の専門家の寄稿です。 新聞登載は、15日付であっても、寄稿そのものは、14日付です。 氏の寄稿は、単なる評論では無く、信頼性が高く、現に、会談内容を広報官が否定していても、記事の訂正はされません。
寄稿の該当箇所は、以下のとおりです。 日本語訳は、拙訳です。
Japan, in particular, believes that if Obama declares a “no first use” policy, deterrence against countries such as North Korea will suffer and the risks of conflict will rise. Japanese Prime Minister Shinzo Abe personally conveyed that message recently to Adm. Harry Harris Jr., the head of U.S. Pacific Command, according to two government officials. (Update: After this column was published, a spokesman for Pacific Command said that Abe and Harris did not discuss U.S. nuclear policy in their July meeting.)
「取分け日本は、特段に、オバマが、「(核)先制不使用」策を宣言すれば、例えば北朝鮮のような国に対する抑止力を減じ、紛争の危機が生起するであろう、と信じている。 二人の政府高官に依れば、日本の安倍晋三首相は、その旨を自ら、ハリス太平洋軍司令官に伝えた。(最新情報:本寄稿公開後に、太平洋軍の広報官は、安倍とハリスは、米国の核政策に関して7月の会談に於いて論じたことは無いと言明した。)」
U.S. allies unite to block Obama’s nuclear ‘legacy’ By Josh Rogin August 14 The Washington Post https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/allies-unite-to-block-an-obama-legacy/2016/08/14/cdb8d8e4-60b9-11e6-8e45-477372e89d78_story.html?utm_term=.58663243057a本寄稿の著者は、ワシントン・ポスト(The Washington Post)に依れば、以下のとおり。
Josh Rogin is a columnist for the Global Opinions section of The Washington Post. He writes about foreign policy and national security.
「ジョッシュ・ロジンは、ワシントン・ポストの世界的視野における見解のための寄稿家であり、外交と安全保障問題の執筆を為す。」
Josh Rogin Global Opinions ? Washington D.C.
https://www.washingtonpost.com/people/josh-rogin
米国にとっては、冷戦構造が崩壊した現下では、中国等への対応が敵視に限る筋合いは無く、却って、経済、外交、安全保障、等では、協調する節が観えます。 尖閣諸島を巡る対応でも、米国の観点は、日本の実行支配は、認めるものの、紛争そのものには、関知しない、と云うもので、甚だ現実的です。
安倍政権の安全保障に関わる世界認識が、或は、ネトウヨ並みの超単純極まる黒か白かのものであれば、その基準を米国に適用されても、無効でしょう。
例えば、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に係る問題でも、当初の対応からは、随分と変化が観られます。
まず、世界銀行など米国が支援する国際開発機関との連携をAIIBに打診し始め、本年に至り、世界銀行は、AIIBと共同融資で枠組み合意し、合意文書に署名した処です。
米、アジア投資銀との協調模索―世銀との連携を打診 WSJ By IAN TALLEY
2015 年 3 月 23 日 09:05 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB12371367657780613424004580534880183980958
世銀、中国主導のAIIBと共同融資で合意 Reuters Business | 2016年 04月 15日 06:59 JST
http://jp.reuters.com/article/imf-g20-aiib-idJPKCN0XB2T1
AIIBの事例は、典型で、そのため「『米中は対立関係になく、そもそもAIIB設立を中国に持ちかけたのは米国である』というシンクタンクの分析だ。
これが真実だとすれば、中国の南シナ海への進出が問題となる中で、日本の安倍政権の現状認識は根本から間違っていることになる」と指摘される方も居られる処です。
米・中に踊らされる日本。複数のシンクタンクが見抜いたAIIBの真実=高島康司 MONEY VOICE 2015年11月19日
http://www.mag2.com/p/money/6353
米国は、何事に依らず、実利的に物事を判断する訳で、安倍政権のように、一律で嫌韓嫌中を至上命題にされないだけです。流石に、プラグマティズム(pragmatism)の本場です。
安倍政権の誤認は、特段に、安全保障に限るものではありません。 その事由は、ネトウヨ並みに好き嫌いで物事を観るからです。
処で、北朝鮮のミサイル常時破壊措置命令に関しては、どうなったのかを心配されておられる方もおられるのですが、命令だけ出しても、現実的に、破壊は可能なのでしょうか。
先の大戦末期、インパール作戦では、第一線の将兵には、弾薬、糧秣の補給も無い中、攻撃命令のみ次々と下されましたが、アベ化した新防衛相も同じ轍を踏まれたのでしょうか。
メディアがまったく報じない常時破壊措置命令のその後 天木直人のブログ
http://天木直人.com/2016/08/26/post-5258/
あらゆる面でアベ化は危険です。