オランダ王国空軍、クラスター爆弾、常民14人殺害

著者: 岩田昌征 いわたまさゆき : 千葉大学名誉教授
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 『朝日新聞』(夕、8月21日)に、オランダがF16戦闘機をウクライナに供給するとの報道があった。そしてかなり以前にアメリカがクラスター爆弾を、ウクライナに供給していた。F16もクラスター爆弾も戦場でのみ使用される事になっている。しかし、戦場と生活現場の間に境界はない。
 私=岩田の記憶の中で、オランダ空軍、クラスター爆弾、そして無辜の住民殺傷の三位一体が浮かび上がった。たしか、何年か前にセルビアの親露容中派週刊誌『ペチャト』のニーシ・ルポルタージュ記事で読んだ事件だ。人口25万人、セルビア東部の中心都市ニーシのど真ん中にクラスター爆弾が二発投下されて、人的物的に大損害を与えた。市場で買い物中の女性が多く死んだ。1999年5月7日の事だ。『ペチャト』の記事では、論敵の親西欧北米派女性教授の自宅も亦NATO空爆で壊されてしまったと皮肉な調子で書いてあった。その翌日5月8日、ベオグラードの中国大使館がミサイル二発の直撃で破壊され、館員が3名死亡していた。
 手元に古い『ペチャト』はすでにないので、記憶を確認できない。電子検索をかけてみると、Wikipedia に Niš cluster bombing 「ニーシ、クラスター爆撃」が見付かった、以下の如し。
 1999年5月7日と12日、ニーシは空爆され、クラスター爆弾によって市民が殺傷された。
 5月7日の11時30分から40分にかけて、オランダ王国空軍戦闘機が市中心から3キロ離れた飛行場上空でクラスター爆弾収納容器2台を投下。風に流され、ニーシ市中心部の三個所に落下。病院地区、青空市場、バス交通センター。その結果、一般住民14人死亡、28名負傷。
 5月12日、ニーシ東部に再びクラスター爆弾使用。
 かかる事実を知って、オランダ空軍はクラスター爆弾の作戦使用禁止を決定。だがしかし、他のNATO諸国は使用を継続。

 当時、対セルビアNATO空爆肯定の日本市民社会にとって、上記事件は特に気になることではなかった。しかし、今日、露烏戦争で両軍がクラスター爆弾を大量使用する恐れ大なので一筆しておく。

                    令和5年8月22日(水)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion13196:230825〕